月と篝火 (岩波文庫)

著者 : パヴェーゼ
制作 : 河島 英昭 
  • 岩波書店 (2014年6月18日発売)
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  • 7レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003271452

作品紹介

イタリアの寒村に育った私生児のぼくは、人生の紆余曲折を経て、故郷の丘へ帰ってきた-。戦争の惨禍、ファシズムとレジスタンス、死んでいった人々、生き残った貧しい者たち。そこに繰り広げられる惨劇と痛ましくも美しい現実を描く、パヴェーゼの最高傑作。

月と篝火 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 読んでいて、映画「ニュー・シネマ・パラダイス」を思い出した。
    イタリア(といっても地方は違う)が舞台であることと、田舎を出て成功した主人公が一時帰郷するということからなのだけど、今作はずっとシビア。
    孤児だった主人公の貧しい少年時代、主人公の回想と村に残った親友が語る周囲の人々の末路、過去よりなお悲惨な現状。
    重苦しい物語だが、文章が非常に美しいために読み進めたくなる。
    主人公は帰郷の間、自らの過去の幻を避けながら探すような複雑な心境でいたが、祭(=非日常)の時にはまた帰郷すると言い残した彼自身が亡霊のようなものだと思った。
    ハッピーともアンハッピーとも言えない結末が絶妙。

  • 詩的語り口と物語とが高純度で結びついた傑作だと思う。

  • 「故郷は要るのだ、たとえ立ち去る喜びのためだけにせよ。」
    すべてが“私生児だから”というのが理由になるだろうか?
    月は憧れ、篝火は最期の象徴。

  • 先日読んだスーザン・ソンタグが取り上げていた、パヴェーゼの最後の長編小説。
    40歳になった主人公が、生まれ育った故郷の村を訪れる。その村でかつて起きたさまざまなこと、現在のさまざまな様子、あるいは別の土地(アメリカ)で体験したさまざまなことが綴られる。
    これもまた、「場所」に関する小説である。時系列が少々入れ替わっており、通時的な「歴史」というよりも、すべての事象が共時態的に「止まった時」のなかに漂うような、そんな場所=時間が描出されている。
    この場所に登場する人物が多く、どの名前がどんな人物を指しているのか、ちょっと混乱させられた。
    背景として、両大戦にまたがって、ファシスト党のムッソリーニが権力をふるい、それに対抗するパルチザンが活躍し、やがてファシストが滅びる、という暗く陰惨な、激動の時代がある。この小さな村も、そうした歴史性に完全に巻き込まれており、決して独立したユートピアを形成しているのではない。
    この小説を読みながら、小説的な言語ということを考えていた。イデオロギーの言語は、人びとを絶えず争闘のなかにたたき込むということを、日頃目にしている。イデオロギー的な言語とは、否定し、排斥し、攻撃するパワーそのものであり、人びとはむしろ、そんな争闘のパワーに操られているだけのようにも見える。(ただし哲学の言語はまた別だ。)
    小説の言語とは、それとは全く異なるものだ。それは誰をも攻撃しない。否定するよりもひたすらに肯定し続ける。そうして、構築された言語は象徴的なイメージを結実し、そこにポエジーを生成する。このポエジーは「語り得ぬもの」であるがゆえに、小説の言語を別の言語に交換することは出来ない。
    かけがえのないポエジーが、確かにこの小説にも宿っている。

  • パヴェーゼ最後の長篇小説。
    本作の他にも岩波文庫から出ているものは読んだが、自然描写、特に田舎の村の景色を描いたところがとても美しい。その中で生きる登場人物は決して善人ばかりだとは言えないが、そこもまた魅力と言える。
    しかし『月と篝火』という邦題は何とも言えず美しいね。

  • 一切が回帰する世界のなかで、物語は象徴に導かれながらすすみ、やがて始まりに到達する。すでに決められた世界から飛躍し、別の物語へと繋がるためには、神話と時代が必要なのだ。
    パヴェーゼが目指したのは神々がまだ人間、動物と平等だった時代の共産主義的ユートピアなのだろうか。とすれば、死すべき者は常に不死である神々なのだ。

  • パヴェーゼって何故、自ら命を絶ったのだろう、、、

    岩波書店のPR
    「イタリアの寒村に生まれ育った私生児の〈ぼく〉は、下男から身を起こし、アメリカを彷徨ったすえ、故郷の丘へ帰ってきた――。戦争の惨禍、ファシズムとレジスタンス、死んでいった人々、生き残った貧しい者たち……そこに繰り広げられる惨劇や痛ましい現実を描きながらも美しい、パヴェーゼ(1908-50)最後の長篇小説にして最高傑作。 」
    パヴェーゼ文学集成
    第3巻  長篇集  月と篝り火
    http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/6/0282330.html

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