戦争と平和〈6〉 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 藤沼 貴 
  • 岩波書店
4.08
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本棚登録 : 142
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (535ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003261866

感想・レビュー・書評

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  • 皆が落ちついた生活を築き上げた後も、作者の目はちっとも緩むことなく徹底的に描いていく。

    読み終えても終わった気は全然しない。
    その瞬間の歴史は何かの続きであり、また何かへ続いていく。

    作者が芸術家として到達した戦争や歴史の捉え方には、多くの驚き、空虚さ、面白さがあった。
    さりげないけど、過酷な状況下、ロシアとフランスの兵士達の焚き火を囲んでの交流など印象的だったな。

    とても瑞々しい作品だと思う。

  • 相変わらず岩波文庫はネタバレを冒頭でしちゃってますが、戦場での死は衝撃的でした。悲しい。
    最終巻では、様々な運命が描かれますが、一応ハッピーエンドだと思います。
    ただ、ソーニャってちょっとかわいそうすぎやしませんか。当時は財産がないことは、かなり縁談にひびいたのでしょう。貴族だというのも大変なことだなあと思いました。
    後、エレンはとんでもない悪女ということですが、なんだか同情できる部分もありました。
    ナターシャは苦難を超えて幸せなオカンになってしまいましたが、これがトルストイの理想の女性なんですね。そういやトルストイもめっちゃ子供たくさんいたそうです。
    最後はトルストイの歴史観が延々と語られます。
    「戦争と平和」は、日本で言えば「坂の上の雲」みたいな、と思ってましたが、どっちかというと「火の鳥」みたいな、俯瞰の視点(神の視点)要素が強い作品でした。
    ちゃんと読み取れないところもあったかもしれませんが、エンタメとしても面白い文芸作品だと思います。

  • 完読してこその感動というのもあります。
    エピローグの最後の最後は別物として(難しいので)後日、ゆっくりと読まなければ・・・・。

  • ふぅー、ようやく全巻読み終えた

  • トルストイ本人曰く、長編小説でも叙事詩でもないらしいが、こんなに長い小説は久しぶりに読んだ。(翔ぶが如く以来かな。)
    登場人物はWikipediaによれば全部で559人とのこと。
    歴史のうねり、という言葉がぴったりくるような、大河小説。
    ロシア人のヨーロッパに対する感情が漸く理解出来るようになった気がする。
    小説の筋と直接は関係ない歴史論とかが異様に長いが、執筆動機を窺い知ることが出来るし、作者本人としてはどうしても端折れなかったんだろう。

  • この巻で印象的だったのはペーチャとプラトン・カタラーエフの死。あまりに呆気ない終わり方。人は生まれる前は長い月日を母の胎内で過ごし、期待と希望を浴びながら誕生する。物事も最初はドラマチックに始まるのに終わる時はあっけない。人の一生も同様なのかもしれない。

    最後は二組の夫婦がそれぞれいい家庭を築きハッピーエンドに終わってはいるが、個人的にはソーニャがとても不憫に感じる。
    伯爵夫人あたりが、いい縁組でも探してあげるべきだと思うが…彼等にとってソーニャは使用人程度の存在だったのだろうか。

    何はさておき、長い時間かけて読んできたけど、人の心の動きや変化が大変リアルで興味深い、やはり名作だと思った。

  • (2016.05.18読了)(2016.05.08借入)(2007.06.05・第2刷)
    第六巻は、最終巻です。ナポレオン率いるフランス軍は、モスクワからの撤退を始めました。
    ロシア軍は、パルチザン戦で追撃します。フランス軍は、壊滅状態です。
    戦争が終わり、平和が訪れました。
    多くの登場人物たちが、戦争や病気で亡くなりました。
    残った登場人物たちから、二組のカップルが誕生し、子どもたちも生まれて順調に育っています。
    壮大なドラマでした。期待以上に面白く読めました。まだ読んでいない方で、どうしようかなと思っている方は、ぜひ読むことをお勧めします。

    第四部第三篇
    フランス軍が退却してゆきます。ロシア軍は、パルチザン戦で追撃します。
    デニーソフ、ドーロホフが率いるパルチザン隊が登場します。ナターシャの弟のペーチャも参加して、伝令やフランス兵の服装での偵察を楽しんでいます。
    ペーチャは無謀な突撃で戦死してしまいました。16歳でした。
    フランス軍の捕虜になって、退却軍に加わっていたピエールは、日々仲間たちが少しずつ死んでゆくのや、歩けなくなって殺害されてゆくのを見ないように過ごしています。
    途中で、皇帝ナポレオンが撤退してゆく馬車にも追い越されました。
    ペーチャが戦死した戦闘で、ピエールたち捕虜は釈放されました。
    フランス軍は、ロシア軍が手を出すまでもなく、自壊していっています。

