検察官 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003260524

作品紹介・あらすじ

フレスターコフ青年は飢えに追われ、とある田舎宿にころがり込んだ。ところがなぜか市長らお歴々がお出迎え。どうやら検察官と間違えてのことらしい。そこで青年は、官吏たちの弱身につけこみ金を巻上げ、市長の妻や娘をたらしこんだうえ、一片の嘲りの手紙を残して去る。一同地団駄踏んでいるところへ今度は本物の検察官の到来が告げられる。

感想・レビュー・書評

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  • ■フレスタコーフによる渾身のパフォーマンスと鮮やかな逐電はお見事。市長ら小悪党どもとは役者が違った。
    ■位が上の者には徹底的に媚びへつらい、逆の場合は相手をヒトとも思わない。そんなロシアの官僚気質が今回も暴かれ茶化されているが、それにしてもゴーゴリの発想は変幻自在、自由闊達だ。本作は吉本新喜劇でもありそうなドタバタコメディだが、台風の目であるフレスタコーフのキャラクターを掘り下げず、騒動の後すぐに潔く退場させたのがミソ。より一層周辺登場人物たちの愚かさを際立たせることに成功している。

  • 「われわれは「ゴーゴリ」から出てきた」ロシアの作家
    愛すべきロシア人たち

  • 風刺といえば風刺なのだけれど、そして歴史的な価値もあるのだろうけれど、物語、戯曲、また演劇として上演したらどうなんだろう?大陸的な大味というか、少し牧歌的というか。

    ゴーゴリ本人もそれなりに苦しい思いをして生活していたらしいが、結局は都市の人。ここで描いているような田舎の人々のいやらしさを、もっと想像を膨らませてねちねちと書いてみてもよかったのにな、という感じ。

  • ゴーゴリは人生を耐え難くさせる、取るに足らない醜さや悪を容赦なく日の下に引きずり出す。

    率先して、あらゆる争いを放棄すること。勝利も敗北も届かない場所へ。恐怖から争いが生まれる。
    自分が脅かされているという考えが恐怖を生む。

    恐怖を飛び越えられるものは想像力だ。
    煩わしい、疑問だらけの世の中で、それでも誰かと生きたいのは、自分だけでは叶えられない願いを誰かに託すため。
    何に脅かされることもなく、平和に生きたい。全ての人と。少しでも長く。

  • ある日ロシアの田舎町に、首都からお忍びで検察官が視察に来るという噂が流れ、町の有力者達は大騒ぎに。そんな中、博打ですっからかんになったイヴァーンと従者のオシープがサンクトペテルブールクから町を訪れ…というお話。19世紀ロシアの田舎権力者達の愚かさを痛烈に皮肉った、ニコラーイ・ゴーゴリの古典的名戯曲です。終始非常に莫迦莫迦しく軽佻な雰囲気で話が進む喜劇で、登場人物の会話やキャラクターが面白おかしく且つ魅力的に描かれているのは流石ゴーゴリといったところ。その容赦ない皮肉の矛先は、他でもない当時「検察官」のメイン観客層であった上流階級の人々に向けられており、サティリスト・ゴーゴリの大胆さが窺えます(尤も彼自身は予想以上の反響の大きさにすっかり萎縮してしまったようですが)。その一方で、「検察官」で描かれた人間の愚かさ、滑稽さは現在の社会にも未だ見られるものであり、そういう意味でこの作品の登場人物達を他人のように笑い飛ばしてしまう事は出来ないのかもしれませんね。

    ロシア語文学の古典的名作は、日本でもナウカジャパンや日ソなどの書店さんを通して割と簡単に手に入るので、是非原著にも触れて欲しいです。

  • RusLit

  • 蔵書はまだ赤帯が付いていたころのもの。(赤370)もちろん岩波文庫★★ですね〜。

  • モスクワ中でやってます。

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