生きている過去 (岩波文庫 赤586-1)

  • 岩波書店 (1989年11月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (404ページ) / ISBN・EAN: 9784003258613

みんなの感想まとめ

過去と現在が交錯する中で、登場人物たちが抱える複雑な感情や運命が描かれています。特に、過去に縛られた者と新しい世界を生きる者の対比が鮮やかで、愛情がどのように生まれるのかを問いかける物語が展開されます...

感想・レビュー・書評

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  • ゆっくり読みたいアンリ・ド・レニエ、近場の図書館ではちょっとつらいものがある。涼しくなったら古書店で探したい。

    18世紀を振り返る19世紀、リアルタイム19世紀、19世紀を振り返る20世紀、の西洋文学が好きかもしれない……と思い始めた。革命による体制の転覆、新しい階級の台頭、科学の発展、価値観の転換を何らかの形で意味づける芸術が面白いのかも。意味づけるといっても、たぶん個人的なノスタルジーから社会風刺までおよそ何だってよさそう。芸術、文学の枠だって時代とともに変わることでもあるし。
    レニエを読んでいるとなんだかそんな気がしてくる。多くの登場人物が何らかの形で過去を生きているこれはまさに、といった趣。ロオヴローやチェスキーニ伯爵、あるいは話に上るカザノヴァが活発な一方、ジャン・ド・フラノワは埋没気味で、カバーのあらすじはどこへ?とはじめ困惑したものの、時代や登場人物の背景が了解されてくると、むしろ徐々にジャンが際立ってくるようで面白い。転身、あるいは色好みとしての堕落、暮らしを保つための結婚……と落としどころを見つけていく他の人物達に対してジャンが辿った道の陰惨さ。陰惨ながら一途だっただけに、無邪気に寄り添おうとするアントワネットと絶望するジャンの断絶、その後の始末が凄まじい。モルボワ夫人、ある意味ファム・ファタールだったのでは……。
    チェスキーニ伯爵邸での仮装舞踏会の場面が好き。ここも著者のヴェネチア愛か。

  • テーマは面白いが、カサノヴァについて延々と詳細に記述したり、繰り返しに過ぎない無駄な章が散見されたりと、本業詩人の作者による素人小説といった感じで、成功作とは思えなかった。

  • 産業革命の波が押し寄せるなかで、依然として過去にすがりつづける者たちの話。ここで言う「過去」とは古き伝統的フランスや過ぎ去った恋愛のノスタルジーのことで、そのような「過去」に囚われるあまり主人公は狂気にも似た自閉症的症状に陥ってゆく。このようなテーマは世紀末のフランスで流行ったお決まりのものだが(ユイスマンスの『さかしま』)、本書は比較的ロマネスクで、ストーリーの起伏があるから読みやすい。何よりタイトルがいい。

  • 現在の事象に過去が深く絡み合って物語が進んでいく様は流れるような美しさです。過去に縛られ過去の世界で生きる者と新世界を生きる者の見事な対比,そのなかで生じた愛情ははたして『過去』によってもたらされたのか,あるいは『現在』によってもたらされたのか。全体的になんともいえないアンニュイな雰囲気が漂っています。

    恋愛に入るまでのお膳立てが少し長くて退屈したので☆は4つ。
    内容は本当に素晴らしいです。レニエの作品をもっと読みたくなりました。

  • フランスの耽美派詩人アンリ・ド・レニエによる小説。
    これを読んだ衝撃は強かった。
    「自分は時代を間違えて生まれてきたに違いない」
    そんな違和感を感じている人にお薦め。
    読んでいくうちに、悲しく美しい物語の雰囲気が心に染み入ってきます。

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