- Amazon.co.jp ・本 (154ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003261903
感想・レビュー・書評
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生きる意味はあるのか--切実な問いかけがある。これに失敗すれば自殺の淵はすぐそこまできてしまう。私の場合、これは他人事ではない。最終的には、信仰に、それも庶民の信仰、生活に息づく信仰にそれを見いだすのがトルストイらしいし、また王道であると思う。それにしてもここまでたどり着くまでの内面的な葛藤は壮絶だ。また彼は本当に自分の心に正直だ。
・人類がこの世に発生した当初から、生活のあるところには必ず信仰がともなって、生きる可能性を彼らに与えていた。
・信仰とは、人生の意義に対する知識なのである。
・勤労を旨とする大衆の中の信心者の迷信が、それらの迷信を抜きにしては彼らの生活を想像することができないほど切実で。
・真に人生を理解するためには、額に汗して勤労している単純な一般民衆の生活を理解すべき。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4003261909
── トルストイ/原 久一郎・訳《懺悔 19350615-196101‥ 岩波文庫》
http://booklog.jp/asin/4003261909
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ひとはなぜ生きるのか?
よりよく生きるとは?
自分の生活はなにを生み出すのか?
それらについての狂気と相違ない思索。
その中で彼は「生とは悪以外の何者でもない、ならばもう自殺以外の道はあり得ようがない」との結論に幾度となく直面する。
しかしその極限の状態にあっても絶えず神の存在が彼を生に引きつけ、そして神を信じる間、彼は光に包まれ、すべての事物が祝福された、欠くべからざるものに感じることに気づく。
たった一事についての自問自答とその結果=絶望の反復から逃れられず、ありとあらゆる文献や先達の言葉を漁り、その結果、やはりどこにも自分が望む回答は著わされておらず、また自らもその回答を見つけられない彼がどうやってその人生を死ではなく、生に決したか。
その内的航海の記録と、その先にある現実や実生活、宗教教義の矛盾に対する考察の一部。