とどめの一撃 (岩波文庫)

制作 : Marguerite Yourcenar  岩崎 力 
  • 岩波書店
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  • 本棚登録 :79
  • レビュー :9
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003259818

作品紹介・あらすじ

「エリック、なんて変ったんでしょう」ともに少年期を過ごした館に帰り着いたエリック、コンラートのふたりを迎えたのはコンラートの姉ソフィーだった。第一次世界大戦とロシア革命の動乱期、バルト海沿岸地方の混乱を背景に3人の男女と愛と死のドラマが展開する。フランスの女流作家ユルスナール(1903‐87)の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • ドイツ人士官エリックが負傷し、帰国する途次、仲間に語った身の上話。
    十五年前=第一次世界大戦中の1914年、
    幼なじみの貴族コンラートと共に彼の館へ帰り着いた際のエピソードで、
    コンラート及び、その姉ソフィーとのこと。
    コンパクトに纏まった悲劇。
    元々性格に問題があるのか、
    それとも軍人として同伴者に対してクールに振る舞っているからか、
    人生における重大な事件を異様に淡々と述懐するエリックがちょっと恐い。
    いや、あるいは心に深く刺さった棘の痛みを紛らそうとして、
    敢えて他人事めいた口調で語ったのかも……などと思った。
    ともかくも、作者が明確な意思を持って
    決然と書き上げた(……らしい。序文と解説からの印象)ってところがカッコイイ。
    情景が映画のように脳裏に浮かんでは消えた。

  • たしかにちょっと読みにくくて、意味もわかりにくい箇所もある。でも悲惨で荒々しい描写も激しく心を揺れ動かさないように書かれていて、これが文章の力か、と思った。また、そんな表現方法が語り手の性格を浮き彫りにしているようにも思える。
    この時代、この身分、この情勢、この土地に生きること、それ以上に女性であること、男性であることを深く考えざるを得ない書。

  • コメントしづらい。なんというか、不快になるほどにうまく描けている。

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  • 「3人の男女の愛と死のドラマ」なんて安い紹介文が扉にあるせいで、購入をためらった読者は多いのでは?かくいう私もそう。決してそんなお安い作品ではない。評価の定まった名作を読むことは、安心感があるけれど、物足りなさも付いてくることが多い気がするが、本作はいい意味で裏切られた。

  • 高慢な男の語り口。遠まわしな表現ととっつきにくい美文で読みやすくは無いと思う。でも、とても美しい語り文。
    とどめの一撃は、彼女が出て行くきっかけになった、思わず口をついた一言だろうと思う。ラストではなく。
    情景が浮かぶ、良き本でした。

  • ひとりの若い女が、自分ではどうしようもない身の回りの状況に抗しながら気丈に生きるが、その支えになることを求められながらそれに応じなかった男の独白。悲劇のひとつのパターンではある。舞台は、第一次大戦後、ロシア革命の影響で、ボルシェビキ派と反ボルシェビキ派の戦場となった、今はバルト3国のある地域。渋い映画を1本観たような読後感。

  • 物語に必要な人数を考える。3人かな。うん、3人だな。ひとがひとのことを気にしながらもうひとりのひとを思うときのこと、たとえばそこには薄暗い感情などがあるということを、掘り起こしてくれる作品。

  • 愛の反対語は無関心だとマザーテレサが確か言ったような気がするのですが、人から寄せられた愛に無関心でしか応えられなかった人と愛を勝ち得なかった人の、愛ではない成就が書かれた話だったのでしょうか・・・
    息詰まる人が美しく淡々と描かれ、読みながらすごく近くに来た気もするし、すごく遠くまで来たような、なんともすごい・・・としかいえないお話でした。

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