イーゴリ遠征物語 (岩波文庫 赤 601-1)

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制作 : 木村 彰一 
  • 岩波書店 (1983年4月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003260111

イーゴリ遠征物語 (岩波文庫 赤 601-1)の感想・レビュー・書評

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  • ノヴゴロド・セーヴェルスキイの侯、イーゴリの遠征に基づいて描かれた中世ロシア文学作品。スラヴ神話の神々(例:ヴォロス、ストリボーク)に関する記述があり、数少ないスラヴ神話の一次資料としても知られる(もっとも、一・二行程度ではあるが)。
    この本の魅力は何と言ってもその格調高い翻訳であろう。比較的短い作品であるため、読み終わるのにもそれほど時間はかからない。ただ、物語としてはやや単調で物足りなく感じられるかもしれない。
    また、日本人にはなじみの薄い中世ロシア史などについてある程度の知識が無いと、この物語を味わう事は難しい。本書には、付録として『イパーチイ年代記』(ロシアの年代記『過ぎし年月の物語』の「イパーチイ写本」)のイーゴリの遠征部分が抄訳されているので、本編を読む前にまずそちらに目を通しておくのが良いと思う。

  •  プーシキンが「わが国文学の荒野にただひとつ立つ記念碑」と評したロシア中世文学の代表的な作品。ボロディンの歌劇『イーゴリ公』の原作でもある。
     1185年にノヴゴロドのイーゴリ公がポロヴェツ人に対して遠征した史実を描いている。公は緒戦こそ勝利するものの敗北し、捕虜となる。後に脱出して帰還するまでが物語だが、特に華々しい戦果や劇的な展開はない。歴史への興味を差し引くと、それほどおもしろいストーリーとも思わない。同時代の源平合戦を描いた『平家物語』のほうが、戦記としても文学としても優れているだろう。
     それでも、雄雄しく、叙情豊かで、ロシアへの愛国的賛歌にあふれた語り口には胸に迫るものがあり、後代のゴーゴリ『タラス・ブーリバ』を思わせる。ロシア文学の一つの原型がここにあるのだろう。

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