戦争と平和(訳:藤沼貴) (5) (岩波文庫)

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  • 岩波書店 (2006年7月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (536ページ) / ISBN・EAN: 9784003261859

作品紹介・あらすじ

敵軍,モスクワ侵攻! 退去勧告のビラが撒かれる。引揚げるナターシャは重傷のアンドレイと再会し、ゆるしを乞い、死の日まで付添う。一方、ナポレオン暗殺を誓い大火の首都をさまようピエールは、放火の嫌疑でフランス軍の捕虜となり農民プラトンと出会う。その邂逅にロシア的生命の光を垣間見るのだが・・・ 新訳(全六冊)

みんなの感想まとめ

物語は、戦争の混乱の中で人間の苦悩や愛、無常を描き出しています。モスクワがフランス軍に制圧され、登場人物たちはそれぞれの運命に翻弄されながら生きています。ピエールは捕虜となり、プラトンとの出会いを通じ...

感想・レビュー・書評

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  • この長編もいよいよ後半。モスクワ市街がフランス軍に制圧され市の大半が焼失、その中でピエールはナポレオン暗殺を考えるが、あっけなく捕虜にされ容疑者たちが銃殺される現場を見る。以来ピエールの中で宗教や政治、妻エレンのことは遠ざかってしまう。捕虜生活の中でプラトンという男と知り合う。これがトルストイの傾倒した老荘思想の持主ということらしい。しかし東洋的なことを言うわけではない。モスクワから逃げ延びたロストフ一家は負傷したアンドレイと偶然落合い、ナターシャとマリアはその臨終に立ち会う。末期のアンドレイも現世のことには興味がなくなっていたようだ。このあたり作者の無常観が漂っている感じだった。そんな中でニコライがソーニャからマリアに持参金のことで乗り換えるような展開に。最終巻ではどうなりますか。

  • 本巻では、ボロジノの戦いで戦略的撤退を敢行したロシア軍がさらにモスクワの街を捨てた状況が描かれる。
    ナポレオン軍がモスクワに侵攻した時、すでにモスクワはほとんど無人の街になっていた。
    ナポレオン軍は、そこで烏合の衆に成り果てる。

    目の前に無人となった美しい街がそのまま残っているのを目にしたナポレオン軍の兵士達は、略奪の限りを尽くす。

    その姿はもう、兵士ではなくただの略奪者だ。
    そこには将軍も一兵卒もなく、誰もが馬車を奪い、美しい家具を奪い、金目になる物を残らず強奪していく。人間の浅ましさをまざまざと見せつけられる。
    規律を失った組織の脆さ、脆弱さ。人間の弱さがこれでもかと描かれる。リーダーシップがいかに重要かということを改めて思い知らされた。
    訳の分からないコンサルが書いたビジネス書なんかより本書の方が100倍勉強になる。

    そこへ当時の街の4分3を焼いたと言われる「モスクワの大火」が起こる。
    これはナポレオン軍の兵士による火の不始末なのか、ロシア軍側が故意に火を付けたものかは今も分かっていない。ただ、ロシア側がナポレオン軍の妨害をするため秘密裏に火を付けたという説が有力なようだ。
    いずれにせよ、当時のモスクワのほとんどの建造物が木製だったため、歴史ある建築物の多くが灰と消えてしまったのだ。

    そして本巻でのもう一つのクライマックスがアンドレイ・ボルコンスキー公爵、ナターシャ・ロストフ、ナターシャの兄のニコライ、ソーニャ、アンドレイの妹マリアという男女5人の5角関係だ。

    アンドレイ公爵と美少女ナターシャは婚約していたが、ナターシャがアナトールというイケメンだけど女ったらしの馬鹿貴族(こいつは主人公ピエールの妻エレンの実兄だよ。とほほ)に騙され、ナターシャはアンドレイとの婚約を破棄してしまう。

    そして、ニコライ公爵は無一文のいとこソーニャとラブラブだったのだが、アンドレイの妹マリアの危機を救ったことで、この二人の間に恋心が芽生える。
    そこへアンドレイがボロジノの戦いで瀕死の重傷を負い、ロストフ家に運び込まれる。

