幼年時代 (岩波文庫 赤617-8)

  • 岩波書店 (1968年5月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784003261781

みんなの感想まとめ

幼少期の視点から描かれる人々との関わりや、家庭環境の中での心情が繊細に表現されています。主人公は貴族の家に生まれ、多くの兄弟姉妹と共に成長する様子が、トルストイ独特の感受性と緻密な描写によって生き生き...

感想・レビュー・書評

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  • 貴族の家に生まれた子供から見る人々はかなり面白かった。
    割と読みやすく、簡単に読むことができます。ただ、ロシア人が多く出て、聞き馴染みのない人名が多いため、メモを取りながら読むというやり方がいいと思いました。

    主人公▶︎トルストイ
    兄弟姉妹沢山いるけど覚えられない。

    ママ、パパ▶︎トルストイ視点の為、名前で呼ぶことは無い。


    カルル・イワーヌイチ▶︎家のお手伝いさん、子供の教育係
    最後らへんにおばあさんという言葉が出てくるが、恐らくカルル・イワーヌイチを指すと思われる。

  • 文豪トルストイの幼少期を描いた自伝的小説とされる作品。10歳の誕生日直後からを描く。

    ただ、読み進めてしばらくのあいだ戸惑いを覚え続けた。
    というのは、幼年時代の気持ちでつづったもの、と想定して読んでいたのだが、少年ニコーレカが、周囲の様子を捉える筆致が大人びていて戸惑ったのだ。
    少年にしては、周囲の人間の心の繊細で複雑なありようをしっかり感じとっているのである。

    読み方についてのそうした戸惑いは、中盤あたりから解消され始めた。19章「イービン兄弟」の章あたりからである。
    以下のような一節がある、
    「どうして、子どものころ、私は大人に近くなろうとしていたのか、また、子どもでなくなってからは、子どものようになりたいとしきりに願ったのか、ふしぎなことだ。」

    というわけで、時制が見えはじめたのだ。
    この小説は、幼年時代の出来事や心象を(子供の目線や感受性で捉えた素材でありつつも)、大人の受け止め、解釈、咀嚼で回顧しているのだ、という時制が見えてきたからだ。

    後半の章、突然の母の死が書かれる。
    また、終章では奉公人の老女性ナターリア・サービシナのひっそりと逝った様子が書かれる。このあたり、哀惜と惜別がしっとりと描かれ、抒情を感じさせる。

    ただ幼少期の思い出をつづった作にとどまらず、しっかり文学作品になっているのは、さすがトルストイであることよ、と思うのであった.

  • この作品はトルストイ文学の原点であり、ここで駆使されたトルストイの文学的手法は後の作品にも貫かれています。

    この作品を読めばトルストイの驚くほどの感受性、繊細さを感じることになるでしょう。

    分量的にも文庫本で200ページ弱と、かなりコンパクトな作品です。文豪トルストイというと難解なイメージがあるかもしれませんが、この作品の語り口はとても読みやすいものになっています。

    トルストイの特徴がどこにあるのかを知るにはこの作品は格好の入り口になります。

  • トルストイの処女作、自伝的小説、一作目。セリョージャ、イーリニカたちのやりとりは、大げさに言えばイジメの加害者、被害者、傍観者(主人公)の縮図で、本当にリアルだった。母親の死を受けてのナターリヤと主人公の描写は映像として目に浮かぶようだった。どこまでもリアルな、子供の心理描写が再現されてて圧巻。

  • 自分が子どもの時、何を思っていたのかと聞かれても文章を媒体としてこれほど緻密に答えられた人間はレフ・トルストイを除いて誰一人としていなかったと思う。幼少時代の好奇心と純粋さがトルストイのストレートな心情描写とキメ細やかな状況描写によって物語られている。今の時代でも多くの人に読まれているのは、多くの人の同感を呼んだからだし、確かな技術があったからである。物語がどうこうではなく文体や描写でここまで読者を引き込める小説は他に類を見ないと思った。

  • 故郷を去るとき、母が死んだとき、自分に悲しみの感情があることを喜ぶ主人公。戻らない幼年時代を懐かしむ主人公。容姿にコンプレックスを抱き、容姿のいい友人に憧れる主人公。普段は優しく、感受性豊かだが、憧れの友人と一緒に貧しくおとなしい子をいじめる主人公。可愛い女とダンスする主人公。母の葬式で、悲しみを演じる主人公。。。

    自分にも共通すると思う。そう思わせるのがいい小説なのだろう。

  • 母、という絶対的な女性像。
    これを頂点に様々な女性と知り合う主人公。

    散文のようで、何かまとまりを感じる文章。

    解説が、この作品を的確に捉えているとおもった。

  • トルストイの処女作。

    『少年時代』を先に読んでしまったときに感じた違和感はしっかり解消された。登場人物の作中における位置づけのようなものも把握できた。『青年時代』も岩波で読みたいが、まだ出版されていないのか。

    自伝的な小説ということもあってか、晩年の作品とは作風が大きく異なる。幾許かの我(ガ)の強さが感じられるのは、若さのせいか、自伝的という枠によるものか、企図なのか。

    この人物描写。この心理描写。さすがとしか言いようがない。それでもやはり自伝小説は好みではない。だから星は4つに近い3つ。

  • ADA009

  • 歴史に残る文豪の処女作。著者の作品を読むのは初めてだったけれど、ロシア文学特有の、登場人物が多いうえに、その呼び名がしょっちゅう変わったりだとかの読みにくさは健在。
    しかし、短編と言うこともあって比較的スラスラ読めた。内容は自伝的な作品と言うことで、日記のような感じで特に目に付くものはなかった。
    しかし、最後の母が逝く場面の主人公の心情は見事だった。ああ、こうなんだろうなって言うのが伝わってきた。実体験を元にしている事もあるのだろうが。

  • 少年の心に映る感動・「心からの純粋な愛」があふれているトルストイの自伝的小説だと思うよ!


     → http://yaplog.jp/bookfish/archive/53

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著者プロフィール

藤沼 貴(ふじぬま・たかし) 1931年~2012年。中国遼寧省鞍山市生まれ。早稲田大学大学院ロシア文学専攻博士課程修了。早稲田大学教授を経て、創価大学客員教授。早稲田大学名誉教授、文学博士。18~19世紀ロシア文学専攻。著書に『トルストイ』『ロシア、その歴史と心』『近代ロシア文学の原点』『新版ロシア文学案内』『和露辞典』『ロシア語ハンドブック』他。訳書に『戦争と平和』(岩波文庫)、『幼年時代』『少年時代』『アンナ・カレーニナ』『復活』『トルストイの民話』他。

「2019年 『トルストイの生涯』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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