罪と罰 上 (岩波文庫 赤 613-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003261354

感想・レビュー・書評

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  • 上巻を読了、中巻に進みます。
    10代の頃に読みかけて途中でやめてしまってから敬遠していましたが、何と、無茶苦茶面白いじゃないですか。今さら知るとは恥ずかしいですが。

  • 最初にラスコーリニコフをめぐる三つの伏線が提示され(①マルメラードフとの出会いとソーニャを含むその極貧の家族の紹介 ②母からの手紙を介した、妹とルージンとの政略結婚の事情 ③足の向くまま訪れた友人ラズミーヒンという男の存在)、そのあとすぐに凄惨な殺人の犯行場面になっていきなりクライマックスに達する。ラスコーリニコフの犯罪も大胆だが、ドストエフスキーの構成も大胆だ。

    犯行後、ラスコーリニコフは、暴れだした良心と格闘しながら、④怪人スヴィドロガイロフ、⑤予審判事ポルフィーリーを迎え撃つ。

    結果、①マルメラードフ夫婦は凄惨な死を遂げ一家離散。しかしルージンの奸計に陥れられそうになったソーニャはラスコーリニコフに救い出される。②ラスコーリニコフはルージンの化けの皮をはがして、ルージンと妹との結婚を反故にする。③”気のいいヤツ”ラズミーヒンは妹に一目ぼれ。親友ラスコーリニコフの健康を心配して東奔西走するが、そうするうちに妹と両想いになる。④妹をレイプしそこなったスヴィドロガイロフは拳銃自殺。自ら舞台から降りる。⑤しかしラスコーリニコフはポルフィーリーに降参。ソーニャに導かれ、大きな犠牲が払われたうえで(最愛の母の死)、罪を認めシベリアへと送られる。

    極寒、最果ての流刑地シベリアで相まみえた三人の愛すべき男たち、ロジオン・ロマーヌイッチ、ドミートリー・フョードルビッチ、フョードル・パーブロビッチは果たしてその時、何を語り合ったのだろうか?



    『罪と罰 上』あらすじ

    ロジオン・ロマーヌイッチ・ラスコーリニコフが現場を下見する。
    酒場でマルメラードフと知り合って話を聞く。
    マルメラードフを家まで送っていき家族の悲惨な状況を目の当たりにする。

    母プリヘーリアの手紙の内容から、妹のドゥーニャがわが身を犠牲にして兄ラスコーリニコフのために悪党ルージンと結婚しようとしているのを察する。
    公園で変な男女と遭う。
    ワシリエフスキー島のラズミーヒンの家に行きかける。
    草の上にぶっ倒れて馬が殴り殺される夢を見る。
    リザヴェータが明日夕方6時過ぎに不在であることを、センナヤ広場の雑踏の中でたまたま耳にする。

    朝からほとんど眠って過ごす。
    夕方6時過ぎに慌てて起きだし、上着の内側の腋の下にわっかを付けてそこに斧をひっかけて、犯行に出かける。金貸しの老婆は殺すことができた。しかしその途中にリザヴェータが帰ってきてしまい、彼女も殺すハメになってしまった。それ以外は計画通り。ラスコーリニコフは強運にも恵まれ、誰の目に留まることもなく家に帰り着く。

    朝2時にいったん目が覚める。
    朝10時警察から呼び出しがある。ニコジム・フォミッチ警察署長、イリア・ペトリーヴィッチ副所長、ザメートフ事務官に取り囲まれるが、殺人事件のことは口の端にものぼらない。疑心暗鬼を抱えたまま、言われるままに督促状への返答書を書く。その時金貸し老婆が殺されたという話が耳に入ってくる。ラスコーリニコフは気絶してその場に倒れる。
    警察から戻ってくるとまず、盗品を石の下に隠しに行く。
    今度こそラズミーヒンのところへ行くがすぐ帰る。
    乞食と間違われて20コペイカ施されるが河に捨てる。

    (このあと4日間人事不省)

