罪と罰〈上〉 (岩波文庫)

制作 : Fyodor Mikhailovich Dostoevskii  江川 卓 
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003261354

作品紹介・あらすじ

その年、ペテルブルグの夏は長く暑かった。大学もやめ、ぎりぎりの貧乏暮らしの青年に郷里の家族の期待と犠牲が重くのしかかる。この悲惨な境遇から脱出しようと、彼はある「計画」を決行するが…。世界文学に新しいページをひらいた傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 私にとって初のドストエフスキー。今までずっと興味を抱きながらも敬遠してきた理由は、ひとえに先入観である。まずドストエフスキーという名前からして威圧的であり、さらに『虐げられた人びと』『罪と罰』『悪霊』などの陰鬱なタイトルによって読む前から心が重ーくなり、半端な覚悟で読もうものなら心の奈落に叩き落されそうな気がして、つい腰がひけてしまっていた。しかも作者の顔写真を見れば、人類の苦悩を一身に背負ったような険しい表情で、軽い気持ちで読もうとすれば「出直してくるがよい、無学者!」とあの世から一喝されそうで何だかコワくて手が出せなかったのである。

    しかし、近代小説の極みとまで言われる傑作群を読まずに一生を終えてしまうのはあまりに勿体ないと急に思い立った。別に余命いくばくもない状況になったわけではないが、人生いつ何が起きるか分からない。今年も無事に年を越せた幸運に感謝するついでに、いつ何が起きても後悔しないよう、ここらで頑張って気になっていた作品を少しずつ、よくわからなくてもいいから読んでいこうと唐突に思ったのだ。それでとりあえず、もっとも気になっていた本作品から読んでみることにしたのである。

    結論は、読んでみて正解だった。「重厚長大で難解、素人には理解不能の超高尚な哲学的大作」という先入観は見事に覆された。正確には、高尚な哲学的大作には違いないのだが、ありがたいことに哲学的な部分を抜きにしても純粋にエンターテイメントとして読んでいけるほど、物語として面白いのだ。文章も思ったほど難解ではなく、ストーリーを追うだけなら高校生でも可能だろう。少なくとも近代日本の私小説に比べればはるかにリーダブルだというのが私の印象だ。

    上巻は総じて、中・下巻のための前ふりという感じ。正直なところ最初の100ページほどは、読者は忍耐が必要かもしれない。ひたすら主人公・ラスコーリニコフ青年のモノローグによる自問自答が繰り返され、本筋とは一見無関係の(しかし実は必要不可欠な伏線である)エピソードが続くからだ。

    しかし、「ひとつのちっぽけな犯罪は数千の善行によってつぐなえないものだろうか?」という、物語の根幹をなす重要テーマのひとつが提示されると、物語は本格的に動き始める。そして最初のクライマックスである老婆殺害が遂行されると、主人公の苦悩の日々が始まり、警官とのやりとりや近代主義的哲学談義など幾つかの小さな山場を経て、聖なる娼婦・ソーニャとの運命的出会いによって上巻は終わる。全体として上巻はやや冗長に感じられるかもしれないが、これはすべて中巻以降に次々と繰り出される熱狂的クライマックスのために必要な伏線なので、ぜひとも頑張って読破したい。

    ともあれ、あえて強引にまとめてしまうと、これは読者にとって非常にコスト・パフォーマンスの良い作品だと言える。ほとんど推理小説のノリで楽しめるにも関わらず、読了後には「ドストエフスキー、読んじゃったもんね~」という優越感(?)に浸れるのだ。しかも意外なことに、読後感は決して悪くない。下巻のネタバレになってしまうが、バッドエンドだろうという予想に反して、エピローグは主人公の魂の救済を予感させる美しいエピソードで締めくくられているのだ。いかめしい名前と顔に反して、ドストエフスキーは意外とサービス精神旺盛な作家だったのかもしれない。「サービスではない、深遠な思索と人間性の追求による帰結だ!」と、それこそあの世から怒声が聞こえてきそうだが、読んでいて本当に楽しかったのは事実なのであるから、ご寛恕願いたいものである。

