戦争と平和〈1〉 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 藤沼 貴 
  • 岩波書店
3.60
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本棚登録 : 319
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003261811

感想・レビュー・書評

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  • 前から読んでみたかった大作に挑戦。
    岩波文庫の新訳は読みやすいとのことで選びました。最近はよくある、ロシア人の複数の呼び名を統一してわかりやすくしています。後、当時のロシアの風習などをコラムで章の間に箸休め的に挟んであるので、まあ小説の世界が途切れるような気もしますけど、やはりあまり知らない19世紀ロシアの話なので、こういった解説があると助かります。地図や年表もついているので、日本では幕末かー、とかそういう時代の流れも感じながら読むことができます。
    この物語はピエールが主役らしいですが、1巻ではそこまで出てきません。大河ドラマらしい、たくさんの登場人物が出てくるので、覚えるだけでも大変です。
    前半はロシア貴族の描写、後半は対ナポレオン戦の描写が続き、ちょっと戦争の地理とか陣形とかよくわからないところもありますが、ロシア人のアンドレイやニコライがナポレオンに憧れていたり、戦争に期待したり絶望したりの人間ドラマは面白く、1巻を読み終えることができました。2巻に期待。
    しかし、岩波文庫はどうして登場人物や表紙の折り返しで思いっきりネタバレするのでしょうか。全く知らない読者は一応誰と誰が結婚するとか知りたくないのですがw

  • (2016.03.06読了)(2016.02.28借入)(2008.08.04第5刷)
    Eテレの「100分de名著」で取り上げられた作品は、何らかの形で、読んでおこうと思うのですが、分厚い作品となると縮約版か、紹介本になりがちです。
    「戦争と平和」も縮約版がいくつか出ているので、そちらにしようかと思ったのですが、図書館で、岩波文庫の新訳版が見つかったので、全訳版に取り組むことにしました。
    読みやすさは、あまり期待していなかったのですが、じつに読みやすい本でした。とはいえまだ一巻です。六巻まであります。
    物語の始まりは、1805年です。舞台はロシアです。
    1789年7月にフランス革命がはじまります。ナポレオンのエジプト遠征は、1798年5月です。1804年5月にナポレオンは皇帝になっています。
    ロシアでは、1796年11月にエカテリーナ二世が亡くなり、その子パーヴェル一世が即位。1801年3月にクーデタによりパーヴェル一世が殺害され、その子アレクサンドル一世が即位。1805年4月に第3次対仏同盟が結成されて、フランスとの戦いが迫っています。同盟に加わっている国は、イギリス、ロシア、オーストリアなどです。
    第一部第1篇では、これから登場してくる人物たちのロシアでの様子が描かれています。
    ピエール・ベズーホフは、実父が亡くなり、莫大な財産を相続しました。第2篇では出てこなかったようなので、もっと後に出てくるのでしょう。
    アンドレイ・ボルコンスキーは、身重の妻リーザを残して戦地に向かいました。
    ニコライ・ロストフは軽騎兵連隊に入隊しました。
    軍隊に入隊するにあたっては、つてなどを使って、直接戦闘に係らない部門に回してもらうことなども行われます。
    第一部第2篇では、アンドレイを中心として物語が進行します。
    アンドレイは、使者としてオーストリアの皇帝に会いに行ったり、フランス軍との戦闘が行われている戦場を駆け回ったりしています。
    フランス軍の方が圧倒的に強いので、ロシア軍は、後退を余儀なくされています。
    さてこれからどうなるのでしょう。あと5冊残っています。

    【目次】
    第一部
     第一篇
     第二篇

    ●男の人(74頁)
    「どうして男の人は戦争なしでは生きていけないのか。」
    ●結婚(80頁)
    結婚しちゃいかん。君ができるかぎりのことはなにもかもやったというまでは。
    なんの役にも立たん老人になったら結婚しろ……でないと、君になかにあるいいものや、りっぱなものがなにもかも取るに足らんことに使い果たされてしまう。
    ●読書(247頁)
    よくわからないものの読書にふけるのは、あまりにも無益なことのように、わたくしには思えます。それは、よくわからないために、なんの成果もあり得ないからです。
    (もっともなことですが、いったん読みだしてしまったものは、最後まで読んでしまわないと、気が済まないもので。)
    ●敗戦(327頁)
    おれたちは皇帝と祖国に仕え、全体の成功を喜び、全体の失敗を悲しむ士官なのか、それとも、主人のことなんかどうでもいい従僕なのか。四万の人間がぶち殺され、われわれの同盟軍が惨敗したのに、君らはそれを笑いの種にしている。
    ●戦闘へ(367頁)
    戦いに行くんだからな! ひげを剃って、歯をみがいて、香水をふりかけてきたんだ。
    ●仕事(395頁)
    彼は仕事の本質がどんなものであるにしろ、変わりなくりっぱに仕事をした。彼が関心を持っていたのは≪なんのために?≫という問題ではなく、≪どのようにして?≫という問題だった。
    ●本(413頁)
    アンドレイは行軍中に読む本を買い込むために本屋に行き、その本屋で長居してしまった。
    (本屋にいるとあっという間に時間が経ってしまいます。)
    ●天国(451頁)
    魂は天国に行くんだと、いくら言っても……おれたちはちゃんと知っているのさ、天国なんかない、あるのは空気だけだ、って。