    ナターシャは献身的に瀕死のアンドレイの看病を行い、自分の過ちについてアンドレイに許しを請う。
    また、ソーニャはニコライと結ばれることを望んでいるため、ナターシャとアンドレイが結婚してくれることを望む。なぜなら、ナターシャとアンドレイが結婚すればロストフ家とボルコンスキー家は親戚同士となり、ニコライとマリアは兄弟関係になるので、二人は結婚できなくなるからだ。
    そして、その結果は・・・。

    一方、主人公であるピエール・ベズーホフ伯爵は、火の海のモスクワを見て、一人、ナポレオンの暗殺を決意し、拳銃とナイフを胸に忍ばせ、普通の町人のような格好をしてナポレオン軍へ近づいていく。

    モスクワを失ったロシアの運命は。
    ナポレオンの次の一手は。
    そして、この5人の男女の運命は。
    ピエールのたどり着く先は。
    もう、目が離せない。
    ここまでくれば次はラストの第6巻。さあ、張り切って読むか!

  • ロシア人も、フランス兵士たちも、行われようとしている事に対して皆同じ苦しみを抱いているのに、ではいったい誰がこんなことをやっているんだ、というこのピエールの思いに心が打たれた。

    意思とは関係なく、何かそういう力に動かされているというのがとても恐ろしい。

    アンドレイの境地は自分にはわからなかった。
    でも、解放されたのかな。
    愛に翻弄されたり幸福だったりした、人間くさいアンドレイが好きだったのでさみしい。

  • どんどん内容が難しくなる。

    アンドレイが死んだとあるが、二度あることは三度あるから、まだ生きてそうな気はする。
    なにかの拍子にまた出てくると思う。

    エレンが死んだが、私は次のように思った。
    ざまあみろ。
    エレンのことが嫌いだから、これでよかった。

    そうか、ナポレオン軍は寒さだけでなく、食料不足もあって壊滅に向かってたのか。
    勉強になる。
    食べ物は、大事だ。

  • ある者が報われる一方、ある者は辛い立場に立たされることになり、本当に世界とは繋がっているのだなと。
    トルストイがこれまでのどの巻にも増して語っていた。

  • ピエールやアンドレイやナターシャがそれぞれに成長というか、精神的な悟りに近づいている感じがした。トルストイが老子の影響を受けているというのに納得。アンドレイは死の床で福音に目覚め、敵を愛す境地に至ってナターシャを赦し愛する。独特にキリスト教にストイックに思えるトルストイの姿が投影されているような気がした。トルストイの考えとアンドレイのそれがどれくらい同じなのか知らないけど。
    一方ソーニャの純愛は報われないどころかニコライに心変わりされて伯爵夫人にもニコライと別れるよう迫られて可哀想。

  • 第四部第二編まで。
    モスクワ放棄
    アンドレイとナターシャの再会
    ピエールの逮捕
    ニコライとマリアの再会
    ピエール捕虜に
    ナポレオン軍の退却

  • いよいよクライマックスですなぁ

  • この巻に限らず、偶然死に目に会う場面が多いなあ、と感じるが、ご都合主義な訳ではなく、地主貴族連中の絶対数がすくなくてかつ熱心に社交してるからなんかいな?
    全体の感想は最終巻で。

  • 5巻はモスクワ放棄、モスクワ大火などをメインに登場人物のドラマチックな運命が語られてます。
    アンドレイとナターシャの再会は偶然すぎやしないか、とちょっと笑いましたが、アンドレイの最期は悲しかったです。
    ニコライとマリアが幸せになりそうですが、身を引くソーニャの思惑が結構策略的だったりして、ただ純粋な子ではないところが良いです。
    ピエールは金持ちなのに、この戦争で放浪しちゃってますがどうなるのでしょうか。
    後半になって、トルストイの歴史についての考えを披露する文が多くなります。歴史を動かすのは英雄1人ではなく、多数の無名の人間で、1人の天才が動かしたように見えるのは気のせいです、と言い切ってますが、この本が書かれた時にそこまで言えるのはすごいなあ、と思います。

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18412

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA75063276

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  • 戦場前線の記述は理解するのに時間がかかるが、ピエールの目を通した戦場の模様はとても臨場感がある。
    しかし、地獄の沙汰も金次第とはよく言ったもので、戦場で負傷した兵隊はたくさんいる中アンドレイは医者が掛り切りの特別待遇を受ける。捕虜になったピエールもフランス語が話せて育ちの良さが伺えるため他の捕虜と一線を画す待遇を受ける。
    現場にいる人間はお礼を期待したわけでもないだろうし、そんな状況の中では見返りは期待出来ない事もわかっているだろうが、おそらく習慣から旦那方に丁寧に接してしまうのだろう。

