悪魔物語・運命の卵 (岩波文庫)

制作 : 水野 忠夫 
  • 岩波書店 (2003年10月17日発売)
3.27
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  • レビュー :16
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003264812

悪魔物語・運命の卵 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「悪魔物語」は、悪魔というより悪夢のような不条理もの。マッチ工場をクビになった男が工場長に文句を言ってやろうと思っただけなのに、なんだかよくわからないソックリさんが現れたり、あっちこっちたらいまわしにされたあげく何も解決しないままジェットコースターのように不幸にまっさかさま。面白かったけど、なんていうか、問題がいっこうに解決しないので若干ストレスが溜まります(苦笑)。

    「運命の卵」はSFテイストで、「悪魔物語」とどちらが面白いかと聞かれればこっちのほうが圧倒的に面白かった。動物学者のペルシコフ教授が、研究中に偶然にも細胞の成長(増殖?)を促進させると思われる赤色光線を発見。同じ頃、たまたま鳥の間で伝染病らしきものが流行、ロシア中の鶏が死んでしまって卵も手に入らないという状況になり、教授の研究に目をつけた男が、赤色光線を使って国外から取り寄せた鶏の卵を大量に孵化させようともくろむ。

    ところが取り寄せたその卵が鶏ではなく蛇やらワニやらダチョウやらのものだったから大変。光線によってモンスターに成長したそれらの動物が、ものすごい勢いで増殖しながら人間を襲い始めて街はパニック。結局思いがけないかたちで事態は収束するものの、ただの研究おたくなのに巻き込まれて酷い目にあう教授がとにかく気の毒。

    後半の、軍隊でさえ歯が立たない怪獣大行進っぷりは、映画化とかしたらちょっと面白そう。でもハリウッド大作というよりは、ドイツ表現主義の時代の、モノクロサイレント映画のチープさ、斬新さが似合いそうな。

  • 不景気なマトリックスみたいな話と不景気なバイオハザードみたいな話が載ってました。中々オモロかったです。

  • ドライブ感満載の不条理アクション2編。
    60年代アメリカの作家が、20年代ソ連の作家のふりをして出版した…と言われたらすごく納得できるのだけれど、これが本当に共産主義政権下の作品というのだから驚きだ。
    「運命の卵」の方は50年代の映画にありそうなSci-Fiエンタメ、「悪魔物語」のほうは少し前衛的だったが、どちらも読者へのサービス精神にあふれたポップな作品で読みやすかった。

  • ブルガーコフの作品の中では、比較的おとなしい内容かもしれない。訳者による丁寧な注釈により、当時の様々な学界、ひいてはロシア社会の風刺がふんだんに盛り込まれていることが理解でいるのだが、知識不足でわからない面も多い。しかし、悪魔物語の着想は、初期の筒井康隆がよく書いていたような不条理SFの原型のようで、時代を先取りしていたのだなと感じた。

  • 亀山郁夫先生の本で触れられていたブルガーコフ、「悪魔物語」の方はカフカっぽい。「罪と罰」などロシア文学でもよくある不条理系でまぁこんなものなのかなと。すごかったのは「運命の卵」、比較的抑えめな前半から始まってペルシコフ教授のテンションとともに話は高みに向かう。ロックが自分が作り出したものと出会う場面の緊張感、奥さんが死ぬ描写は凄まじい。終盤のパニック映画のような展開は圧巻。1920年頃の作品とは思えません。

  • う〜ん、想像をはるかに超えるファンタジーだった・・・「運命の卵」はまだしも「悪魔物語」の方は、まったく理解できなかったなあ。

  • 登場人物みな個性豊かで、魅力的である。丁寧に書かれた作品と感じた。

  • 「悪魔物語」に関してはちょっとよく分からなかった。背景に当時のソビエト連邦の社会と風俗があるのは間違いないんだろうけど、日本のリストラ絡みでも同じようになりそう。運命の卵は、そのまま怪物映画の展開。

  • 最近、SFばかりなので、重めの「ロシア文学」でも読もうと岩波文庫の赤表紙のブルガーコフを手にとる。

    …ところが、いやいやラファティなみの奇天烈さ。

    バスター・キートンによるスラップスティックなカフカの「審判」みたいな「悪魔物語」、映画化すると「爬虫類大進撃 モスクワ危機一髪!」な「運命の卵」とどちらもグロテスクなユーモアに満ちた奇想小説。

    「悪魔物語」の中に「握手は廃止されている!」というのがあり、何の冗談かと訳注を見ると、「ロシア革命後、握手は、ブルジョア社会の遺物としてソヴィエト・ロシアでは廃止された」とのこと。

    あゝ事実は小説より奇妙なり。

    ちなみに、ブルガーコフについては、読んだ小説の中に「巨匠とマルガリータ」が出てきたり、地下鉄の隣の席の女性が「犬の心臓」を読んでいたり、とシンクロニシティ…ではなく偶然が重なっていた。読みどき来る。

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