- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003260838
感想・レビュー・書評
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頭がいいのに何か足りない、この人のことを言うのだろうな。
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観念と言葉ばかりが先行し、それを現実世界に根を下ろさせる決断と実行を伴わなかった、19世紀ロシアの――しかし現代にもしばしば見られる――脆弱なインテリ青年=「無用者」の惨めで哀れな姿を描いた小説。高邁な理想を語りながらもついぞそれを現実化できずに生涯を閉じたルーヂン。彼がナターリヤに決断を迫られる場面での振舞は、何とも情けないものではあるけれど、しかし如何にも実際に在りそうな話だ。観念の中では大層な体系を築いていながら、ついに現実世界の中で具体的な自分の場所・役割を見出せない"根無し草"は、いつか人生に疲れ果ててしまう。現実の中で具体化・限定化されてしまうことへの、忌避。全く他人事ではない。
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博識ではあるが意志薄弱で行動が伴わなず、結局何事も成さずに終わってしまう知識人の一類型を典型的に描いた小説。ルーヂンは、初めのうちこそ、爽やかな弁舌で人々から一目置かれるが、そのうちにボロが出てしまう。その行動の過程と、周囲からの評価の変遷が実に簡明平易に描かれた佳作。
ロシア文学史上では「無用者」文学と位置づけられるこのような小説の系譜があるそうな。 -
Blog"蚕の桑"<a href="http://blogs.dion.ne.jp/calimero/archives/2342908.html " target="_blank">2005-11-21(蚕)</a>より
「大学受験予備校の講師の推薦だった。
予備校は、大学合格を目指すところではあるが、反面なぜ大学に行くのかを考えさせられるところである、とも云える。
むろん出はなを折ろうとしたのでなく、その最高学府を目指しインテリゲンチアにならんとする若者へのはなむけであった。」