イタリア民話集 下 (岩波文庫 赤 709-2)

制作 : 河島 英昭 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 85
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003270929

感想・レビュー・書評

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  • 訳されていない125編も読んでみたいな、、、

  • 下巻は南イタリアの民話。「木造りのマリーア」はグリムのいわゆる「ロバと王女(千匹皮)」と同じタイプで、娘と結婚しようとする父王から逃亡するために王女さまが着ぐるみで偽装し(この物語では驢馬の皮ではなく木造りのドレス)、真の姿を隠しつつ王子様を試して・・・という話。

    「三つの石榴の愛」は石榴から生まれた美女と結婚の約束をした王子がその場を離れた隙に醜い女が彼女を殺してなりすまし、まんまと王子と結婚するも(つうか王子、別人だって気づけよ・・・)石榴の美女は転生を繰り返しまた王子の元に戻ってくるハッピーエンド。かなり昔にみたチェコアニメの「りんごのお姫様」というのが、リンゴと石榴の違いはあれどほぼ似たような粗筋だったのだけど、チェコにも類似の民話があるのかしら。

    「眠れる美女と子供たち」はタイトル通り、導入部は眠れる森の美女と同じなのだけれど、ビックリするのは眠れる美女を発見した王子様が、眠ったままの彼女を妊娠させてしまうこと(苦笑)実はこれ、上巻の「眠れる女王」でも同じ展開で、眠れる美女は王子様のキスで目覚めるのではなく、寝たまま妊娠させられ、出産でようやく目を覚ますという。これ童話じゃなかったら大問題ですよ(笑)妊娠させたのが王子でもイケメンでもなかったらどうするんだ(苦笑)でもなんていうか、あくまでイメージだけど陽気で恋愛におおらかなイタリアっぽい展開だとも思う。

    「なつめ椰子・美しいなつめ椰子」はシンデレラ系列のお話。しかしヒロインは三姉妹の末っ子ではあるけれど姉二人はとくに意地悪ではないし舞踏会にも誘ってくれているのに、どちらかというとヒロインのほうが利口ゆえに姉妹や王子を騙して楽しんでいる感じ。

    「プルチーノ」はヘンゼルとグレーテルの類話で、こちらは七人兄弟、末っ子お利口譚。魔女ではなく人喰い鬼の夫婦の家で、夫のほうは七人を食べてしまおうとするが妻のほうは自分にも七人の子供がいるから守ってあげようとする。末っ子の機転で人喰い鬼父は自分の子供たちを食べてしまうのだけど、親切にしてくれた人喰い鬼母のほうは報われない。

    なんというか、主題は末っ子の機転のほうなのだろうけれど、そのあまりに恩を仇で返す結果になる民話がちょいちょいあって、たとえば「人魚の花嫁」なんかも、浮気して夫に海に投げ込まれた女が人魚の仲間にしてもらい生き返るも、夫の危機を知って救おうとしそのために他の人魚は全員死んでしまう。夫婦はそれでハッピーエンドだけれど、可哀想な妻を助けてあげた恩を仇で返された人魚の立場はあまりに理不尽。

    「賢女カテリーナ」「気位の高い王女」「蛇の王子さま」「角だらけの王女さま」あたりは、基本ハッピーエンドながら、本当にそんな酷い男(女)と結婚していいの!?と、読んでるこちらが心配に。とくに「蛇の王子さま」のクズっぷりには目を見張るものがあり(苦笑)、女性のほうは蛇王子の呪いをとくためにさんざんな目にあったのに姑舅からも虐げられさらに王子当人が彼女の目玉をえぐりとり両腕をもぎとるという蛮行。よくこんな男とやりなおそうと思えるなあ。

    そういえば上巻「水蛇」でも両目をえぐって両手を切り落とすというのにビックリしたのですが、「七面鳥」でも義姉に嫉妬した王の妻が、彼女を殺して証拠に心臓と両手を持って帰れと部下に命じており、なぜかイタリアの民話には両手を切られるモチーフが頻出するみたい。だいたい魔法の泉に手をひたすと元に戻るのだけど、日本の昔話にはあまり目をくりぬくとか両手を切るとか出てこないと思うので、ちょっと不思議。なにか深層心理的なものがあるのだろうか。

