アンナ・カレーニナ 下 (岩波文庫 赤617-3)

  • 岩波書店 (1989年11月16日発売)
3.90
  • (27)
  • (23)
  • (30)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 337
感想 : 29
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (513ページ) / ISBN・EAN: 9784003261736

みんなの感想まとめ

人間の心の葛藤や時代の問題を深く掘り下げた作品で、登場人物たちの感情が緻密に描写されています。特に、愛や罪の意識がもたらす苦悩が、アンナやレーヴィンの視点から鮮明に描かれ、読者は彼らの内面に強く共感し...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この長い小説の中で個々が抱えるその時代の問題点が事細かく、こころの揺れ動きを交えて表現されている。こころの描写が凄すぎて一人一人になりきってしまえた。愛するが故にそれを恐ろしいと思えてしまう息子、妻、友人!
    落ち込みたいときに読むととことん落ち込める!
    アンナの行動はこころの動きを考えると、当然とも言えるかもとも思えてしまう。

  • この巻に来るとアンナは完全におかしくなっていく。彼女を追いつめて行ったもの、やはり罪の意識が大きいんじゃないかと思う。自分自身では悪い事をしたと思っていない、むしろ非を認めたくない。それでも世間から罪人のレッテルを貼られ、穿った見方をされる事実に押し潰されてしまったのだろう。

    もう一人の主人公レーヴィンは真理の追求を求めて止まない。これは家庭を描いた小説…と言えどもテーマは重く、読んでいてかなりしんどかった。

  • もしこの信仰をもたず、自分の欲得のためではなく、神のために生きなければならぬということを知らなかったら、おれはいったいどんな人間になっていたか、またどんな生活を送ってきたか。掠奪を働いたり、うそをついたり、人殺しをやったかもしれぬ。現在おれの生活の大きな喜びとなっているものなど、一つもおれにとっては存在しなかったかもしれぬ。

  • 思うことが多すぎて語りきれません。私の中では、これまで読んだ小説の中で一番と言っていいほどの傑作でした。
    これは、「不倫の物語」というより「夫婦の物語」。複数の夫婦が登場し、それぞれの言い分と生き方が語られていきます。作品の舞台である1870年代のロシアと現代日本では夫婦関係(ジェンダー意識)にかなり変化があったはずなのに、何でしょうこの「あるある」感は。古今東西、人間の本質は共通不変なんじゃないかと、こういう海外の古典を読むと思わされます。
    男性側の意見だけならいざ知らず、トルストイはなんでこんなに女の気持ちが分かるのでしょう。ドリイがアンナを訪ねに行くシーンで、家庭と自分の生き方について思い悩み、もう子育ての「監獄」には帰りたくない、とあれほど強く思ったのに、帰る時にはすでにわくわくしはじめ、戻ってみるとそんな思いはすっかり忘れてしまっている...というところなど、恐ろしいほどです。
    レーヴィンがモスクワで感じる違和感とそれに慣れていくところも、本筋に関わらないので少し冗長にも感じますが、よく読むと面白いです。あの純粋、愚直なレーヴィンでさえ、都会の欺瞞に染まりかけるわけです。
    最終章は過分に宗教的で、余計なつけたしと思う方もいるかもしれませんが、レーヴィンが行きついた生き方を通して、トルストイが考える「生きていくうえで本当に大切なこと」が伝わってきます。

  • 2023.06.04

  • アンナは正式な離婚を望む。が夫は拒否。ウロンスキイはアンナを愛したが、社交界で孤立してゆく彼女に次第に幻滅を感じる。絶望したアンナはついにホームから身を投げる、「これで誰からも、自分自身からものがれられるのだ」とつぶやきつつ。
    原題:Анна Каренина
    (1877年)

