シェリ (岩波文庫 赤 585-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003258521

感想・レビュー・書評

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  • なんか、背筋を伸ばした美しい女性でありたいなと読んでいる間中、思った。レアの本当の気持ちが結局のところシェリにはわからなかったんだろうなぁ。一番最後のところの、レアが見てしまった、何処かから逃げてきた人間のように深く深呼吸したシェリの姿ほど、レアの心を引き裂くような突き落とすようなものは、無いな。膝から崩れ落ちてしまったレアが見えるようだった。若く弾けるようなシェリと、各所に老いを感じるレア。つらみ。

  • 大学のフランス文学の授業で扱われたので読みました。描写が繊細。映画も一部見ましたが、とても原作を表現出来ていると個人的には思います。

  • 若いときの美しさは儚い あとで振り返ると歩いてきた道は全て夢のように柔らかい薔薇色で包まれているのではないだろうか。
    ラストが非常に印象的だった。老いを実感しつつも遅すぎるシェリへの愛の実感がレアを醜くしていて、鼻をツンと突き上げて歩いていたような女性がみっともなく嫉妬や悲しみや疲れや愛に振り回されてしまうのが悲しく、しかしリアルだった
    こんなにも胸に刺さる愛を語るフランス文学は私にとって他にないかもしれない。
    そしてあとがきが非常に面白く、コレット自身についても調べたくなった。
    女性が主人公な物語、かつ作家も女性であるのでフランス文学に見られる「女性の神聖化」みたいなものが見られず、欲や駆け引きで奔放に生きるレアを見て勇気が出た 純文学とは言い難いかもしれないが、美しく強い物語であったが、何かに解放されたかのように息を吐き出すシェリを見てレアはそのあとどのように部屋に戻るのだろうかと考えると居た堪れない。
    文体がフランス文学らしい回りくどさや美しさが表現されていて、原文で読んでみようと思う。フランス語勉強してよかった

  • 光文社のものと読み比べ。続編の「シェリの最後」が岩波からしか出てなかったので、それを読むなら同じ岩波のをと思って。こちらの方が昔に訳されているのだと思うけど、だからこそなのか訳は光文社のものの方がリアの言葉遣いが気にならない。ああ、フランス語で読めたらどっちの雰囲気が近いのか感じられただろうに!分からないからのよさもあるだろうけど!

  • こちらの作品は、
    先日図書館で、ふと手にとって借りた本。

    もうすぐ50歳の元高級娼婦と、息子ほども歳の離れた青年との恋。

    この青年が親友(と言うか腐れ縁の友達)の子供と言うことで、
    ちょっとややこしくなるのだが。

    でも、この人間関係って、ちょっと私の生まれ育った国では考えられない、
    もちろんあるとは思うけれど、あまり大っぴらにされない、
    と言うか、お互い気付かないふりをするような、
    やはり恋の国は違いますのね…。

    青年が結婚をする、と言う出来事で二人の関係は
    大きく変わって行くのだけれど、

    読んでいてしばらくは、
    ただ、淡々と二人の行動と心の動きを追っていただけだったが、
    (サガンみたいに、どっちかが最後死ぬのかな?と思いながら)

    ラストシーン、
    朝、青年がまだ、目が覚めないふりをして…のあたりから、

    「あ、そうだ、そうだ、そうだ!、思い出した!
    ここからのシーンが圧巻の、あの小説だ!」と

    いつか昔に、なにかの書評かエッセイに載っていて、
    あ、読みたいと思ったことが俄かに思い出され、

    確かに容赦なく、残酷で苦しかったけれど、
    美しい余韻もある。

    恋愛に限らず、友情にすら駆け引きがあり、
    裏表があり、意地を張ったり、陥れようとしたり、

    まわり中がおためごかしを言って、
    人生をぐーっと覗き込んでくるような毎日…。
    これは想像するだに、辛い。

    そんな中主人公レアが、心を許せる相手がほぼいないのが、
    気になったけれど、
    でも、人生において本当に本当に大事なことは
    確かに自分で決めて、そして黙っているかもしれない。
    このことについては、
    別にかわいそうなことではないかもしれないと思いなおした。

  • フランス文学のなかでも特に好きな作品です。
    49歳の元高級娼婦レアと25歳の恋人シェリの恋愛が美しく描かれています。フランスの恋愛小説の王道のようでいて新しさを感じさせるのはコレットがフランスでは数少ない女流作家だからでしょう。女の欲情がきちんと描かれています。

    シェリの美しさには本当にため息が出る。冒頭で真珠のネックレスをねだる彼がかわいらしくて大好きです。レアも本当にいい女で憧れます。

    コレットは美食家だったそうで作品中にさまざまなお料理が登場します。そういったところを見るのも楽しいかも。


    続編として「シェリの最後」が出ています。

  • 最後の2人のシーンが
    悲しいけど素敵だと思った。

  • ラストーーー!!!
    ラストーーーーーー!!!!!
    見事な締めだった…。
    関係が終わるところから始まるのもまた良い。

  • 真珠がなす意味を見つけました。
    若い青年と夫人の禁断の恋が美しくも破滅的。
    カーテンがふわり風になびく春の日に、顔の青白い美青年が自分の目の前にも存在している気分になります。

  • 無邪気な美しさと残酷さは紙一重。

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