    ☆関連図書(既読)
    「光りあるうちに光の中を歩め」トルストイ著・米川正夫訳、岩波文庫、1928.10.10
    「イヴァンの馬鹿」トルストイ著・米川正夫訳、角川文庫、1955.08.05
    「トルストイ『戦争と平和』」川端香男里著、NHK出版、2013.06.01
    (2016年3月11日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    一八〇五年夏、ペテルブルグ。上流社会のパーティに外国帰りの奇妙な青年ピエールが現れる。モスクワでは伯爵家の少女ナターシャが名の日の祝いに平和を満喫。一方従軍するアンドレイ、ニコライらに戦火は迫り―対ナポレオン戦争を描いて世界文学史に輝く不滅の名作!新訳。

  • 何年も前から新潮文庫の方を何十回も本屋で開いては文章に謎の拒否感を感じて本棚に戻していたこの小説。
    他の人の訳なら、脳が突っ張ねることもないかと、この岩波版を購入してみました。結果としては、他の方のレビューある通りにこちらも決して読みやすい訳文ではありませんが、それでも内容にぐいぐい引き込まれて最後まで(と言ってもまだ一巻だけですが)読み通すことができました。

    この巻に収録されているのは第一部の第一遍と第二編。第一遍はモスクワの貴族社会が舞台で、主人公挌の青年ピエールの遺産相続の顛末。第二編は一転して対ナポレオン戦争の最前線で、主人公格の一人アンドレイを軸に戦場での日常風景から始まり、侵攻してきたフランス軍をアンドレイの所属するロシア軍の一部隊が食い止めるという壮絶な戦いをクライマックスにして終わります。

    第一遍は正直、退屈でした。かなり進んでから出ないと誰が主要人物なのか掴みにくいし、公爵やら伯爵やら色んな地位の人が入り乱れて相関関係の把握も大変。ちょっと読んだだけで、この小説から脱落する人が多いのもすごく頷けます。ペテルブルグからモスクワに視点が移ったあたりでなんとなく話の筋が見えてきて、ドルベツコイ公爵夫人が自分の借金の心配がなくなる辺りからはよくある遺産相続争いのストーリーとして読めました。といっても、悪役であるワシーリー公爵とエカテリーナが何を考えてるかは最後まですごい掴みづらかったです。

    第二編は、全く逆の感想で、読んでる途中は興奮しっぱなしでした。なぜ、これを第一遍にしなかった(笑)
    トルストイは従軍経験もあるそうで、その経験を十分に生かして、当時の戦争の最前線で兵士たちが何をしていたのか、何を考えていたのかを非常に生々しく描けていると思います。特に自分のお気に入りは、はじめの方のロシア軍の兵士たちが橋の上を押し合いへし合いしながら渡っていくシーンです。雄大なオーストリアの大地の風景描写から始まって、無数の人間が川のように流れていく、その場所にまさにいるかのような臨場感があります。例えて言うなら気合の入った映画の導入部のよう。もっというと、テレビシリーズのアニメが劇場版になった感じ、でしょうか。デティールのある描写が散りばめられていて、自分の頭の中には実写映画のイメージとジブリアニメのイメージの二重写しで再生されました。
    将軍から一兵卒まで、みな人間臭い思考形式で、戦争中なのに流れている空気にはユーモアを感じます。
    クライマックスの一場面、準主人公のニコライが興奮のあまり砲撃を受けて馬が負傷して動けなくなっているのにしばらく気づかず突撃している気になっていて、はっと我にかえって、命からがらフランス兵から逃げ延びるシーンは滑稽さと暴力の恐ろしさが同居していて作者の現実に対する深い思慮を感じます。戦争は非人道的な行為ですが、戦争しているのは紛れも無い人間一人ひとりなのだな、というのがすごく伝わります。