  • 当時のロシア社会のことはよく分からない。作者の投影であるレーヴィンの農民への考え方が同時にあってどういう意味を持つのか、政治のことも労働の賃金のことも、たくさん出てくるけれど頭に入ってこなかった。ただあれほど愛し合っていたアンナとウロンスキイがどんどん冷めていって、被害妄想に囚われたアンナが病んでいく様子とか、生活に疲れ切りながらも子どものことばかり考えてしまうドリイの描写がリアルだった。アンナを不貞だと責めるだけではなく、あれこそが自由で良いとドリイが一種憧れを持つような心の動きとか。
    冒頭にある、レーヴィンの兄セルゲイがワルワーラにプロポーズしようとしてお互いにそれを意識しながらもタイミングを逃してしまう話がお互いに切ない。

  • こころの動きというか揺れくらいのとこまでちゃんと言葉でとらえ、削り出せてるとこは唸るしかない。
    この本を読んで考えるのは愛ってすげぇ曖昧やなと、人によって、状況によって、時代によって、気持ちによって形を変えるもんやから形だけ見ると全然違うもんになる。風船のどこかを指で押すといろんな形になるように。
    書評はオブロンスキー家、カレーニン家、レーヴィン家の対比だというけど、おれにはアンナとレーヴィンの対比に思えてならない。
    1人は身を焦がし、滅ぼすほどに愛を求め、1人は疑り深く慎重に愛に近づいていく。
    もう一つのクライマクスはニコライの事件やろう、何がってその時のレーヴィンの気持ちの動きが見事。

  • 読んでいる時と読み終わった後で印象の変わる不思議な本。アンナの華やかな物語と、リョービンの素朴な物語が交互に展開されていく。
    読んでいる時は華やかなアンナの話が面白く展開が気になりリョービンの話は退屈に思えたのだが、読み終わってみるとリョービンの農夫達と共に働く時の話やキティとのささやかなやりとりが、胸にじんわりと染み入るように思い出される。
    人生における幸せとは案外このように必ずしも刺激的なわけではなく、普段は見過ごされがちだがふとした時に思い出されるようなものなのかもしれない。

  • 「アンナ・カレーニナ(下)」トルストイ著・中村融訳、岩波文庫、1989.11.16
    514p ¥600 C0197 (2019.02.11読了)(1998.07.16購入)(1995.10.05/5刷)

    【目次】(なし)
    第六編  5頁
    一~三二
    第七編  227頁
    一~三一
    第八編  413頁
    一~一九
    解説   501頁
    一~三  中村融

    ☆関連図書(既読)
    「アンナ・カレーニナ(上)」トルストイ著・中村融訳、岩波文庫、1989.11.16
    「アンナ・カレーニナ(中)」トルストイ著・中村融訳、岩波文庫、1989.11.16
    「光りあるうちに光の中を歩め」トルストイ著・米川正夫訳、岩波文庫、1928.10.10
    「人はなんで生きるか」トルストイ著・中村白葉訳、岩波文庫、1932.09.25
    「イヴァンの馬鹿」トルストイ著・米川正夫訳、角川文庫、1955.08.05
    「戦争と平和(一)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.01.17
    「戦争と平和(二)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.02.16
    「戦争と平和(三)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.03.16
    「戦争と平和(四)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.05.16
    「戦争と平和(五)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.07.14
    「戦争と平和(六)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.09.15
    「トルストイ『戦争と平和』」川端香男里著、NHK出版、2013.06.01
    (「BOOK」データベースより)amazon
    アンナは正式な離婚を望む。が夫は拒否。ウロンスキイはアンナを愛したが、社交界で孤立してゆく彼女に次第に幻滅を感じる。絶望したアンナはついにホームから身を投げる、「これで誰からも、自分自身からものがれられるのだ」とつぶやきつつ。

  • 読者はほとんどの場合これがアンナの悲劇だと知って読むだろう。いかにアンナの心理は暗闇に近づくのか、いかに人間関係や社会事情がアンナの進む道に巧妙な罠を隠したか。