    第四部第四篇
    アンドレイを亡くしたナターシャとマリアは、悲しみに沈んでいます。ナターシャの家族も同様です。
    追い打ちをかけるように、ナターシャの弟(16歳)の戦死の知らせが届きます。ナターシャとその家族は、悲嘆にくれます。ナターシャは、母親の看病をすることで立ち直ってきます。
    マリアがモスクワに帰るのでナターシャも一緒に同行します。
    ピエールは、釈放されて、自分の領地オリョールに行きますが、心身の疲労で病気になり3か月間療養して過ごします。
    その後、モスクワの家の戦災処理のためモスクワに出てゆきます。ピエールは、マリアがモスクワに来ていることを知って、訪ねてゆきそこで思いがけずナターシャに会います。
    ピエールとナターシャは、お互いに愛していることがわかり、結婚を決意します。
    今度は、本当にゴールインできるのでしょうか?

    エピローグ第一篇
    ピエールとナターシャは結婚しましたねえ。
    子どももできたようです。細身で人目を惹く容貌だったナターシャは、結婚して子供を生んだら太目であまり人目を引かない容貌にかわったようです。ロシア婦人一般もそうなのかもしれませんが。
    ニコライは、父親が死亡したので、莫大な借金ごと財産を相続しました。生活を切り詰めたいところですが、母親が昔通りの贅沢な生活を続けようとするために借金はかさむばかりです。
    マリアは、ある期待をもってニコライを訪ねますが、そっけない対応にがっかりして帰ります。主目的は、ニコライの母親に会うことではあるのですが。
    ニコライとしては、お金目当ての結婚と思われるので、マリアに近づくわけにはいかないのでしょう。
    ニコライは母親に頼まれて、マリアに返礼の訪問をするのですが、遂に、心情を吐露してしまいます。
    ニコライとマリアも結婚しました。
    ニコライは、農民たちに寄り添う形で、領地経営に乗り出しました。農作物の生産は増大し、借金も少しずつ返せる状態になってきました。
    ニコライとナターシャは、兄妹なのでニコライ夫妻とピエール夫妻は、家族ぐるみで付き合っています。
    ピエールも前妻エレンの豪華な生活が無くなったので、生活は安定してきたようです。
    平和な日々が続くのでしょうか。

    エピローグ第二篇
    物語は、エピローグ第一篇で終わりでした。
    第二篇は、歴史についての考察になっています。
    神の教えに従って生きている時代には、神の導きに従って生きればいいのでしょうけれど、人間の権力者が統治する時代になれば、権力者のやったことが歴史となるのでしょうか。
    権力のよりどころは何でしょうか。
    歴史家たちにたいしていろいろ述べてあるのですが、把握できませんでした。

    付録として、
    「『戦争と平和』という本について数言」
    「『戦争と平和』Q&A」
    「アルバム トルストイの生涯」
    がついています。
    最初のは、トルストイの文章のようです。二つ目のは、訳者・藤沼貴さんの文章ですね。
    アルバムには、トルストイや奥さんの写真が掲載されています。

    全巻を読み終わりました。青春小説というところですね。もっと若いうちに読みたかったですね。

    【目次】
    『戦争と平和』系図
    主要人物紹介
    第五巻のあらすじと第六巻の展望
    第四部
     第三篇
     第四篇
    エピローグ
     第一篇
     第二篇
    (付録)『戦争と平和』という本について数言
    『戦争と平和』Q&A
    アルバム トルストイの生涯
    『戦争と平和』年表

