- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003260425
感想・レビュー・書評
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スペードの女王は、ストーリー展開も意外性があって多少のオカルトも入っていて、なかなか面白く読めた。
ペールキン物語は独立した5つの短編だが、どれもドラマチックで物語としてじゅうぶん楽しめた。中世ロマン派の小説が好きな人は気に入ると思う。
そして、やはり神西清さんの日本語がなんとも素晴らしい。 -
整っていて、おもしろい。
ナボコフがロシア文学三位一体説を唱えていたけれど、それによればトルストイが肉でゴーゴリが精神、その間をつなぐのがプーシキン(妖精)なのだそうな。たしかにバランス感覚はとてもいい。
ひとつも冗長なところはなく、後味が残らないほどあっさりとした幕切れ。
こういうところはロシア文学に受け継がれていってるんだろうなあ。
「吹雪」の、目の前がまったく見えないほどの吹雪の描写とか、なんか好きだ。異国のなかにも何か懐かしいものを感じる。
「百姓令嬢」も、なんかほのぼのしてて好きだなあ。 -
スペードの女王のサン・ジェルマン伯爵仕込みの魔術にはやられた。眩惑されて背中を一突きされた気分。ペールギン物語でその一発は日本の誰某に文体が似てる気がするし、吹雪は戦争と平和を思い出させ、葬儀屋はゴーゴリの外套を思い出させる。百姓令嬢は昔話にありそうな感じだ。
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ワフタンゴフ劇場で観た。
ベルキン物語はやっぱ「駅長」でしょう。 -
めちゃくちゃいい
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津村のよみなおし世界文学の1冊。津村が紹介する米国の小説よりも短編であるが各段に面白い。訳者がいいのか作者がいいのかよくわからない。
スペードの女王は映画になっているかもしれない。わずか50ページの短編であるが、面白さが凝縮されている。 -
プーシキンの短編集。結末が気になってどんどん読み進めさせる力と、見事なオチが楽しめる、物語らしい物語ばかりです。かるたに勝つ幻想にとらわれ、狂い転落していく男に笑いかける、スペードの女王が恐ろしい。
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■『スペードの女王』
①リザヴェータは老伯爵夫人の養女兼小間使い。朝から晩までこき使われ、不当な小言に苦しめられ、相談する相手もいなくって、 ……どうしてわたしだけこんなに辛いんだろ? だれか素敵な男性がここから救い出しいてくれないかなぁ……。ゲルマンの悪だくみに巻き込まれた時は正直あせったけど(◎_◎;)。あれ結局どうなったんだろう? わからないけどとにかく今は幸せ。優しいひとと結婚できたし、かわいい女の子を養子にできたし……。
❷老伯爵夫人は今宵も化粧は厚塗りで、深夜まで続く舞踏会にはせ参じる。 ……踊れはしない。それどころか、担ぎ込まれないと馬車にも乗れない。しかししがみ付いてやる! 全てのものに、この呪われた人生に。いや、たとえ死を迎えたとしても私は退場しませんゾ、永遠に続く舞踏会から。それでよろしゅうございましょう、サンジェルマン公爵?
③トムスキーは、女好き博打好きの若い貴族。 ……それより聞いてください、今ぼくは最高に幸せなんです。大尉に昇進できたしそれにポーリンがお嫁さんになってくれるって! え、誰? ……ゲルマンのこと? いやぁ、正直よく覚えていないなぁ。なんかちょっと変わった男がいたとはと思うけど……。
❹ゲルマンは、誰にも迷惑をかけるつもりなどなかった。発想も単に、奇跡を使ってゼロから大金を作り出そうとしただけの子供っぽい思いつきだったのだから。しかし関わった相手が悪すぎた。老伯爵夫人。ゲルマンはその老伯爵夫人の抱え込む禁断の呪いに触れてしまったのだ。……3(トロイカ)、7(セミョルカ)、1(トウズ)……3(トロイカ)、7(セミョルカ)、女王(ダーマ)……。
■『ベールキン物語』
決闘、駈落ち、幽霊、誘拐、ロマンス……。どれをとってもテンポが良くて非常にスリリング。神西清の至高の日本語と相まって、これはまさに珠玉の短編集だ。