シェリの最後 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003258538

作品紹介・あらすじ

第一次大戦後のパリ。復員したものの社会の動乱に適応できず無為な日々を送る主人公を尻目に、妻と母は営利と名誉の獲得に奔走している。どこにも自分の場所を見出すことのできない彼は、唯一の女性レアの許へと帰ろうとするが…。失われた時と永遠の愛との間をむなしく彷徨する魂を、とぎすまされた感覚でとらえた『シェリ』の続篇。

感想・レビュー・書評

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/250676

  • そうかー。そうなるかー。そうなるよなぁ。

    自分の今までやこれからの人生考える。若さ。老い。気概。諦め。楽しさ。ウィルス騒ぎでこんなになっている今だからこそ余計にかもしれないけど、一瞬一瞬の生き方と、その積み重ねで出来上がる2日後、1週間後、数ヶ月、数年、の肉体。精神。どう生きるか、何を大切にして生きるのか。

  • 大崎Lib

  • 何もかも終わってしまった状態で、亡霊みたいな生活をした末に、自殺してしまうというシェリの最後。
    前作の結末を読んだとき、いやいやこれはほんものの愛だよ!これを捨ててどうすんの!!と衝撃をうけたのですが、やはりこうなるよねというか・・この続編を読んで、あのときレアを置いて去っていったくせに、実はあの時点でシェリもこの世にひとつしかないほんものの愛をなくしていたのだなと・・ひどい結末だけどわたしはすごく好きです。
    それにしても、相変わらずコレットの描く情景の美しさは比類ない。うっとりします。

  • ○読了したくせに、じつはよく分からなかった一冊。前半は特に主人公の気持ちがもやもやしていて、後半から孤独感が加速する感じだと思いました。

    ○第一次世界大戦後のパリ。戦争から帰ってきた美貌の男シェリをまっていたのは、あまりにも変わり果てたパリの社会でした。「蒼ざめて弱々しい男」だったデズモンは事業を起こして成功を収めています。シェリを崇めるように愛していた妻は、病院で看護婦として働きつつもシェリ自身の母と金儲けに奔走している様子。

    ○金儲け(利益の追求)だの享楽などという時代の流れに乗って変わってゆくなかで、自分だけが取り残されたような感覚、残酷な現実。シェリは彼らを蔑みますが、彼らが自信を獲得していくほどに自分の居場所がなくなるばかり。また、美貌をもつ彼には、老いというどうしようもない時間の流れ、思い出を引き裂いてしまうような流れへの恐怖もあったのでしょうか。

    ○つまるところ、シェリという人間は、戦争によって、美貌によって、変化する社会へついてゆくことを許されなかった男といえるのかもしれません。ちょうど、少年のまま大人になってしまったような。それは宿命づけられていたといってもよいほどの、どうしようもない空虚感。

    ○悲痛ではありますが、涙がでるような話ではないと感じました。だんだんと感情が消え失せていって、じゃあ幕を引こうか、という感じの、淡々とした喪失感がただよっているように思います。

  • ★★★

  • 話としては前作「シェリ」の方が面白いけど。ラストが好き

  • 「シェリ」の続編です。
    どうしてもシェリの魅力が忘れられず書店を回りましたが絶版ということで中古で手に入れました。
    でも先日神保町の書店に大量に山積みにされていました。映画の公開があったせいかもしれませんね。

    内容は「シェリ」のような恋愛メインの物語かと思えばまったくそんなことはなかったです。第一次大戦後のパリで女たちが自立していくなかで時代に馴染めずにいるシェリがなんとも言えない。
    そして,シェリがようやくレアに会いに行ったとき,そこには老いを受け入れた彼女の姿があったのでした。
    もはやすべては過去の思い出として過ぎ去ったことだと笑うレア。自分に関心を持たない妻。銀行を営み強く生きる母。そのなかで自分だけが孤独を感じていること,世間からはぐれてしまったことの居心地の悪さを痛感するシェリ。そうして,いつの間にか自分が30歳になっていたことに気づくのでした。
    もはやどうしようもなくなった彼が選んだ「最後」とは・・・?

    「シェリ」がきれいな終わり方をしているだけに蛇足だと思われる人もいらしゃるだろうなと思いました。ので星は4つ。

    前作のように恋愛小説だと期待して読んでしまったら肩すかしをくらいましたので要注意です。

  • シェリもいいけど、これ!この最後の素晴らしさ!!!
    再版希望。たぶん絶版なっちゃってるから新品手に入れるのは大変です。

  • 絶版になってるとのことで図書館で借りて読みました。

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