桜の園 (岩波文庫 赤 622-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003262252

感想・レビュー・書評

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  • なるほど喜劇ですが、実際舞台に乗せたらどんな感じなんだろう…。三谷幸喜版、楽しみにしています!

  • 「自然はこんなにも美しい、この美しい自然のそばで人間の生活もまた美しくあるべきはずだ。」というイデア、「人間の生活を真に人間らしい美しいものにするためには手を束ねていてはならぬ、働くことが必要だ。」という年来の主張、すでに『三人姉妹』においてはっきり見られたこのチェーホフのイデアと主張が、『桜の園』において明確な方向を与えられている。

    作品全体に、滅びゆく時代への哀愁と新しい時代への憧れが絶妙に重なり合い、交じり合い、漂っている。
    この作品を読むと、真に人間らしく美しく生きるためには、とにかく働かなくちゃいけないんだ!という少し前向きな気持ちになれる。
    また、自然を美しいと思える感性や、真に人間らしい美しい生活に対する憧れの気持ちというのを忘れてはいけないと思う。

  • 恩田陸先生推薦

  • 『ハムレット』以来の戯曲を読んだ。難癖がある人物ばかりで正直喜劇とは思わない。農奴解放に代表される社会の変化に対応できなかったお人好しの主人公が幼少の頃より愛した桜の園との別れという悲劇。

  • 弟が海外の短編や中編にやたらに凝っていた時期があって、これもどうだと薦めてみたところ「何か引っ越して終わる話」という評をもらった。
    それ以来うちでは「桜の園」は「何か引っ越して終わる話」である。

  • 図書館から借りました

     戯曲。喜劇。
     舞台は南ロシア。五月。

     領地に戻ってきたラネーフスカヤ夫人。だが、そこは競売にかけられる寸前。
     危機感はあるのだろうが、金銭感覚のない彼女はこうなってもお金の浪費はやめられない。

     誰も彼もが、悪い人ではないのだが。
     誰も彼もが、何か足りなかったり欠点があったり。

     非常によく考えられたキャラクターたちで、生い立ちなどの背景もその言動に織り込まれている。

     喜劇っぽいとつい、奇跡がおきることを期待するが。
     それはない。
     
     どちらかというと、これは悲劇。
     誰も幸せではないから。
     だから、ユーモアになるのかな。

  • 無常。軽薄。そんな事は言われなくたってわかっている。ただ自分が美しいと思う生を全うしたいだけ!
    貧しさや惨めさはそんな潔さの前に朽ちてしまえばいい。

  •  かつて金持だった貴族が落ちぶれ、美しい桜の園を売り渡さなければならなくなった。でもこの辛い現実を受け入れることも見ることもできない。桜の木が伐られる音を背に新たな生活に向け旅立っていく・・・そんなおはなし。

     登場人物それぞれが悲しみを抱えていて、これが喜劇なのかと思わせるほど。しかも、この小説が書かれた時代、領地の喪失という”悲劇”はありふれたことだったという。劇の登場人物を観て、自分や知人を重ね合わせた人も少なからずいただろう。
     しかし、だからこそチェーホフは喜劇というかたちを採ったのだろう。過去の栄華は美しく、アーニャが見る未来は光に満ちている。家を去る彼らには深い悲しみが付きまとっているが、その悲しみは人が何かと別れ、新たな何かへ向かう際に伴う必然的な痛みではないだろうか。
      社会に蔓延るこの痛みを敢えて喜劇として笑いに昇華させたこの小説は、揺れ動く社会の中先の見えない暗闇へ歩を進める人たちへの、チェーホフ最後のプレゼントだったのかも知れない。

  • 過去の栄光の華やかさと縋る愚かさを美しく著した作品

  • 2010/5/31購入

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著者プロフィール

一八六〇年、ロシア生まれ。モスクワ大学医学部を卒業し医師となる。一九〇四年、療養中のドイツで死去するまで、四四年の短い生涯に、数多くの名作を残す。若い頃、ユーモア短篇「ユモレスカ」を多く手がけた。代表作に、戯曲『かもめ』、『三人姉妹』、『ワーニャ伯父さん』、『桜の園』、小説『退屈な話』『六号病棟』『かわいい女』『犬を連れた奥さん』、ノンフィクション『サハリン島』など。

「2022年 『狩場の悲劇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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