アンナ・カレーニナ 下 (岩波文庫 赤 617-3)

  • 岩波書店
3.86
  • (24)
  • (21)
  • (30)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 270
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (513ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003261736

作品紹介・あらすじ

アンナは正式な離婚を望む。が夫は拒否。ウロンスキイはアンナを愛したが、社交界で孤立してゆく彼女に次第に幻滅を感じる。絶望したアンナはついにホームから身を投げる、「これで誰からも、自分自身からものがれられるのだ」とつぶやきつつ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この巻に来るとアンナは完全におかしくなっていく。彼女を追いつめて行ったもの、やはり罪の意識が大きいんじゃないかと思う。自分自身では悪い事をしたと思っていない、むしろ非を認めたくない。それでも世間から罪人のレッテルを貼られ、穿った見方をされる事実に押し潰されてしまったのだろう。

    もう一人の主人公レーヴィンは真理の追求を求めて止まない。これは家庭を描いた小説…と言えどもテーマは重く、読んでいてかなりしんどかった。

  • 2023.06.04

  • アンナは正式な離婚を望む。が夫は拒否。ウロンスキイはアンナを愛したが、社交界で孤立してゆく彼女に次第に幻滅を感じる。絶望したアンナはついにホームから身を投げる、「これで誰からも、自分自身からものがれられるのだ」とつぶやきつつ。
    原題:Анна Каренина
    (1877年)

  • 当時のロシア社会のことはよく分からない。作者の投影であるレーヴィンの農民への考え方が同時にあってどういう意味を持つのか、政治のことも労働の賃金のことも、たくさん出てくるけれど頭に入ってこなかった。ただあれほど愛し合っていたアンナとウロンスキイがどんどん冷めていって、被害妄想に囚われたアンナが病んでいく様子とか、生活に疲れ切りながらも子どものことばかり考えてしまうドリイの描写がリアルだった。アンナを不貞だと責めるだけではなく、あれこそが自由で良いとドリイが一種憧れを持つような心の動きとか。
    冒頭にある、レーヴィンの兄セルゲイがワルワーラにプロポーズしようとしてお互いにそれを意識しながらもタイミングを逃してしまう話がお互いに切ない。

  • こころの動きというか揺れくらいのとこまでちゃんと言葉でとらえ、削り出せてるとこは唸るしかない。
    この本を読んで考えるのは愛ってすげぇ曖昧やなと、人によって、状況によって、時代によって、気持ちによって形を変えるもんやから形だけ見ると全然違うもんになる。風船のどこかを指で押すといろんな形になるように。
    書評はオブロンスキー家、カレーニン家、レーヴィン家の対比だというけど、おれにはアンナとレーヴィンの対比に思えてならない。
    1人は身を焦がし、滅ぼすほどに愛を求め、1人は疑り深く慎重に愛に近づいていく。
    もう一つのクライマクスはニコライの事件やろう、何がってその時のレーヴィンの気持ちの動きが見事。

  • 読んでいる時と読み終わった後で印象の変わる不思議な本。アンナの華やかな物語と、リョービンの素朴な物語が交互に展開されていく。
    読んでいる時は華やかなアンナの話が面白く展開が気になりリョービンの話は退屈に思えたのだが、読み終わってみるとリョービンの農夫達と共に働く時の話やキティとのささやかなやりとりが、胸にじんわりと染み入るように思い出される。
    人生における幸せとは案外このように必ずしも刺激的なわけではなく、普段は見過ごされがちだがふとした時に思い出されるようなものなのかもしれない。

  • 「アンナ・カレーニナ(下)」トルストイ著・中村融訳、岩波文庫、1989.11.16
    514p ¥600 C0197 (2019.02.11読了)(1998.07.16購入)(1995.10.05/5刷)

    【目次】(なし)
    第六編  5頁
    一~三二
    第七編  227頁
    一~三一
    第八編  413頁
    一~一九
    解説   501頁
    一~三  中村融

    ☆関連図書(既読)
    「アンナ・カレーニナ(上)」トルストイ著・中村融訳、岩波文庫、1989.11.16
    「アンナ・カレーニナ(中)」トルストイ著・中村融訳、岩波文庫、1989.11.16
    「光りあるうちに光の中を歩め」トルストイ著・米川正夫訳、岩波文庫、1928.10.10
    「人はなんで生きるか」トルストイ著・中村白葉訳、岩波文庫、1932.09.25
    「イヴァンの馬鹿」トルストイ著・米川正夫訳、角川文庫、1955.08.05
    「戦争と平和(一)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.01.17
    「戦争と平和(二)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.02.16
    「戦争と平和(三)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.03.16
    「戦争と平和(四)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.05.16
    「戦争と平和(五)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.07.14
    「戦争と平和(六)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.09.15
    「トルストイ『戦争と平和』」川端香男里著、NHK出版、2013.06.01
    (「BOOK」データベースより)amazon
    アンナは正式な離婚を望む。が夫は拒否。ウロンスキイはアンナを愛したが、社交界で孤立してゆく彼女に次第に幻滅を感じる。絶望したアンナはついにホームから身を投げる、「これで誰からも、自分自身からものがれられるのだ」とつぶやきつつ。

  • 読者はほとんどの場合これがアンナの悲劇だと知って読むだろう。いかにアンナの心理は暗闇に近づくのか、いかに人間関係や社会事情がアンナの進む道に巧妙な罠を隠したか。

    いわばゴール地点の「駅」で読者は待ちうけ、蛇行を続けながら近づいてくるアンナを見ている。ある意味、悪趣味で残酷な読書であるわけだ。

    膨大な登場人物のそれぞれの人生を直線で引いて考えると面白い。もう一人の主人公レーヴィンと、アンナの線は近づく機会が少ない。下巻でつかの間交差するが、その時見せる両者の闇は印象深い。ウロンスキーとアンナの線は鉄条網のように絡み合いながら、結局は別の二本の線だということがはっきりしてゆく。

    各線が乱反射するように見える、ロシアの貴族社会。その中でもアンナの引いた極太の線は強烈な印象を与える。巻が進むごとに、利き腕ではない左手で引いたような波状の線へと変わってゆく様が、何とも言えない。

    何気ない一文で語られる心理や、世の闇、小さな希望、など、おそろしく慧眼。凡百の作家であればその一文でひとつの作品にしてしまうのだろうな、と思わせる箇所が砂のように多数あふれているのも、本書のおそろしさ。

  • アンナとウロンスキイの関係は共感。

  • レーヴィンが生の目的について理解するシーン、志賀直哉の暗夜行路で時任謙作が大山に寝転ぶシーンと何かが私の中でリンクした。本と本とが自己の中で繋がっていくのは、なんて尊いことだろう!

全26件中 1 - 10件を表示

L.N.トルストイの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヘミングウェイ
ドストエフスキー
ドストエフスキー
フランツ・カフカ
ドストエフスキー
遠藤 周作
ドストエフスキー
フランツ・カフカ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×