    あと、何度か「ピッチ」というものが出てきたのだけれど(木造りのマリーア、眠れる美女~、隊長と総大将など)ピッチの肌着を着せて焼き殺すとかピッチの大鍋に飛び込むとか、どうもなんらかの罰の定番として決まった言い回しがあるようでもあり、結局ピッチが何のことなのかよくわからないまま。

    ※下巻収録
    木造りのマリーア/皇帝ネーロとベルタ/三つの石榴の愛/鍬を取らねば笛ばかりを吹いていたジュゼッペ・チューフォロ/傀儡で足わる・首曲り/一つ目巨人/宮殿の鼠と菜園の鼠/黒人の骨/洗濯女の雌鶏/最初の剣と最後の帚/狐の小母さんと狼の小父さん/ほいほい、驢馬よ、金貨の糞をしろ!/プルチーノ/人魚の花嫁/最初に通りかかった男に嫁いだ王女たち/眠れる美女と子供たち/七面鳥/蛇の王子さま/金の卵を生む蟹/人魚コーラ/なつめ椰子・美しいなつめ椰子/賢女カテリーナ/風を食べていた花嫁/エルバビアンカ/ツォッポ悪魔/床屋の時計/仔羊の七つの頭/この世の果てまで/気位の高い王女/隊長と総大将/孔雀の羽/二人の驢馬引き/ジョヴァンヌッツァ狐/十字架像に食べ物をあげた少年/角だらけの王女さま/ジュファーの物語/修道士イニャツィオ/ソロモンの忠告/羊歯の効きめ/人間に火を与えた聖アントーニオ/三月と羊飼/ぼくの袋に入れ!

  • やっぱり面白いなぁ!

  •  感想は大体上巻に記したものと変わらず。
     ただ上巻以上に義理も人情も無い話が多かったように思う。
     そういえばこの下巻は南イタリア編。
     イタリアの西南にはシチリア島があり、そのシチリア島から出現した犯罪組織こそがマフィアと呼ばれていた。
     関係があるのかどうかは判らないが、興味深くはある。

  • 人魚コーラ
    なつめ椰子
    ツォッポ悪魔
    床屋の時計
    ジュッファーの物語
    ソロモンの忠告
    人間に火を与えた聖アントーニオ

    が特に興味深かった。なかでも、『床屋の時計』での、太陽を時計と例えて、たくさんの人が時計に問いかける、(太陽と対話する)箇所は、最高に詩的で、文学的で、哲学的だと思った。

    民話の特徴として、
    庶民に慣れ親しんだモチーフである動物が頻繁に登場すること、
    無駄遣いはしない、口は慎む、嘘はつかない、などの教訓的内容が多いこと、
    が挙げられるが、この物語でもっとも面白かった点は、イタリアならではの文化の混じり合いだった。
    たとえば、シンデレラ風の物語、『なつめ椰子』では、タイトルの通り商人である父が貿易で不思議ななつめ椰子を手に入れる。僕はなんとなくこの父は、当時羽振りの良かったムスリム商人への憧れの象徴なのではないか、と思った。イタリア、特に南イタリアはヨーロッパの南端に位置し、異文化との交流や異文化への憧れも大きかったのではないか。おもしろいな、と思った。

  • ただの民話を採集した本ではありません。
    著者はカルヴィーノ。読む価値有り。
    上下巻出ていて、下巻は主にシチリア中心。

  • 神と王と人々。イタリアに伝えられた民話たち。
    「塩みたいに好き」が好き。

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著者プロフィール

1923年キューバ生まれ。両親とともにイタリアに戻り、トリノ大学農学部に入学。43年、反ファシズム運動に参加、パルチザンとなる。47年、その体験を元に長篇『くもの巣の小道』を発表、ネオ・リアリズモ文学の傑作と称される。その前後から雑誌・機関誌に短篇を執筆し、49年短篇集『最後に鴉がやってくる』を刊行。エイナウディ社で編集に携わりつつ作品を発表、一作ごとに主題と方法を変えながら現代イタリア文学の最前線に立ち続ける。主な長篇に『まっぷたつの子爵』(52年)『木のぼり男爵』(57年)『不在の騎士』(59年)『見えない都市』(72年)『冬の夜ひとりの旅人が』(79年)などがある。85年没。

「2018年 『最後に鴉がやってくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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