    ●神(100頁)
    生がすべてなのだ。生が神なのだ。すべてが移り、動く。そして、その運動が神なのだ。そして、生あるうちは、神を自覚する喜びがある。生を愛すべきだ、神を愛すべきだ。
    ●勝敗(117頁)
    フランス軍は勝ち続けた結果、完全に壊滅してしまい、ロシア軍は負け続けた結果、敵を全滅させ、祖国から追い払ってしまった
    ●ナターシャとマリア(126頁)
    未来が可能だと認めるのは、アンドレイの思い出を辱しめることのように、二人には思えた。
    ●クトッーゾフの主張(151頁)
    彼だけがボロジノ戦は勝利だといい、それを口でも、報告書でも、上申書でも、死ぬまでずっと繰り返していた。彼だけがモスクワを失うことはロシアを失うことではないと言った。彼は講和を申し出たロリスタンに答えて、講和はあり得ない、なぜなら国民の意志がそうなのだからと言った。彼だけがフランス軍の退却の時に、わが軍の作戦行動はすべて無用である、すべてがひとりでに、われわれが望む以上によい結果になるだろう、敵に黄金の橋をかけて逃がしてやらなければならない、タルチノ戦も、ヴャージマ戦も、クラースヌイ戦も無用だ、国境まで行ったときに、なにかは残っていなければならない、十人のフランス兵に対して自分は一人のロシア兵も犠牲にしない、と言っていた。
    ●ロシア兵(164頁)
    当時ロシア兵たちが置かれていた、ほとんど想像もできないひどい条件―防寒用の長靴もなく、半コートもなく、頭上に屋根もなく、零下十八度の雪の中で、じゅうぶんな量の食料もないといった条件
    ●進歩・反動(254頁)
    当時の有名な人物たちはアレクサンドルやナポレオンから、スタール夫人、フォーチー、シェリング、フィヒテ、シャトーブリアンなどにいたるまで、歴史家の厳しい批判にさらされ、彼らが進歩、あるいは反動に協力したかどうかによって、肯定されたり非難されたりしている。
    ●十分間(286頁)
    二人(マリアとニコライ)は伯爵夫人の健康のこと、共通の知人たちのこと、戦争の最新のニュースなどについて話し、礼儀として必要な十分間が過ぎ、もう客が立ってもいい時になると、ニコライは別れの挨拶をしながら、立ち上がった。
    ●泣くと(297頁)
    美しくないマリアは、泣くと、いつも美しくなった。
    泣くと、光のゆたかなその目が人を引きつけてやまない魅力を帯びるのだった。
    ●権力(387頁)
    どんな力が諸国民を動かしているのか?
    個別的な歴史家、つまり伝記的な歴史家や、各国民の歴史家たちはこの力を、英雄や支配者に固有の権力と理解している。
    ●事件の原因(412頁)
    歴史上の事件の原因は何か? 権力である。権力とは何か? 権力とは一人の人物に移譲された意志の総和である。

    ☆関連図書(既読)
    「光りあるうちに光の中を歩め」トルストイ著・米川正夫訳、岩波文庫、1928.10.10
    「イヴァンの馬鹿」トルストイ著・米川正夫訳、角川文庫、1955.08.05
    「トルストイ『戦争と平和』」川端香男里著、NHK出版、2013.06.01
    「戦争と平和(一)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.01.17
    「戦争と平和(二)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.02.16
    「戦争と平和(三)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.03.16
    「戦争と平和(四)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.05.16
    「戦争と平和(五)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.07.14
    「図説ロシアの歴史」栗生沢猛夫著、河出書房新社、2010.05.30
    「ロシアについて」司馬遼太郎著、文春文庫、1989.06.10
    「女帝のロシア」小野理子著、岩波新書、1994.02.21
    (2016年5月19日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    一八一二年初冬。パルチザン隊とナポレオン軍の攻防。解放軍突入の朝、ペーチャは若い命を散らす。その屍がピエールの目を奪い、耳には老兵プラトンへのとどめの銃声が残る。死者の川を渡り、いま生者の帰るべき先は?戦争とは―平和とは?新訳、全篇完結。

  • 解説がよい。

  • 人物がとにかく多いし日本史選択の私にはなんのことやらさっぱり、カタカタ多いなわからんっ…と悲壮な気持ちで読み進めましたが、段々巻を重ねるうちにその壮大な物語の展開に引き込まれて行きました。個人的にはソーニャがやっぱりなんだかかわいそうだなぁ、と思いました。所々挟まれるトルストイの歴史考察はなかなか難しくて、一度読んだだけでは理解できません。また読み返したいと思います。(長いから時間のあるときに…)

  • 歴代Best3に入る愛読書。
    愛読書といっても社会人になったばかりのときに一度読んだきりだが、その感動は語り尽くせないほどであった。
    最初は登場人物多くて苦戦したが、後々その人間関係が複雑に絡み合って繋がっていく壮絶なストーリーに大興奮だった。
    戦争という大きな時代の中だからこそ見つけられた本当の平和。
    いつかもう一度読み返したい!

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著者プロフィール

一八二八年生まれ。一九一〇年没。一九世紀ロシア文学を代表する作家。「戦争と平和」「アンナ=カレーニナ」等の長編小説を発表。道徳的人道主義を説き、日本文学にも武者小路実らを通して多大な影響を与える。

「2004年 『新版 人生論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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