人はなんで生きるか 他四篇(民話集) (岩波文庫 赤619-1)

  • 岩波書店 (1932年9月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (190ページ) / ISBN・EAN: 9784003261910

みんなの感想まとめ

人は生きる意味を探求し、愛の重要性を深く感じさせる作品です。トルストイが民話を題材に、民衆自身の言葉で表現したこの作品は、シンプルでありながらも心に響くメッセージを届けます。特に表題作や「愛のあるとこ...

感想・レビュー・書評

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  • トルストイさん、愛だろ、愛!

  • 表題作「人はなんで生きるか」
    トルストイが「民衆自身の言葉で、民衆自身の表現で、単純に、簡素に、わかり易く」をモットーに1年を費やした作品。
    キリスト教のことはよく分からないし、聖書のことも知らない私でも非常に心が洗われる作品でした。
    ラストにかけて光り輝く壮大な光景を目の当たりにしたような気持ちになれました。

    「二老人」は形式的キリスト教徒と、真のキリスト教徒とを対立させているということですが、表題作よりも慈悲の精神、惜しみなく与える、の度が過ぎていてちょっとびっくり。
    幾度となく禿頭が光り輝く、というシーンが出てくるんだけどその度シュール過ぎて、、、
    何せトルストイの絵画的色彩描写がそれだけ凄かったのです。

    「火を粗末にすると―消せなくなる」
    「ろうそく」では悪をもって悪に抗するな、の思想の具現化。
    説教的な内容ですがやり合う内容や言葉がなかなか大レベル。
    消えないロウソクや、管理人の最後の理由がよく分からず何度か読み返した。
    「愛のあるところに神あり」靴屋のマルツィンが、神のために生き、最後には彼の元へ救世主が来られたのだと悟る、という話。

  • クリスマス読書第三段。1日でトルストイ3冊読むとは思わなかった。しかし、クリスマスに一人で読むには、至高の本だ。「人はなんで生きるか」「愛のあるところに神あり」が読後感がもうたまらない。ひさしぶりに本読んで泣いた。
    トルストイは信仰の人だ、愛の人だ、労働の人だ!

  • トルストイはこの作品で「人はなんで生きるか」を探究していきます。

    そしてその大きな柱となるのが「愛」です。

    この作品は民話を題材にしていることもあり、非常に素朴です。ですがこれがとにかく味わい深い!

    この作品は「民衆自身の言葉で、民衆自身の表現で、単純に、簡素に、わかり易くをモットーに努力した」というトルストイの渾身の一作です。まさにその通りの作品となっています。

  • トルストイの民話のうち、人間と神の関係およびその素晴らしさをうたった作品が収められています。「人はなんで生きるか」は多分にキリスト教的で難解ですが、愛のない人間からは死のにおいがする、という鋭い警句が胸に刺さりました。「愛のあるところに神あり」は心温まる作品ですし、「二老人」の、帰ってきたエリセイが自分の善行を必死で隠そうとするところも好きです。

  • 後期のトルストイの宗教的・道徳的雰囲気に満ちた作品。
    しかし宗教的ロマンの強い内容を支えるのは作家としての実力、より具体的にいえばシンプルかつ明確で鮮やかな物語の構造、描写の細かさ美しさ(2人の老人の中の手を広げるエリセイの描写を見よ)、また話の運びの巧みさ(火はそのままにしておくと、の引き込み方の上手いこと)である。

  • ❶人はなんで生きるか
    天使ミカエル
    ・人の中にあるもの・・人を思いやる心
    ・人に与えられてないもの・・死相、いつ死ぬのか知れないこと
    ・人はなんで生きるか・・人同士が愛と憐れみで助け合う
    題名を見た時に「Why live」なら面白そうというか、いつも私も考えて堂々巡りする思考の一つだと思った。そして「How to live」ならどんな考え方かと興味が湧いた。読んでみるとどちらの要素も含まれているような気がした。

    ❸愛あるところに神あり
    本文抜粋
    P91
    「息子が死んだのも、お前だけが生きているのも、みんな神様の思召しじゃ。つまり、そのほうがええというわけなんじゃ。それをおまえが落胆しているのは、おまえが自分だけの喜びのために生きようとしているからじゃよ。」

    P101
     「だれでも人の頭になろうと思うものは、みんなの僕にならなくてはいかん。なぜなら、貧しいもの、遜るもの、柔和なもの、情けあるものこそ幸せなのだから。」

     幸せの定義を他の生活系の本で読んだことがある。その種類の本には「禅の考え、質素、ものより気持ち」などが書かれていた。もしかしたら、古参はキリスト!とか思った。

    ❹ろうそく
     ミニョールの精神「地に平和、人に親切」を貫く姿勢が、悪徳地主にとって眩しくそれから地主は転落していく。眼には目をと報復を望むより、そのものに心まで支配されないことが日々を生きるコツかもしれない。

  • トルストイの信仰が書かれています。子どもに語るように書かれておりわかりやすく、キリスト教の真髄が表れています。是非読んでください。

    ☆【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/
    図書館・請求記号: 983/To47/9/B1