    いわばゴール地点の「駅」で読者は待ちうけ、蛇行を続けながら近づいてくるアンナを見ている。ある意味、悪趣味で残酷な読書であるわけだ。

    膨大な登場人物のそれぞれの人生を直線で引いて考えると面白い。もう一人の主人公レーヴィンと、アンナの線は近づく機会が少ない。下巻でつかの間交差するが、その時見せる両者の闇は印象深い。ウロンスキーとアンナの線は鉄条網のように絡み合いながら、結局は別の二本の線だということがはっきりしてゆく。

    各線が乱反射するように見える、ロシアの貴族社会。その中でもアンナの引いた極太の線は強烈な印象を与える。巻が進むごとに、利き腕ではない左手で引いたような波状の線へと変わってゆく様が、何とも言えない。

    何気ない一文で語られる心理や、世の闇、小さな希望、など、おそろしく慧眼。凡百の作家であればその一文でひとつの作品にしてしまうのだろうな、と思わせる箇所が砂のように多数あふれているのも、本書のおそろしさ。

  • アンナとウロンスキイの関係は共感。

  • レーヴィンが生の目的について理解するシーン、志賀直哉の暗夜行路で時任謙作が大山に寝転ぶシーンと何かが私の中でリンクした。本と本とが自己の中で繋がっていくのは、なんて尊いことだろう!

  • 下巻が、長かった。。。

    全体を振り返ってみると、繋がりが半端なくきれいな作品だった。
    登場人物が登場人物を呼び、影響を与え合う様がすごかった。

    何よりアンナの絶対的な魅力。
    それを自覚してからの、凄み。
    どんどん黒の似合う女に見えてくるから、びっくりする。
    そして、ヴロンスキーの心を見透かした後、決定的な傷跡を残す執念。恐ろしい。。。

    対照的に、レーヴィンとキチイが淡々と想いを交わし、幸せを育んでいく様子がちらちらと挿入される。個人的にはほっと息がつけて良かった(笑)
    このゆったりさがあるからこそ、アンナのクライマックスは尚、劇的に見える。

    男は社会に囲われ、女は愛に倒れる。
    平安時代のドラマ性も、やはり社会と愛の狭間で揺れ動く所にあるのだと思う。
    ただ、アンナはもがいた。
    それが道徳的でないと分かっていたし、神に縋るようなこともせず、己の身を打ち込んだ。

    このクライマックスは誰も忘れようとも、忘れられまい。

  • アンナの最期は緊迫感があった

  • p120のドリイの子育ての苦悩。

    P325からのキチイの出産シーン(とりわけ、p342とp343の「と、沈黙のただなかに、この母親の問いに対する疑いをいれぬ答えとして、しつないのそこここに聞こえる控えめな話し声とは全く違った、新しい声が起こった。それは、どこからとも知れず現れてきた新しい一個の人間の、勇敢な、あたりかわわぬ、何者をも顧慮しようとしない叫び声であった)。

    P452のアンナの自殺シーン(これは文学的にあまりによく書けていて、そして真実だ)。

    P483の母と子の絆の表現。この書、とりわけアンナが自殺するシーンの後に我が精神の蘇生が。

  • (後で書きます)

  • 作者45歳の時の作品。戦争と平和から4年後、結婚から10年目にあたる。

  • 恋をする人に読んで欲しい。というスイーツ(そろそろ死語?)的な感想と共に、それだけではない魅力。

    いや、レーヴィンがたまらなく愛しいのですが。

    かえるくんが好きな理由もわかります。

  • 村上春樹の短編小説「神の子どもたちはみな踊る」の中に入っている
    「かえるくん、東京を救う」を読んで読みたくなったので。

全23件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1960年生まれ。翻訳家・アンソロジスト。編訳書にヤング他『時を生きる種族』、クラーク他『ワイオミング生まれの宇宙飛行士』他。訳書にブラッドベリ『塵よりよみがえり』、ウェラー『ブラッドベリ年代記』他。

「2014年 『猫のパジャマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中村融の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×