- Amazon.co.jp ・本 (154ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003262726
感想・レビュー・書評
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ある木賃宿に集まった人々の会話劇。社会の底辺で必死に生きる彼らを生々しい筆致で描く、ゴーリキイの不朽の名作。
あまりにも厳しい現実に「なんで、そうまでして生きなければならないのか」と考えてしまう。
皆、絶望の淵におり、浮き上がることもなく、彷徨い続けるしかない。搾取され、虐げられ、まともに人間扱いされず…「どん底」です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
社会の「どん底」を舞台化しただけの群像劇。ゴーリキがルカにさせたかったことを何と想像するかで印象が変わる気がする。ただの優しく寄り添うだけだったのか、甘言を弄したのか、立ち上がりを促したのか。だけど終わってみると結局はどん底がこれからも続くのだ。誰も努力をしているようには見えないとはいえ、何とも無残な印象で締めくくられる。唯一ナターシャだけが行く知らずで、どん底から這い上がった可能性を想像することが可能と言えるかも。たぶん別のどん底で暮らしているのだろうけど。
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終盤に物語の展開は頂点を迎える。しかし、注目すべきはそこではない。この物語が初めから終わりまで全く進展してないことにある。物語が終わった時、何が変わったか。何も変わっていない。どん底にいる人がどん底にいる人を殺し、どん底にいる人がどん底にいる人を罵り、喧嘩をする。すべてどん底の中で起こった話であり、現状が良くなりもせず、悪化もしないというこの事実事態が「どん底」なのだ。
事態が収まると、亡くなった爺さんがかつて遺したセリフが語られる。
「生きているものは、みんなより良き者のために生きてるんだよ!だからこそ、どんな人間でも、尊敬しなけりゃならんのさ」
なるほど、いい教訓にも見えなくもない。しかし、これは我々読者に伝えたい教訓というより、このセリフの後に、結局はみなお互いを罵り合い、尊敬できずにいるどん底の現状を引き立てている。
登場人物の中に、「だったん人」が出てきて、イーゴリ公の中にある「だったん人の踊り」のあれか、となって、ちょっと嬉しかった。
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3.27/322
『この一編は周知の如くゴーリキイの名を永遠に光輝あらしめた名作であり,一貫した筋はもたぬが木賃宿の内外を舞台として社会のいわゆるどん底にうごめくさまざまなタイプの零落者を描く四幕劇である.そこには死があり,恋があり,殺人がある.温情,葛藤,嫉妬等あらゆる人生の要素があり,人間生活のいたいたしい断面がある.』(「岩波書店」サイトより▽)
https://www.iwanami.co.jp/book/b248272.html
原書名:『На дне』(英語版『The Lower Depths』)
著者:マクシム・ゴーリキー (Maksim Gorky)
訳者:中村 白葉
出版社 : 岩波書店
文庫 : 174ページ -
いや戯曲か~~~い
古本屋の投げ売りコーナーみたいなところで、めちゃくちゃに面白そうなタイトルとカバーのない本にひかれて中身も見ずに買ったけど台本でびっくりしちゃった
読み終わったになるのはずいぶん先になりそうだけど有名な戯曲らしいのでまずは舞台から見に行きたい
てか初めて戯曲の本見たな -
戯曲なので、ごちゃごちゃしていてスジがわかりにくいが、とりあえずルカの話だけ聞いてればいいやと思ってからはわりとスイスイ読めた。
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内容を咀嚼できていない。どん底から出るために働かなきゃいけないけど死ぬ。どうしよう。
戯曲の読み方が下手でなかなか読み進めなかったのだが、音読すると読みやすかった。黙読では会話のみで登場人物の区別がつきづらかいのが、自分で演じることでキャラになりきるので入りやすかった。目が頭より先にいかないように読めるようにしなければならないのだが、台詞だけだとうまくブレーキがきかない。