罪と罰〈上〉 (岩波文庫)

制作 : Fyodor Mikhailovich Dostoevskii  江川 卓 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 2232
レビュー : 215
  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003261354

作品紹介・あらすじ

その年、ペテルブルグの夏は長く暑かった。大学もやめ、ぎりぎりの貧乏暮らしの青年に郷里の家族の期待と犠牲が重くのしかかる。この悲惨な境遇から脱出しようと、彼はある「計画」を決行するが…。世界文学に新しいページをひらいた傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 私にとって初のドストエフスキー。今までずっと興味を抱きながらも敬遠してきた理由は、ひとえに先入観である。まずドストエフスキーという名前からして威圧的であり、さらに『虐げられた人びと』『罪と罰』『悪霊』などの陰鬱なタイトルによって読む前から心が重ーくなり、半端な覚悟で読もうものなら心の奈落に叩き落されそうな気がして、つい腰がひけてしまっていた。しかも作者の顔写真を見れば、人類の苦悩を一身に背負ったような険しい表情で、軽い気持ちで読もうとすれば「出直してくるがよい、無学者!」とあの世から一喝されそうで何だかコワくて手が出せなかったのである。

    しかし、近代小説の極みとまで言われる傑作群を読まずに一生を終えてしまうのはあまりに勿体ないと急に思い立った。別に余命いくばくもない状況になったわけではないが、人生いつ何が起きるか分からない。今年も無事に年を越せた幸運に感謝するついでに、いつ何が起きても後悔しないよう、ここらで頑張って気になっていた作品を少しずつ、よくわからなくてもいいから読んでいこうと唐突に思ったのだ。それでとりあえず、もっとも気になっていた本作品から読んでみることにしたのである。

    結論は、読んでみて正解だった。「重厚長大で難解、素人には理解不能の超高尚な哲学的大作」という先入観は見事に覆された。正確には、高尚な哲学的大作には違いないのだが、ありがたいことに哲学的な部分を抜きにしても純粋にエンターテイメントとして読んでいけるほど、物語として面白いのだ。文章も思ったほど難解ではなく、ストーリーを追うだけなら高校生でも可能だろう。少なくとも近代日本の私小説に比べればはるかにリーダブルだというのが私の印象だ。

    上巻は総じて、中・下巻のための前ふりという感じ。正直なところ最初の100ページほどは、読者は忍耐が必要かもしれない。ひたすら主人公・ラスコーリニコフ青年のモノローグによる自問自答が繰り返され、本筋とは一見無関係の(しかし実は必要不可欠な伏線である)エピソードが続くからだ。

    しかし、「ひとつのちっぽけな犯罪は数千の善行によってつぐなえないものだろうか?」という、物語の根幹をなす重要テーマのひとつが提示されると、物語は本格的に動き始める。そして最初のクライマックスである老婆殺害が遂行されると、主人公の苦悩の日々が始まり、警官とのやりとりや近代主義的哲学談義など幾つかの小さな山場を経て、聖なる娼婦・ソーニャとの運命的出会いによって上巻は終わる。全体として上巻はやや冗長に感じられるかもしれないが、これはすべて中巻以降に次々と繰り出される熱狂的クライマックスのために必要な伏線なので、ぜひとも頑張って読破したい。

    ともあれ、あえて強引にまとめてしまうと、これは読者にとって非常にコスト・パフォーマンスの良い作品だと言える。ほとんど推理小説のノリで楽しめるにも関わらず、読了後には「ドストエフスキー、読んじゃったもんね~」という優越感(?)に浸れるのだ。しかも意外なことに、読後感は決して悪くない。下巻のネタバレになってしまうが、バッドエンドだろうという予想に反して、エピローグは主人公の魂の救済を予感させる美しいエピソードで締めくくられているのだ。いかめしい名前と顔に反して、ドストエフスキーは意外とサービス精神旺盛な作家だったのかもしれない。「サービスではない、深遠な思索と人間性の追求による帰結だ!」と、それこそあの世から怒声が聞こえてきそうだが、読んでいて本当に楽しかったのは事実なのであるから、ご寛恕願いたいものである。