  • キリスト教的なエピソードの短編集がいくつか載ってるだけで、正直面白くなかった。

    トルストイの人生論的なものを読めると思ってたのでびっくり

    キリスト教とか民話が好きな人には面白いんだろうけど、個人的には普通だっあ

  • 100分で名著をみて、読みたくなって購入した。テレビで見た内容より、本で読む方がリアリティがあり想像が掻き立てられ、面白く感じた。人はなんで生きるのか、本当に知りたくて色々な本を読んだけど、ここにも1つの答えがのっていた。哲学的な考えの答えがここにはのっていた。わたしは、人に裏切られ人を信じれなくなり、心を病んだときにこの本を手にとった。それは、神さまがわたしの心の中にいたからかもしれない。人の心の中には愛があり、愛は神さまである。自分の中に住んでいる神様を死なせてはいけないという事なのだろうか…。

  • 副題に「トルストイ民話集」とある。だが岩波文庫「 イワンのばか 」と同様で、民話に材を採ったものもあるが、多くはトルストイが民話風に仕上げたものらしい。物語が寓話として読み応えあり。

    ・「ニ老人 」が面白い。ロシアの村からふたりの男が連れだってエルサレム目指して旅立つ。聖地巡礼の道行きである。老人エリセイは道中で飢饉と飢餓に見舞われた村に出くわし、瀕死の家族に出会う。エリセイは飢餓の一家を救うためその地に留まり救援を続ける。旅の費用を使ってしまった彼は聖地への旅をやめ道中を引き返す。一方老人エフィームは一人で旅を進めエルサレム巡礼の旅を全うし帰郷する。
    巡礼は断念したものの眼前の隣人救済を実践したエリセイ。そしてエフィームは巡礼を全うしたものの、巡礼の模様は聖蹟や名所旧跡巡りで物見遊山のようで虚しさを感じさせる。
    帰郷後エリセイは神々しいほどの好好爺となり幸せな日々を迎える。一方のエフィームの家勢は傾いてゆく。形式的な信仰よりも、実人生での愛の実践こそ大事である、という教訓がテーマだとされる。
    この短編、巡礼旅の道行きが興味深い。19世紀頃の旅なため、徒歩や船での往復半年がかりの旅。陸路を歩いてオデッサまで。オデッサから船でコンスタンチノープルへ。さらに、スミルナ、アレクサンドリアへ。そしてヤッファから徒歩でエルサレムへ。という道中。農村の狭い世界での話が多い中で本作は、物語世界が広くて面白い。( コンスタンチノープルではアヤソフィアを見学した…なんていう一節があり、僕も見に行ったな〜と嬉しかったりする。)

    ・「 人はなんで生きるか 」〜 靴屋のセミョーンはある日、裸同然で行き倒れていた青年を家に連れ帰る。青年はミハイルといい美しい面立ちをしていた。ミハイルは靴屋の弟子職人として働き始める。セミョーンの暮らしは少しづつ好転してゆく。そして終幕ミハイルは告白する。自分は天使である。人間の徳性を知るために地上に降りていたのだ。人間は他者へのいたわりの心、愛を持つ。そして、その「愛」は、人間の内にある神だ、と知ったのだという。

    「 火を粗末にするとー消せなくなる 」は農村の隣家同士が些細なトラブルから喧嘩、紛争を激化させる様を描き、争いの無益であること、虚しさを説く。教訓臭が強いというか、道徳的なねらいが濃厚で、これは文学作品なのかなという疑念も浮かんだ。

  • はっきり言いますと、ここに書かれている話は現実と比べれば綺麗事なのかもしれません。ですが、それに対する嫌悪感は全くなく、むしろ大人の私でもストンと心に落ちるような話が多かったですね。

  •  私はキリスト教徒ではないが、心に響くものがあった。善について考えさせてくれる良い短篇集。
     私は最後の話が好き。

  • 45年ぶりのトルストイ、読みやすい。

  • 安易な道徳的民話と思うことなかれ。
    人生が如何に空漠な物かを悟れば悟るほど、この作品に描かれている人間の高潔さが理解できるようになってくる。

  • 道徳の教科書。日本の宗教観に置き換えて読むこともできるので、とても読みやすい。「お天道様が見ている」「八百万の神」「人を敬う」というなじみの感覚と近いものを感じる。トルストイの作品は恥ずかしながら本書が初めて。他の作品も読みたい。

  • 簡素な文だがしっかりとしたメッセージが込められてる作品。人は生きてく上で大切なことを見失っていく。それは愛や憐み、贈与の精神などである。現代に必要なのは宗教なのかもしれない。それは形式的な意味でなく、精神的な意味で。

  • 「二老人」が一番おもしろかった。エリセイ老が、善行を施した村で、キリストのような伝説的な人物になっているのを、エルサレム観光帰りのエフィーム老が見聞きする場面が秀逸。

  • トルストイ、あまり読んだことのない作家の一人だったので、手始めに軽そうな作品を手に取りました。
    民話集とのことで、当時の農民や市井の人々が主人公ですが、みな信心により救われる、という非常に道徳的というか宗教的な短編集です。
    昔話として読むと面白いかもしれません。

  • 「神さまは、誰の罪だかちゃんとご存知よ。ただ神さませえ忘れなきゃええのだ。わしがこう言うのも、こりゃみんなわしの言葉じゃねぇよ、兄弟たち。もし悪を滅ぼすのに悪をもってしていいものなら、神さまがわしらにそういう掟をお与え下されただが、そうでねぇから、別の仕方が示されてあるだで。お前が悪をもって悪を滅ぼそうとすれば、それはお前に返ってくるだよ。(中略)悪を滅ぼしたつもりでも、そのじつお前は、それよりもっとわるい悪を、自分のうちに引きこむことになるだ」(p.122)

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