カシタンカ・ねむい 他七篇 (岩波文庫)

  • 岩波書店
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  • 本 ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003262351

感想・レビュー・書評

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  • 短篇は、『嫁入り支度』『かき』『小波瀾』『富籤』『少年たち』『カシタンカ』『ねむい』『大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ』『アリアドナ』を収録。あと、翻訳した神西清の『チェーホフの短篇に就いて』『チェーホフ序説』など。

    以下、印象的な短篇。『かき』と『アリアドナ』が特に良かったです。

    『かき』は、なかなか働く口が見つからず、ついに物乞いをしなければならなくなった親子の物語。貧しさゆえか、はたまた幼いゆえか『かき』を知らない子供の行動と、それを見ていた親の対比が面白かった。

    『小波瀾』は、まだ大人の事情がわからない子供が、あまりにも正直に話してしまったがために家庭内に起こしてしまう顛末が、あるあるすぎて皆んな気の毒に思いました。

    『カシタンカ』は、犬の名前。主人とはぐれて腹が減っていたところ、助けてくれた人のところで芸をしこまれ…最後は、犬ならこういう行動に出るかもしれない。と、思わせるところがチェーホフらしい。

    『ねむい』は、怖い。

    『大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ』は、打算から歳の離れた大佐と結婚し、元カレを悔しがらせようとした女性の末路について。こういうことって、案外多いのではと思います。

    『アリアドナ』は、女性の名前。田舎出の贅沢に憧れる女性に振り回される男が、女性不信になるまでの回想を自虐的に独白しています。こういう女性とは、お近づきにならないことですね。

  • ねむいなーーってベッドの上で何気なく検索したらこれ出てきてサクッとよんだ
    パパの脱腸つらそう
    まあ特にこれと言った感想ないな

    あ、眠気っていつの時代も命を奪う程の人間の必然的な欲求なんだろうね、なんつって

    うす~~~

  • 訳者のチェーホフ序説がよい。

  • 暗くて救いのない話が多かったが、どれも私好みでよかった。

    特に好きなのは、『嫁入り支度』と『ねむい』。
    短いながらも救われなさがすごくよく描かれていた。

    『富籤』も好き。こういう些細なことから相手がどうにも許せなくなることってあると思う。

    最後の100ページくらいは解説のようなもの。
    これは斜め読みしてしまったけど、チェーホフが唯物論者で冷たくてドストエフスキーに興味がなかったというのははじめて知った。

  • 新訳とか最近よく訊くけど、この本を訳された神西さんなんて1957没と表紙に書いてある。この場合せんせえ、どういうことになるのでしょうか! こないだと感触一緒なんだよね。隅から隅まで理解したとは思えないが、読みやすい、やさしい、あたたかい、哀しさ、ペーソス(え?)それが丁度よく20%ずつ配合。 しかし岩波文庫の表紙って、テプラで作ったみたいに見えない? でも自分にはちょっとこの人毒が足りないな。危険な男に破滅させられたいの。

  • 仕事の関係でアリアドナを読んだ。辛い。ロシア文学だめだ。

  • チェーホフ得意の辛口恋愛ものもあるが、子供や子犬が主人公の作品もあるバラエティ・セレクション。中でも短めの一遍「ねむい」は最高傑作と思う。虐待される小間使いが無意識に主人達に復讐するが、憎めない話。

  • 神西清の解説がよい。

  • 嫁入り支度:「剥げちょろけ」、「へどもど」は当時の訳者の流行訳か?役者が違えば芝居が違うように、訳者も訳にオリジナリティが欲しいところ。
    富籤:番号は近いけれども、当選してない宝くじだけで、よく、こんなイガミあえるものだ。(笑)。
    大ヴォロージャと小ヴォロージャ: 実際、彼の方が、年軽い青年より何倍も快活で、私より、ずっと精力旺盛であり、生き生きと元気がある以上、この人を愛しても何も問題はないではないか!!

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著者プロフィール

アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ(1860~1904)
1860年、南ロシアの町タガンローグで雑貨商の三男として生まれる。
1879年にモスクワ大学医学部に入学し、勉学のかたわら一家を養うためにユーモア小説を書く。
1888年に中篇小説『曠野』を書いたころから本格的な文学作品を書きはじめる。
1890年にサハリン島の流刑地の実情を調査し、その見聞を『サハリン島』にまとめる。『犬を連れた奥さん』『六号室』など短篇・中篇の名手であるが、1890年代末以降、スタニスラフスキー率いるモスクワ芸術座と繋がりをもち、『かもめ』『桜の園』など演劇界に革新をもたらした四大劇を発表する。持病の結核のため1904年、44歳の若さで亡くなるが、人間の無気力、矛盾、俗物性などを描き出す彼の作品はいまも世界じゅうで読まれ上演されている。

「2020年 『[新訳] 桜の園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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