  • 1人で歴史を動かすのではなく、一人一人みんなの行動で動く。

  • (2016.05.05読了)(2016.04.24借入)(2007.06.05・第2刷)
    ナポレオンは、ロシアに侵入し、ロシア軍は、ボロジノで一戦交えますが、モスクワを放棄して、後退してしまいます。ナポレオンのモスクワ入城は、1812年9月2日です。
    フランス軍の兵士は、空っぽになった屋敷に入り込み略奪のかぎりをつくしナポレオンや部隊長らが略奪をやめるように布告したけれど、効果はなかったようです。
    モスクワに残っていた市民の協力を求めたけれど、相手にされず、ロシアと講和を求めたけれど、応じてくれず、10月6日のタルチノの戦いで、ロシア軍のコサック舞台に敗れてしまいます。
    10月7日に初雪が降ったのを機に、モスクワからの撤退を開始しました。
    小説では、歴史的な記述はあまりないので、本の後の年表は助かります。

    第三部第三篇
    ボロジノでフランス軍と互角に戦ったロシア軍はあっという間に後退し、モスクワも通り過ぎてしまった。
    モスクワ市民も大急ぎで避難しなければならない。
    モスクワを預かるラストプチンは、役所の各部署からやってくる、モスクワを立ち去るに際して、どのような処置をとったらいいのか、と指示を仰ぎに来る役人たちに応対するのが大変だった。役人たちにとっては、指示に従っておくことによって、あとで責任を問われずに済むので、重大なことなのです。
    ピエールは撤退の途中で、アナトールとアンドレイの死を知った。(77頁)
    この文章に出会ったときは唖然としました。
    読み進むと、アンドレイは負傷兵として運ばれている場面が出てくるので、まだ死んでいなかったことがわかりましたが、死は時間の問題のようです。
    アンドレイは運ばれている途中で、ナターシャの屋敷に寄り後にナターシャと対面します。ナターシャを許したようです。
    ピエールの妻のエレンは、ピエールと離婚して別の人と結婚することを考えているようです。モスクワ中の人が知っているようです。結婚相手の候補は、二人です。
    エレンは、病気になり、死んでしまいます。えっ!という感じです。金持ちと結婚して、美貌を武器に社交界を取り仕切って満足している女性なのかな、と思っていたのですが、男性の愛が必要だったのでしょうか?
    ナポレオンは、モスクワに入りクレムリンに拠点を置きます。ほかの兵隊たちは、もぬけの殻になった屋敷を接収して宿舎にするのですが、欲しいものがたくさん残されているので、略奪に忙しいようです。
    トルストイは、モスクワの街が大火で焼けたのは、モスクワ市民が逃げる時に火をかけたからではなく、フランス軍の兵士たちの火の不始末によるのではないかと言っているようです。モスクワの街も、当時は木造家屋が多かったようですので。
    ピエールは、ナポレオンの暗殺を夢見ているようですが、モスクワの街をさまよううちに放火犯としてフランス軍につかまります。彼は、フランス語もドイツ語もロシア語もできます。すごい!

    第四部第一篇
    放火犯の疑いでフランス軍に捕まったピエールは、何人かに尋問され、刑が確定して銃殺されるロシア人たちを間近で見せられたりしたが、銃殺は免れた。捕虜ということのようです。
    ニコライは、前線を離れ使いに出されたところで、県知事夫人の紹介により、正式にマリアとお付き合いを始めた。マリアとの結婚に踏み切るためには、ソーニャとの約束を白紙に戻す必要があります。アンドレイとナターシャの結婚が実現すれば、ニコライとマリアの結婚は難しくなることを見越したうえで、ソーニャは、ニコライに身を引きます、という手紙を書きます。
    ニコライは、母親からの手紙で、アンドレイが自分の家族たちといることを知りマリアに負傷した兄のアンドレイがどこにいるかを教えます。
    マリアは、兄の子であるニコーレンカを連れて兄のいるところに危険を顧みずに駆けつけます。マリアはナターシャとともに、兄の看病をしたけれども、アンドレイの容態は悪化し、死亡してしまいます。
    アンドレイが主人公かと思ってきたけど、物語の途中で亡くなってしまっては、困りましたね。
    ニコライは、マリアと結婚できるのでしょうか。
    ナターシャはアンドレイが亡くなったのでフリーになりました。エレンを亡くして、フリーになったピエールと結ばれる可能性はあるのでしょうか。

