夢のなかの夢 (岩波文庫)

  • 岩波書店
3.80
  • (17)
  • (22)
  • (17)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 343
感想 : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003270615

作品紹介・あらすじ

オウィディウス、ラブレー、カラヴァッジョ、ゴヤ、ランボー、スティーヴンソン、ペソアなど、過去の巨匠が見たかもしれない夢を、現代作家タブッキ(一九四三‐二〇一二)が夢想し描く二十の短篇。夢と夢が呼び交わし、二重写しの不思議な映像を作りだす、幻想の極北。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 過去の巨匠が見たかもしれない夢。
    最初の何人分かは夢の形をとった幻想譚だと思って読んでいたところ、コウルリッジあたりで「あ、これは作品に影響を与えた夢なのか!」とピンときてしまったら(老水夫行、好き)、もう本当に彼らが見た夢のような気がしてしまって仕方が無い。
    ピノッキオも宝島も、多分こんな夢から出来たんだよ、きっと。
    個人的にはペソアとフロイトが面白かった。

  • 自分の好きな芸術家たち(詩人・作家・画家・音楽家など)が見た夢、というテーマで書かれた20の掌編集。20人分の夢が詰まっています。最初のダイダロス以外の19人は実在の人物。

    夢のお話なので基本的に不条理だったり不可思議だったりするのだけれど、その人物についてある程度知っていれば、なるほど、と思ってニヤリとできる部分もあるし、知らない人物であっても単純にその夢の内容を楽しめるので、とにかく全部面白かったです。巻末にタブッキ自身による「この書物のなかで夢見る人びと」という人物紹介がついているので、いちいちWikiで調べる必要もなく(笑)親切。

    夢のパターンとしては、自分の作品の登場人物と出逢ったり、あるいは創作のきっかけとなる啓示のようなものであったり、過去の断片のようなもの、未来(死に方)を予知したようなもの、とさまざま。

    ギリシャ神話のダイダロスはラビリンスでミノタウロスと出会いイカロスの翼を与え、「変身譚」のオウィディウスは自身が蝶に変身、 ラブレーはパンタグリュエルと食事をし、「黄金のろば」のアプレイオスは驢馬にされた友人の魔法を解き、「ピノキオ」のコッローディは鮫に船ごと飲み込まれ、カラヴァッジョはキリストと邂逅する。チェーホフはすごく良い人で、タブッキがとても敬愛していたことがこの短編からもわかります。反対に、ラストを飾るフロイトの夢は、ものすごく皮肉。

    表紙絵のシャヴァンヌ「夢」も美しくて良いですね。お気に入りの1冊になりました。

    ※登場する芸術家たち
    ダイダロス/オウィディウス/アプレイウス/チェッコ・アンジョリエーリ/ヴィヨン/ラブレー/カラヴァッジョ/ゴヤ/コウルリッジ/ジャコモ・レオパルディ/コッローディ/スティーヴンソン/ランボー/チェーホフ/ドビュッシー/ロートレック/フェルナンド・ペソア/マヤコフスキー/ロルカ/フロイト

  • シャヴァンヌの画がすてきな本書、超短篇集なので集中力激減の昨今でも気持ちよく読める。実在の画家や作家が見そうな夢をタブッキが想像して書く形式。ただこれらの超短編に迫真性を持たせるために、タブッキがどれだけ各著名人たち(好き・興味があるひとたちばかりなのだとは想像する)の生涯や作品について取材し、解釈に時間を費やしたかを考えると、「圧倒的教養...」と気が遠くなるのだった。大学で文学の教授だったんだからね、当然なんだろうね... ラブレーの回が好き。タブッキはおいしいもの好きだったと思う。

  • 祝文庫化

    岩波書店のPR
    「現代イタリア文学の鬼才タブッキ(1943―2012)が、敬愛する芸術家たちの夢を夢想する――。ラブレーはパンタグリュエルと食事をし、ゴヤは自ら描いた絵の中を次つぎと通り抜け、スティヴンスン少年は、将来自分が書く小説を山の頂で発見する。夢と夢が呼び交わし、二重写しの不思議な映像を作りだす、幻想の極北。1992年刊。 」

    青土社のPR(単行本)
    「冥界からの声
    オウィディウスからフロイトまで、「芸術家」 たちの失われた夢が、肉体をそなえ、息づき始めた。この夢は、誰がみた夢なのか――。現代イタリア文学の鬼才タブッキが夢を愛するすべての人に贈る、小さな夢の標本箱(コスモグラフィア・ファンタスティカ)。」

  • 夢のなかの永遠性を感じさせる万華鏡の映像は、時間軸を操作するように著者が心臓のなかの心臓を動かすと、変幻極まりない文字の表情劇になる。巨匠たちの心臓の根底に横たわる記憶のなかの芸術の血統や極致が、共振共鳴している。著者は読者が最高の芸術家を感じうる境地に浸れるように巨匠たちの意図と業績を明らかにしたのだと思う。

    お気に入りは月に魅せられた男ジャコモ・レオパルディの夢。夜の砂漠、おしゃべりをする羊、色とりどりのケーキ、銀の少女。月に導かれて言葉を追いかければ、わたしもこんなきらきらな夢を見ることができるかしら。

  • 本屋でふらふらしている時に思わず手に取った本。

    まともに知識があるのがゴヤ、後は名前をちょろっと聞いたことがあるorブクログに作品だけ登録したor全く知らない人々ばかりで、少々悔しい思いをした。が。一つひとつの夢が魅力的で、次に本屋に行くのが非常に楽しみだ。

    <なにかの象徴としてではなく「存在する」夢>

    夢文学についてもっと色々読んでもっと色々考えたい欲が強くなりました。

  • 巨匠たちが見たかもしれない夢を、自分が見たような気分になれる。

  • 著名な文化人が見た夢を空想膨らませて描いたショートショート集。ただし楽しむにはそれなりに知識が必要。個人的にはカラヴァッジョ、ゴヤ、ドビュッシー、チェーホフ、ロートレックあたりが面白かった。特にカラヴァッジョ「マタイの召命」に引っ掛けた夢の話はいかにもで秀逸に思った。

  • 有名な芸術家、著述家たちの夢を創り出し物語にした作品集。それぞれの人となりを現すように創作された夢の話は、想像の世界ではあっても、ビビッドに描写されていて、とても楽しめる作品になっている。久々に良い作品に出合いました。

  • 2013-10-15

全30件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1943年イタリア生まれ。現代イタリアを代表する作家。主な作品に『インド夜想曲』『遠い水平線』『レクイエム』『逆さまゲーム』(以上、白水社)、『時は老いをいそぐ』(河出書房新社)など。2012年没。

「2018年 『島とクジラと女をめぐる断片』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アントニオ・タブッキの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ポール オースタ...
倉橋由美子
アントニオ・タブ...
J.L. ボルヘ...
マルグリット・ユ...
リチャード ブロ...
山尾 悠子
ポール・オースタ...
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする
×