    総合すると、この作品を読まないでいたのはすごく勿体無い! といった感じです。幸い、まだ今年は時間が作れそうなので、最後のチャンスだと思いあとい五冊、読み切ろうと思います。

  • 有名な割には読了した人があまりいない名作「戦争と平和」。主にアウステルリッツの三帝会戦からナポレオンのロシア遠征までの歴史と、翻弄されるロシア貴族の若者たちの成長を描いた大河小説です。長いので敬遠されがちですがとても面白く、これまで5回以上読み返した大好きな作品です。
     ナポレオン戦争を舞台にしている点で歴史好きにはたまりませんが、ストーリーも面白いし何といっても主人公達がとても魅力的です。
     ピエール、アンドレイ、ナターシャ、みんな魅力的ですが、それぞれに欠点も持っています。そしてその欠点が故に余計なトラブルに巻き込まれたり、取り返しのつかない失敗を犯してしまいます。もっと器用に生きればより良い人生が待っていたかも知れませんが、それでは彼らの魅力が半減してしまいます。欠点も個性であり、それが生きているという事なんだなーと気づかされます。
     読み返すたびに、ニコライやマリアといった準主人公たちの魅力や個性にも目が行くようになり、何度読んでも新しい発見があります。

  • <グローバルマネジメント学科/N先生>
    ナポレオンのロシア侵攻を題材に書かれたもので、4分冊になっておりあわせて2700ページを超える長編小説です。
    ストーリーからは作者の歴史観を、登場人物からは作者の人間観を、強く感じることになるのですが、何より重厚な文章が続いていながら、読んでいて楽しく、どんどん読み進めていけるところにとても驚きました。そして、読み終わった後には、それまでに味わったことのない満足感、達成感に浸ることができました。

    ◆長野県立大学図書館OPAC
    https://u-nagano-lib.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=11173218
    ※本学所蔵は岩波文庫版全6巻

  • 骨太。でも1巻とはいえ読みきったのは自信になる。ストーリーがしっかりしていて読みやすい。

  • 3000頁超の大作。50日位掛けて漸く全編読み終えた。(一気読みが勿体無い気がしたので、間に違う本を10冊ほど読みつつ。)
    細かい人物描写(特に小さな動作に潜む無意識的な心理)がいちいちおもしろく、人間観察の鋭さが素晴らしい。それと、巨視的な歴史観が同居してるのが、類い稀な作家である所以か。

  • 大迫力、3000ページ!いや、たぶんそれ以上。読み切ったというだけで達成感がある。
    トルストイは本当に人間を描くのが上手い。内面描写に頼りすぎず、ちょっとした動作や外見を描くことで人物像を立ち上がらせる。「こんな人いるいる!」と思ったことはしばしば。
    戦争のエピソードと恋のエピソードがあるが、両方とも読みごたえがある。私は戦争に関する筋のほうをより興味深く読んだ。
    後半に行くとトルストイの思想がかなり直接的に描かれるようになり、この辺は好き嫌いが分かれるかもしれない。私はトルストイの主張は好きである。地に足がついた思想であるという印象を受け、きっと現実の荒波で長いこと揉まれてこうなったのだなあと思わされる。

  • 読書日:2017年4月5日-4月12日
    Original title:Война и мир.(The Russian Messenger.)
    Author:Лев Николаевич Толстой(Lev Nikolayevich Tolstoy.)
    事の成り行きに任せて深く物事を考えず、
    明らかに自分が悪いのにそれを部下の所為にする等
    上層部なのに、よく国軍として統率機能が執れていると感じました。
    それからRussia人は何処にいても酒がないと、頭が冴えない印象も受けました。
    また個人に目を向けると、Андрей(Andrei)視点で描かれているので、彼の今後の軍での功績と私生活が気になります。

  • 貴族の私生活とナポレオン戦争。

    たくさんの人物がいっぺんに出てくるので混乱したが、人物描写が細やかで強烈なので読んでいるうちに印象に残っていった。

    戦地での連隊の様子は、時折遠足にでも来ているようなのどかさがあったりする。
    楽しく活気にあふれる戦闘の興奮の中で不意にわき上がる恐怖。
    それを何かの勘違いであるかのように、自分自身に隠している。
    砲兵のトゥシンの涙が心に残った。

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著者プロフィール

一八二八年生まれ。一九一〇年没。一九世紀ロシア文学を代表する作家。「戦争と平和」「アンナ=カレーニナ」等の長編小説を発表。道徳的人道主義を説き、日本文学にも武者小路実らを通して多大な影響を与える。

「2004年 『新版 人生論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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