    第四部第二篇
    ナポレオンからの講和の提案は相手にされず、ナポレオンによるモスクワの統治もうまくゆかず、ナポレオンは、ロシアからの撤退を開始しました。
    ピエールは、フランス軍の捕虜として、撤退するフランス軍のなかにいます。
    ロシア軍総司令官のクトッーゾフは、撤退するフランス軍には、手出し無用と考えているが、指揮官たちはいうことを聞かず、無用な戦死者たちを増やしています。
    ピエールやニコライの出番はあるのでしょうか。

    【目次】
    『戦争と平和』系図
    主要人物紹介
    第四巻のあらすじと第五巻の展望
    第三部
     第三篇
    第四部
     第一篇
     第二篇
    『戦争と平和』年表

    ●苦しみ(76頁)
    もし苦しみがなかったら、人間は自分の限界がわからず、自分自身がわからないだろう。
    ●フランス軍(203頁)
    フランス兵たちはまだ整然とモスクワに入って来た。それは疲れ、消耗していたけれども、まだ戦闘能力のある、恐ろしい軍隊だった。しかし、それが軍隊だったのは、この軍隊の兵士たちが、それぞれの宿舎に分かれるまでのことだった。各部隊の兵隊たちが豪華な空き家に分かれ分かれになったとたんに、永久に軍は消滅していき、住民でも兵隊でもなく、略奪兵と呼ばれる、なにか中間的なものが出来上がった。
    ●エレン(289頁)
    すばらしい伯爵夫人が病気になったのは、二人の夫と一度に結婚するのは具合が悪いからで、イタリア人の治療はその不都合を取り除くことにあるのだ、ということはみんながよくよく承知していた。
    ●ナポレオン皇帝(459頁)
    皇帝陛下は、略奪をやめるべしという厳命にもかかわらず、クレムリンに戻ってくる近衛兵の略奪隊が見えるばかりであることに、ことのほかご不満である。古い近衛隊には、かつてないひどい無秩序と略奪が昨日、昨夜、今日再発した。

    ☆関連図書(既読)
    「光りあるうちに光の中を歩め」トルストイ著・米川正夫訳、岩波文庫、1928.10.10
    「イヴァンの馬鹿」トルストイ著・米川正夫訳、角川文庫、1955.08.05
    「トルストイ『戦争と平和』」川端香男里著、NHK出版、2013.06.01
    「戦争と平和(一)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.01.17
    「戦争と平和(二)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.02.16
    「戦争と平和(三)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.03.16
    「戦争と平和(四)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.05.16
    「図説ロシアの歴史」栗生沢猛夫著、河出書房新社、2010.05.30
    「女帝のロシア」小野理子著、岩波新書、1994.02.21
    (2016年5月5日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    敵軍侵攻!大火のモスクワを一家で引揚げるナターシャは重傷のアンドレイと再会し、赦しを乞い、死の日まで付添う。ナポレオン暗殺を誓って変装し町をさ迷うピエールは逆に放火の嫌疑で逮捕され、フランス軍の捕虜隊で一人の年老いた農民プラトンと出会う。新訳。

  • 長いこの物語もクライマックス。この巻は、一気に2日で読めた。
    死を迎えた時、私も、アンドレイのような態度をとれるだろうか?
    ずっと、家に尽くしてきたマリアに恋が芽生えたのは、うれしい。
    戦場に行こうとするピエールの気持ちは理解できなかったが、苦境の中で変わっていくピエールには、とても共感できた。
    続きも、とても楽しみ。

  • ナポレオンの敗走。

  • レビューは最終巻に。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003261852
    ── トルストイ/藤沼 貴・訳《戦争と平和(5)20060714 岩波文庫》
     

  • モスクワ、ロシアなどを舞台とした作品です。

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著者プロフィール

19世紀のロシアを代表する小説家、思想家。ロシア・ヤースナヤ・ポリャーナに伯爵家の四男として生まれる。非暴力主義の思想のもと、文学のみならず、政治や社会にも大きな影響を与え、また、自ら教科書を執筆・編集し、教育にも力を注いだ。代表作に『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『復活』など。『イワンの馬鹿』は、1876年(トルストイ56歳)の作品。

「2020年 『イワンの馬鹿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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