美しい夏 (岩波文庫)

著者 :
制作 : Pavese  河島 英昭 
  • 岩波書店
3.66
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本棚登録 : 241
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003271421

作品紹介・あらすじ

都会で働く一六歳のジーニアと一九歳のアメーリア。二人の女の孤独な青春を描いた本書は、ファシズム体制下の一九四〇年、著者三一歳の作品。四九年にようやく刊行され、翌年イタリア最高の文学賞ストレーガ賞を受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 女の子が大人の女に変貌して行くとき、男性との愛に変性させられて行く部分と、同性の友人と交わり評価されたり批判されたりすることで大人になっていく部分があると思うのですが、この作品は後者の部分に大きくポイントをおいていると思います。

    二人の少女たちは、互いに厳しい生活環境の中で生きていますが、互いを品定めするのじゃなく、相手の愛おしくも弱い部分に、冒頭からいたわりと鋭い直感を働かせていることが、この作品をいいものにしています。

    青春の息吹は瑞々しく、冒頭の1ページだけで作品に引きこまれ、繊細なのに乾いた文章が、少女たちのこころの乾きと、潤いを際立たせて印象的です。

    戦時下のファシズムの国家にあってなお、叙情性を
    失わなかったイタリアの芸術。

    この作品もその代表なのでしょうね。

    愚かで熱く、通り過ぎれば二度と同じ夏はない。
    寂しい季節。

    夏。

    青春と呼ばれる人生の夏はかくも美しいのか。

    長い女友達の打ち明け話を、しんとした部屋で
    ささやき交わしながら聴き終えたような。
    語られ終えたあとのひんやりした空気が、
    本を閉じるとやって来ます。

  • ●彼女が自分の好きなものをいろいろと話してきかせてくれるならどんな代償でもジーニアは払っただろう、真の信頼は相手が望んでいるものを知ることだわ、そして同じものを好きになったときにはじめてふたりのあいだに従属の関係がなくなるのだ。しかし夕方アーケードの下を通っているとき、自分が見ているのと同じものを、アメーリアも見ているのかどうか、ジーニアには確信がもてなかった。

    ●ジーニアはまだ立ち去りかねていた。アメーリアを見かけたかと彼にたずねた。
    「きみたちはあとを追いかけてばかりいるんだね」と、彼女を見つめながらロドリゲスが言った。「なぜだい、ふたりとも女のくせに?」
    「どうして?」とジーニアが言った。
    ロドリゲスが冷ややかに笑った。「どうして?それこそきみたちが知らなきゃいけないよ、直感でね。女どうしではそうするんだろう?」
    一瞬、ジーニアはもがいた、そして言った。「アメーリアが私をさがしにきたの?」
    「それどころじゃないよ」と、ロドリゲスは言った。「きみをつかまえようとしているぜ」

  • 少女と大人の境界線。世界で最も儚い奇跡のような存在✨
    よい小説でした。

  • ジネッタの繊細で儚い恋物語
    夏の丘の上で白い花を編むような美しい夏を連想しました。

  • 頽落する青春、だろうか。翻訳の散文が美しいと思う。図書館本。

  • ジーニアを導くのはアメーリアでなければいけない。なぜ女が裸になるのだろう。
    「色は太陽からやってきた」というのがうつくしいかなと思う。

  • 内容は暗いトーンに満ちているが、青春小説のようなみずみずしさが印象的だった。

  • 翻訳が良ければ、もっと素晴らしかっただろう。

  • 孤独とは一人の心の中ではなく二人の距離の間に生まれるものであり、時に距離に反比例して大きくなることもあるものだ。親しい人であれ、大切にしたい人であれ、近づこうとすればする程大きくなるその感覚には誰もが覚えのあるものだろう。本書が祭り日和な夏の喧騒から始まりながら、絶えず孤独の諦観が透けて見えてくるようなひとつの恋の物語は、無垢な少女がそんな孤独を受け入れ独りの女として羽化する瞬間を描き切っている。平易かつ明瞭ながら、目を離すことのできない危うさや繊細さを損なうことのない文章と訳文が本当に素晴らしい。

  • 男性が描く少女から女性へと変わっていくあの時期は、大抵妄想だらけで気持ちが悪いものだけれども、パヴェーゼが描くと全く気持ち悪くなくって驚いた。初パヴェーゼ作品ですが、この人は凄い。男性が導いて少女を女性にするのではなくって、女性が導くところが個人的に凄く良いと思う。
    ちょこちょことわからない部分があるので、もうちょっとしてから、読み返そう。

    過去のアメーリアをたどったジーニアだけど、娼婦にはならない……よね?

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