  • 自分は非凡だと確信している青年が、その非凡さ故に金貸しの

    ああもう無理だ。面倒だ。
    要するに馬鹿が金貸しババァの頭を斧でかち割って、勝手に怯え続けるだけの話だよ。

    古典として読んでおくと色々と他のお話を読む、観るにあたり
    良い予備知識となるし
    ロシア人ってのは寒くて薄暗い部屋の中でじっとしてるからこんな鬱々としてひたすらに長ったらしい文章を思い付くんだよ
    っつーか何よあの言語形態。長ったらしい上に書き辛くてボフボフ何云ってんだがわかんない言語。
    そんな生活してっからそんな言葉思い付くんだよとか思ったり
    あー夏目漱石とか、こういうのの影響受けまくってたりするんじゃね?
    っていうか、この当時の翻訳家ってこういう翻訳が流行ってたんかなーとか

    まぁ、死ぬ迄に暇すぎて仕方がないなら読んでおくべき本だとは思います。
    はい。

    大体だな
    良い年をした大人が罪だの罰だの罪だの罰だの!

    宇宙海賊コブラは「(神について)罪なんて詰まらんもんを生み出した奴さ」つってんだ
    ンなもん感じてんじゃネーよ。
    大体その二つは道徳と倫理とかいう
    「それが有る事で過去から現在まで唯の一人でも幸せに成った事あるんかね?」
    ってわけわかんねー人間の精神を苦しめるだけの毒を後生大事にs

  • 重くて読み辛そうだと敬遠していたが、高校生のとき手に取ったら意外と読みやすかった。
    考えながらもつい、読み進めてしまう、そんな一冊。
    【熊本学園大学:P.N.モコ】

  • 私を読書好きにしてくれた、運命の一作。
    江川卓のヘタレクンな訳がスキ!

  • 『『罪と罰』を読まない』を読まなかったら、もしかすると一生読まなかったかも知れない本書。日常では使わないような、読みも判らない熟語が結構出てきて、ネットで調べつつの読書となった。ラスコーリニコフの、構想に酔ったような殺人と、その後の狼狽ぶりがウザさを増大させる。本書は第一部と、第二部の序盤を収める。まだ「罪」の部分であり、挙動不審なラスコにイラッとしながら読了。第二部へ入る。
    なお、読了したのは奥付・初版1928年、改版1958年、第61刷1984年のものだが、本サイトには登録されていないため、ここに感想を書き入れるものである。

  • 自分がこの小説を理解しきれてないのか、それとも、理解しきれないような内容ということで理解していいのか不安はあるが、難解な中にも、スリルや共感するような個所もあるので、それなりに楽しく読めた。
    主人公のラスコーリニコフの思想は、かなりあっちへいき、こっちへ戻りとするので、一気に読み進めないと疲れてしまうかも。
    全三冊

  • 上巻を読了、中巻に進みます。
    10代の頃に読みかけて途中でやめてしまってから敬遠していましたが、何と、無茶苦茶面白いじゃないですか。今さら知るとは恥ずかしいですが。

  • 最初に三つの伏線が提示され(①マルメラードフとの邂逅とソーニャを含むその極貧の家族の紹介 ②母からの手紙を介した、妹とルージンとの政略結婚の事情 ③足の向くまま訪れた友人ラズミーヒンという男の存在)、そのあとすぐに凄惨な殺人場面に突入していきなりクライマックスに達する。ラスコーリニコフの犯罪も大胆だが、ドストエフスキーの構成も大胆だ。

    犯行後、ラスコーリニコフは、暴れだした良心と格闘しながら、④怪人スヴィドロガイロフ、⑤予審判事ポルフィーリーを迎え撃つ。

    結果、①マルメラードフ夫婦は凄惨な死を遂げ一家離散。しかしルージンに陥れられそうになったソーニャはラスコーリニコフに救い出される。②ラスコーリニコフはソーニャの事件を通じてルージンを撃退し妹の結婚を反故にする。③”気のいいヤツ”ラズミーヒンは妹に一目ぼれ。ラスコーリニコフの健康を心配して東奔西走するが、そうするうちに妹と両想いになる。④妹をレイプしそこなったスヴィドロガイロフは拳銃自殺。自ら舞台から降りる。⑤しかしラスコーリニコフはポルフィーリーには降参。ソーニャに導かれ、大きな犠牲が払われたうえで(最愛の母の死)、罪を認めシベリアへと送られる。

    極寒、最果ての流刑地シベリアで相まみえた三人の愛すべき男たち、ロジオン・ロマーヌイッチ、ドミートリー・フョードルビッチ、フョードル・パーブロビッチは果たしてその時、何を語り合ったのだろうか?