    女中ナスターシャ、近くに引っ越してきたラズミーヒン、若い医者ゾシーモフがラスコーリニコフを看護している。
    ラズミーヒンが、今晩引っ越し祝いをするから出席するようにラスコーリニコフにいう。出席予定者には予審判事ポルフィーリー、ザメートフ事務官などがいる。
    ラズミーヒンは金貸しの老婆殺人事件でペンキ屋のミコライが捕まったが彼が犯人であるはずがないと主張する。
    そこにルージンが現れのっけから横柄に振舞う。が、逆にラスコーリニコフとラズミーヒンにやりこめられる。
    自分をひとりにしてくれるようラズミーヒンらを追い返し、もう片を付けてしまおうと決心して外出する。
    レストランでザメートフと遭う。殺人事件の件で自分が疑われているのを知って逆に大胆にふるまう。
    帰るとラズミーヒンの引っ越しパーティーに誘われる。
    再び散歩。女の身投げに遭遇する。
    犯行現場に立ち戻ってから自首しに行こうとすると、マルメラードフが馬に轢かれたのに出くわす。
    瀕死のマルメラードフを彼の家に連れ帰る。
    カテリーナ、ソーニャの妹ポーレチカ、リードチカに見守られながら、マルメラードフは悲惨な死を遂げる。
    手持ちの有り金全部をマルメラードフの葬儀代に差し出す。
    この騒ぎをフォミッチ警察署長も見に来ている。
    ポーレチカと仲良くなり、自分にはまだ先の人生があることを教えられる。
    ラズミーヒンのパーティーに挨拶だけしに行く。
    ラズミーヒンと家に帰ってくると予告なく母と妹が来て待っている。
    彼らを見てラスコーリニコフはまた気絶する。
    「気さくな若い人」ラズミーヒンは彼を介抱する。意識が戻ったラスコーリニコフはドゥーニャに、ルージンとの結婚には反対だとはっきり告げる。

  • 2018年8月9日に紹介されました!

  • 思ったよりすんなり読めた。
    没頭するにはもってこい。
    この青年はどうなるのかしらー。

  • 当時、ユゴーの「レ・ミゼラブル」を読了してから数か月、少し文学に触れてみようかと思い、購入。キリスト教知識は、その数年後に福音書その他を読んで得たたため、すべてを理解しきれはしなかったが、のめり込んで読んだ思い出がある。

  • 意外と面白くてびっくりしてる。

  • レヴュは下巻にて。

  • 初見。何でこの世界の人は、こんなに面倒見がいいんだろう。そして、事件現場はある程度凄惨なはずなのに、血生臭くない。そんな事をほやほや浮かべつつ、中編へ。

  • FeBeで聴書

    主人公の心の動きを整理してみました。
    ある計画が頭に浮かんでいるが、現実味がなく感じている。
    マルメラードフとの出会い。自分の惨めな境遇と重なって、彼に共感する。人間どこかに居場所がなくっちゃいけない。
    母からの手紙。彼の人柄が分かる。妹想いの兄であること。事の一切を見抜く鋭い利口さがある。ひねくれている。
    衝動的に行った外出。偶然に絶好の機会が訪れ、計画の実行を決心する。
    計画の決行。精細さを欠いた、行き当たりばったりの行動から決心しつつも、自分の中で受け入れられていないことが分かる。そして、自らが事を起こす前に想像していたにも関わらず、気が動転しこらえきれなくなる。
    その後は、自らの行いを受け止められない。
    病気になり、証拠を隠滅する。
    それでも、罪の意識が彼の心を蝕み、自首、自殺の寸前まで行った。
    マルメラードフの死に直面する。彼を救おうとすることで主人公の本来の良心が蘇る?もしくは彼の娘から感謝されることで救われる。


    貧しさからすっかり心がやせ細った人間の起こす、人の矮小さ、心の葛藤が描かれていて面白いです。

    続編が楽しみです。

  • 読了日:2017/10/22

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