抜目のない未亡人 (岩波文庫 赤703-1)

  • 岩波書店 (1995年8月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784003270318

みんなの感想まとめ

舞台は十八世紀の国際都市ヴェネツィアで、賢い未亡人ロザウラが求婚者たちの心を試す様子が描かれています。彼女に求婚するのは、イタリア、フランス、イギリス、スペインからの男性たちで、それぞれの国民性がユー...

感想・レビュー・書評

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  • 漫画ヘタリアを思い出した。

  • 何の前情報もなく購入。読後書名を検索して、今年三谷幸喜が舞台にしていたのを知った。
    未亡人ロザーウラに求婚する、イタリア、フランス、イギリス、スペインの男性たち。彼らが表すそれぞれの国民性が見どころだろう。
    数十年前「日本人」のイメージが「黒縁眼鏡をかけた出っ歯のチビ」だったように、そしてそのイメージは当時完全に的外れとは言い切れなかったように、この作品に出てくる各国の人物も、作品の時代にはそれなりに的を射ていた部分はあるのだろうな。
    私の中ではイタリア人は陽気な遊び人というイメージだったので、作中では少し陰気なやきもち焼きに描かれているのが新鮮だった。
    また、スペイン人についてはあまり固定したイメージを抱いていなかったため本作のドン・アルバロはそんなものかなというくらいの印象だ。
    むしろ英国人、フランス人の描かれ方が現代とあまり変わらないのが興味深い。
    結末は確かにそうなるだろうね、とは思ったが、その結論を出すにあたりロザーウラがとった行動が面白かった。
    これは舞台で見たら楽しいだろうなあ。

  • ゴルドーニは、ボーマルシェやダ・ポンテに先行するヴェネツィアの喜劇作者。ゲーテもイタリア旅行の折にヴェネツィアでの舞台を観劇しているようだ。劇のプロット自体はいたって単純で、裕福な未亡人の婿選びなのだが、随所にヴェネツィアならでは、といった要素が見られる。お相手の候補者は、イギリス人、フランス人、スペイン人、イタリア人(フランス人以外は貴族階級)なのだが、彼らが一堂に集うあたりは、いかにも国際都市ヴェネツィアの面目躍如。当然、カーニヴァルの仮面も要所で用いられている。戯曲よりは、見て楽しむお芝居だろう。

  •  未亡人へ求婚した4人の男性を通して、国民性の違い、そしてその適当さが描きだされる物語だと思います。

    イタリア人の伯爵:愛情深いが嫉妬も深い。未亡人に手紙を贈る。
    イギリス人の閣下:真面目。嘘をつかないが移り気で、自由を好む。寡黙(マリオネットいわく、イギリスの男は「15分に十言口を利けば多い方 (p. 23)」。未亡人に宝石を贈る。
    フランス人:容姿は美しい。口は上手いがあまりに気障。未亡人に自分の肖像を贈る。
    スペイン人の貴族:きわめて礼儀正しい、荘重。未亡人に自分の家系図を贈る。

     このうち3人の男性は、未亡人ロザーウラに対してそれぞれに自国の女性の姿を見出して彼女に惚れ込むのですが、むしろそのために彼女の策略にはまってしまったのでしょうね。

     ぼくはこの物語に出てくるアルレッキーノという宿屋の召使いがお気に入りです。スペイン人の貴族が書いた手紙を未亡人へ届けた褒美として、自分の使いだったという証書を受け取り、同じくフランス人のときには未亡人がフランス人に宛てた返書の断片を受け取るという2つの場面・・・・・・思わず読みながら吹き出してしまいました。だって、宿屋の召使いはお金がもらえると思って仕事をしたのに、それが栄誉ある2つの紙切れって。

     これがまさに彼らの人物像を象徴していて、スペイン人は自分の家柄という名誉こそ何にも代えがたい宝と考えるし、フランス人の場合は未亡人からの手紙がそれということになる。そして、フランス人から受けたことを同じフランス人のマリオネット(未亡人の使い)にやってみると、「碌(ろく)でなしのイタ公め!(p. 119)」ということになる。

     結局のところ、彼らが見ている自国民の姿とは、後付けの説明でしかないのでしょうね。フランス人であることが誇りの彼らにとっては、フランス人がする行動はすべて素晴らしいものなのだろうし、他の国民でも同様。その点、彼女が選んだ男性はそういうものには揺らがない愛を持っていたともいえるでしょう(いや、それもどうか疑問の余地が残るのですが^^;)。

     あと、未亡人ロザーウラが自立に対する強い考えを持っているということ、これはエレオノーラ比べても明らかです。4人の男性から求婚される美貌と気品をもちながら、自分で相応しい相手を判断すべく一計を案じた彼女、まさしく抜け目がないというものです。

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著者プロフィール

1931年、東京生まれ。東京大学名誉教授。比較文化史。フランス、イタリア、ドイツに留学し、北米、フランス、中国、台湾などで教壇に立つ。『小泉八雲 西洋脱出の夢』(新潮社/講談社)、『東の橘 西のオレンジ』(文藝春秋、サントリー学芸賞)、マンゾーニ『いいなづけ』(翻訳・河出文庫、読売文学賞)。著書に『和魂洋才の系譜』(平凡社ライブラリー)、『ダンテ『神曲』講義』(河出文庫)、『ルネサンスの詩』(沖積舎)、『アーサー・ウェイリー『源氏物語』の翻訳者』(白水社、日本エッセイスト・クラブ賞)、『西洋人の神道観』(河出書房新社、蓮如賞)『竹山道雄と昭和の時代』(藤原書店)、『平川祐弘著作集』(勉誠出版)、『japanʼs Love. Hate Relationship With the West 』(Brill)『ghostly Japan as Seen by Lafcadio hearn』(Bensei
Publishing)

「2024年 『歴史を複眼で見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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