    『罪と罰 上』あらすじ

    ロジオン・ロマーヌイッチ・ラスコーリニコフが現場を下見する。
    酒場でマルメラードフと知り合って話を聞く。
    マルメラードフを家まで送っていき家族の悲惨な状況を目の当たりにする。

    母プリヘーリアから手紙がきて、ロジオンのためにドゥーニャが悪党ルージンと結婚しようとしているのを知る。
    公園で変な男女と遭う。
    ワシリエフスキー島のラズミーヒンの家に行きかける。
    草の上にぶっ倒れて馬が殴り殺される夢を見る。
    リザヴェータが明日夕方6時過ぎに不在であることを、センナヤ広場の雑踏ででたまたま耳にする。

    朝からほとんど眠って過ごす。
    夕方6時過ぎに慌てて起きだし、上着の内側の腋の下にわっかを付けて、そこに斧をひっかけて、殺しに出かける。老婆は殺すことができたが、犯行の途中にリザヴェータが帰ってきてしまい、彼女も殺すこととなる。強運にも恵まれ、誰の目に留まることもなく家に帰り着く。

    朝2時にいったん目が覚める。
    朝10時警察から呼び出しがある。ニコジム・フォミッチ警察署長、イリア・ペトリーヴィッチ副所長、ザメートフ事務官に取り囲まれる。疑心暗鬼のままそこで督促状への返答書を書くが、金貸し老婆殺人事件のことが話されるのが耳に入ってきてその場に倒れる。
    盗品を石の下に隠しに行く。
    今度こそラズミーヒンのところへ行くがすぐ帰る。
    乞食と間違われて20コペイカ施されるが河に捨てる。

    (このあと4日間人事不省)

    女中ナスターシャ、近くに引っ越してきたラズミーヒン、若い医者ゾシーモフがロジオンを介護している。
    ラズミーヒンが、今晩引っ越し祝いをするから出席するようにロジオンにいう。出席予定者には予審判事ポルフィーリー、ザメートフ事務官などがいる。
    ラズミーヒンは今回の殺人事件でペンキ屋のミコライが捕まったが彼が犯人であるはずがないと主張する。
    そこにルージンが現れのっけから威圧的に振舞おうとするが、逆にロジオンとラズミーヒンにやりこめられる。
    ひとりにするようラズミーヒンらを追い返し、もう片を付けてしまおうと決心して外出する。
    レストランでザメートフと遭う。疑われているのを知って逆に大胆にふるまう。
    帰るとラズミーヒンに引っ越しパーティーに誘われる。
    再び散歩、女の身投げに遭遇する。
    犯行現場に立ち戻り警察に行こうとすると、マルメラードフが馬に轢かれたのに出くわす。
    瀕死のマルメラードフを彼の家に連れ帰る。
    カテリーナ、ソーニャの妹ポーレチカ、リードチカに見守られながら、マルメラードフは悲惨な死を遂げる。
    有り金全部をマルメラードフの葬儀代に差し出す。
    この騒ぎをフォミッチ警察署長も見に来ている。
    ポーレチカと仲良くなり、自分には人生がまだあることに気付かされる。
    ラズミーヒンのパーティーに挨拶だけしに行く。
    ラズミーヒンと家に帰ってくると母と妹が待っている。
    彼らを見てロジオンは気絶する。
    「気さくな若い人」ラズミーヒンは彼を介抱するが、ロジオンはドゥーニャに結婚は反対だとはっきりと告げる。

  • 映画『17歳のカルテ』の‬
    ‪"Have you ever confused a dream with life?"‬
    ‪という台詞を思い出した。‬

  • 2018年8月9日に紹介されました!

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著者プロフィール

ロシアの小説家、思想家。トルストイやチェーホフとともに19世紀後半のロシア文学を代表する文豪。

「2008年 『罪と罰 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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