美しい夏 (岩波文庫)

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本棚登録 : 306
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003271421

作品紹介・あらすじ

都会で働く一六歳のジーニアと一九歳のアメーリア。二人の女の孤独な青春を描いた本書は、ファシズム体制下の一九四〇年、著者三一歳の作品。四九年にようやく刊行され、翌年イタリア最高の文学賞ストレーガ賞を受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 女の子が大人の女に変貌して行くとき、男性との愛に変性させられて行く部分と、同性の友人と交わり評価されたり批判されたりすることで大人になっていく部分があると思うのですが、この作品は後者の部分に大きくポイントをおいていると思います。

    二人の少女たちは、互いに厳しい生活環境の中で生きていますが、互いを品定めするのじゃなく、相手の愛おしくも弱い部分に、冒頭からいたわりと鋭い直感を働かせていることが、この作品をいいものにしています。

    青春の息吹は瑞々しく、冒頭の1ページだけで作品に引きこまれ、繊細なのに乾いた文章が、少女たちのこころの乾きと、潤いを際立たせて印象的です。戦時下のファシズムの国家にあってなお、叙情性を失わなかったイタリアの芸術。この作品もその代表なのでしょうね。

    愚かで熱く、通り過ぎれば二度と同じ夏はない。
    寂しい季節。

    夏。

    青春と呼ばれる人生の夏はかくも美しいのか。

    長い女友達の打ち明け話を、しんとした部屋でささやき交わしながら聴き終えたような。語られ終えたあとのひんやりした空気が、本を閉じるとやって来ます。

  • 私の読解力や感性が足りないのか本編を読み終わった段階では、それほど印象に残らないような話だと思っていた。でも解説を読んで考えが変わった。私自身もジーニアやアメーリアと同じだ。彼女達に強く共感し、愛しく思えて、互いに失った日々に哀愁を感じる。80年前に今の私と同じ歳の男性の作者が書いてる事に驚く。

  • 二度と戻らない青春の時間に、それが過ぎ去った後の時間を重ね合わせたような小説。たしかに、美しい。

  • 太宰っぽいんだよねー。人物の背景描写などは必要最低限で、聞かれたら答えるわよという昨今のコミュ障を彷彿させる。

    その時に感じたであろう、登場している人物の心の機微、それだけを鮮明に描いている。少女が「美しい夏」と名付け、憧れていた処女喪失は、何もかもが思い描いた通りにはいかなかった。そしてやっぱり都会の若い女わさーアンニュイに浸る訳だよう。にゅいにゅい。

    その喪失感を味わい、人は大人はなるのかねえ。すぐ近くに梅毒で苦しんでいる友達もいて、余計にサイエンス的に女体の変化に少女が戸惑いを見せているようだ。

  • 途中までしか読んでいない。文章が全く頭に入ってこず、挫折した。

  • 少女と大人の境界線。世界で最も儚い奇跡のような存在✨
    よい小説でした。

  • ジネッタの繊細で儚い恋物語
    夏の丘の上で白い花を編むような美しい夏を連想しました。

  • ジーニアを導くのはアメーリアでなければいけない。なぜ女が裸になるのだろう。
    「色は太陽からやってきた」というのがうつくしいかなと思う。

  • 翻訳が良ければ、もっと素晴らしかっただろう。

  • 孤独とは一人の心の中ではなく二人の距離の間に生まれるものであり、時に距離に反比例して大きくなることもあるものだ。親しい人であれ、大切にしたい人であれ、近づこうとすればする程大きくなるその感覚には誰もが覚えのあるものだろう。本書が祭り日和な夏の喧騒から始まりながら、絶えず孤独の諦観が透けて見えてくるようなひとつの恋の物語は、無垢な少女がそんな孤独を受け入れ独りの女として羽化する瞬間を描き切っている。平易かつ明瞭ながら、目を離すことのできない危うさや繊細さを損なうことのない文章と訳文が本当に素晴らしい。

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