  • 自分は非凡だと確信している青年が、その非凡さ故に金貸しの

    ああもう無理だ。面倒だ。
    要するに馬鹿が金貸しババァの頭を斧でかち割って、勝手に怯え続けるだけの話だよ。

    古典として読んでおくと色々と他のお話を読む、観るにあたり
    良い予備知識となるし
    ロシア人ってのは寒くて薄暗い部屋の中でじっとしてるからこんな鬱々としてひたすらに長ったらしい文章を思い付くんだよ
    っつーか何よあの言語形態。長ったらしい上に書き辛くてボフボフ何云ってんだがわかんない言語。
    そんな生活してっからそんな言葉思い付くんだよとか思ったり
    あー夏目漱石とか、こういうのの影響受けまくってたりするんじゃね?
    っていうか、この当時の翻訳家ってこういう翻訳が流行ってたんかなーとか

    まぁ、死ぬ迄に暇すぎて仕方がないなら読んでおくべき本だとは思います。
    はい。

    大体だな
    良い年をした大人が罪だの罰だの罪だの罰だの!

    宇宙海賊コブラは「(神について)罪なんて詰まらんもんを生み出した奴さ」つってんだ
    ンなもん感じてんじゃネーよ。
    大体その二つは道徳と倫理とかいう
    「それが有る事で過去から現在まで唯の一人でも幸せに成った事あるんかね?」
    ってわけわかんねー人間の精神を苦しめるだけの毒を後生大事にs

  • 重くて読み辛そうだと敬遠していたが、高校生のとき手に取ったら意外と読みやすかった。
    考えながらもつい、読み進めてしまう、そんな一冊。
    【熊本学園大学:P.N.モコ】

  • 私を読書好きにしてくれた、運命の一作。
    江川卓のヘタレクンな訳がスキ!

  • 当時、ユゴーの「レ・ミゼラブル」を読了してから数か月、少し文学に触れてみようかと思い、購入。キリスト教知識は、その数年後に福音書その他を読んで得たたため、すべてを理解しきれはしなかったが、のめり込んで読んだ思い出がある。

  • 意外と面白くてびっくりしてる。

  • レヴュは下巻にて。

  • 初見。何でこの世界の人は、こんなに面倒見がいいんだろう。そして、事件現場はある程度凄惨なはずなのに、血生臭くない。そんな事をほやほや浮かべつつ、中編へ。

  • FeBeで聴書

    主人公の心の動きを整理してみました。
    ある計画が頭に浮かんでいるが、現実味がなく感じている。
    マルメラードフとの出会い。自分の惨めな境遇と重なって、彼に共感する。人間どこかに居場所がなくっちゃいけない。
    母からの手紙。彼の人柄が分かる。妹想いの兄であること。事の一切を見抜く鋭い利口さがある。ひねくれている。
    衝動的に行った外出。偶然に絶好の機会が訪れ、計画の実行を決心する。
    計画の決行。精細さを欠いた、行き当たりばったりの行動から決心しつつも、自分の中で受け入れられていないことが分かる。そして、自らが事を起こす前に想像していたにも関わらず、気が動転しこらえきれなくなる。
    その後は、自らの行いを受け止められない。
    病気になり、証拠を隠滅する。
    それでも、罪の意識が彼の心を蝕み、自首、自殺の寸前まで行った。
    マルメラードフの死に直面する。彼を救おうとすることで主人公の本来の良心が蘇る?もしくは彼の娘から感謝されることで救われる。


    貧しさからすっかり心がやせ細った人間の起こす、人の矮小さ、心の葛藤が描かれていて面白いです。

    続編が楽しみです。

  • 読了日:2017/10/22

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