アンナ・カレーニナ〈下〉 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 中村 融 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 172
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (513ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003261736

作品紹介・あらすじ

アンナは正式な離婚を望む。が夫は拒否。ウロンスキイはアンナを愛したが、社交界で孤立してゆく彼女に次第に幻滅を感じる。絶望したアンナはついにホームから身を投げる、「これで誰からも、自分自身からものがれられるのだ」とつぶやきつつ。

感想・レビュー・書評

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  • 読者はほとんどの場合これがアンナの悲劇だと知って読むだろう。いかにアンナの心理は暗闇に近づくのか、いかに人間関係や社会事情がアンナの進む道に巧妙な罠を隠したか。

    いわばゴール地点の「駅」で読者は待ちうけ、蛇行を続けながら近づいてくるアンナを見ている。ある意味、悪趣味で残酷な読書であるわけだ。

    膨大な登場人物のそれぞれの人生を直線で引いて考えると面白い。もう一人の主人公レーヴィンと、アンナの線は近づく機会が少ない。下巻でつかの間交差するが、その時見せる両者の闇は印象深い。ウロンスキーとアンナの線は鉄条網のように絡み合いながら、結局は別の二本の線だということがはっきりしてゆく。

    各線が乱反射するように見える、ロシアの貴族社会。その中でもアンナの引いた極太の線は強烈な印象を与える。巻が進むごとに、利き腕ではない左手で引いたような波状の線へと変わってゆく様が、何とも言えない。

    何気ない一文で語られる心理や、世の闇、小さな希望、など、おそろしく慧眼。凡百の作家であればその一文でひとつの作品にしてしまうのだろうな、と思わせる箇所が砂のように多数あふれているのも、本書のおそろしさ。

  • アンナとウロンスキイの関係は共感。

  • レーヴィンが生の目的について理解するシーン、志賀直哉の暗夜行路で時任謙作が大山に寝転ぶシーンと何かが私の中でリンクした。本と本とが自己の中で繋がっていくのは、なんて尊いことだろう!

  • 下巻が、長かった。。。

    全体を振り返ってみると、繋がりが半端なくきれいな作品だった。
    登場人物が登場人物を呼び、影響を与え合う様がすごかった。

    何よりアンナの絶対的な魅力。
    それを自覚してからの、凄み。
    どんどん黒の似合う女に見えてくるから、びっくりする。
    そして、ヴロンスキーの心を見透かした後、決定的な傷跡を残す執念。恐ろしい。。。

    対照的に、レーヴィンとキチイが淡々と想いを交わし、幸せを育んでいく様子がちらちらと挿入される。個人的にはほっと息がつけて良かった(笑)
    このゆったりさがあるからこそ、アンナのクライマックスは尚、劇的に見える。

    男は社会に囲われ、女は愛に倒れる。
    平安時代のドラマ性も、やはり社会と愛の狭間で揺れ動く所にあるのだと思う。
    ただ、アンナはもがいた。
    それが道徳的でないと分かっていたし、神に縋るようなこともせず、己の身を打ち込んだ。

    このクライマックスは誰も忘れようとも、忘れられまい。

  • アンナの最期は緊迫感があった

  • p120のドリイの子育ての苦悩。

    P325からのキチイの出産シーン(とりわけ、p342とp343の「と、沈黙のただなかに、この母親の問いに対する疑いをいれぬ答えとして、しつないのそこここに聞こえる控えめな話し声とは全く違った、新しい声が起こった。それは、どこからとも知れず現れてきた新しい一個の人間の、勇敢な、あたりかわわぬ、何者をも顧慮しようとしない叫び声であった)。

    P452のアンナの自殺シーン(これは文学的にあまりによく書けていて、そして真実だ)。

    P483の母と子の絆の表現。この書、とりわけアンナが自殺するシーンの後に我が精神の蘇生が。

  • 作者45歳の時の作品。戦争と平和から4年後、結婚から10年目にあたる。

  • 最初は単に姦通が題材なのかと思い読んでいたけれど、恋愛はひとつのテーマであるにすぎず、これは当時のロシアの風景であり記憶の一部分。登場人物の一人一人がそれぞれの人生を生きている。

    信仰をどう理解すればよいか分からないので、レーヴィンの思索し思い巡らす様子には、モデルが作者トルストイのようなので作者に対しても同じように、どこか消化不良。

  • 恋をする人に読んで欲しい。というスイーツ(そろそろ死語?)的な感想と共に、それだけではない魅力。

    いや、レーヴィンがたまらなく愛しいのですが。

    かえるくんが好きな理由もわかります。

  • 村上春樹の短編小説「神の子どもたちはみな踊る」の中に入っている
    「かえるくん、東京を救う」を読んで読みたくなったので。

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著者プロフィール

一八二八年生まれ。一九一〇年没。一九世紀ロシア文学を代表する作家。「戦争と平和」「アンナ=カレーニナ」等の長編小説を発表。道徳的人道主義を説き、日本文学にも武者小路実らを通して多大な影響を与える。

「2004年 『新版 人生論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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