山猫 (岩波文庫)

制作 : Giuseppe Tomasi di Lampedusa  小林 惺 
  • 岩波書店 (2008年3月14日発売)
3.95
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  • 本棚登録 :118
  • レビュー :19
  • Amazon.co.jp ・本 (423ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003271612

作品紹介・あらすじ

一八六〇年春、ガリバルディ上陸に動揺するシチリア。祖国統一戦争のさなか改革派の甥と新興階級の娘の結婚に滅びを予感する貴族。ストレーガ賞に輝く長篇、ヴィスコンティ映画の原作を、初めてイタリア語原典から翻訳。

山猫 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • あまりに好みの作品のため読み終わるのがもったいなくて、途中まで進んだ後しばらくとっておいた。
    イタリア統一戦争を経て、それまでの社会や価値観が変革していく様を、衰退する貴族自身の視点から描いた作品。とは言ってもじっとりと暗い作品ではない。淡い翳りは漂っているものの、全体的にはむしろ乾いた印象。多分それは主人公の人物造形によるところが大きい。
    主人公であるドン・ファブリーツォは滅びゆく貴族階級の一員。王とも直接口を利き、変革後に誕生した新政府からも、是非議員に、と求められるほどの高い身分。時流を見る目も確かで、自分達とその同胞が既に過去の遺物となりつつあることをしっかり自覚しており、うろたえることなく、泰然自若とそのことを受け止めている。
    しかし社会が変わったことを理解し、認めてはいても、彼自身は変わることを選ばない。新たな時代はその担い手に預け、自身は沈みゆくかつての太陽とともに、凋落することを選ぶ。
    彼の振る舞いを見ていて、「貴族階級」の持つある種の思想の形を見たような気がした。議員にと迎えに来たシュヴァリエとの会話に、ファブリーツォの美学が表れている。また、ピオーネ神父が作中で農夫相手に語る言葉にも、象徴されている。
    見方によっては傲慢ともとれるファブリーツォの振る舞いだが、背筋の伸びたその潔い姿はとても魅力的に映った。
    また、コンチェッタとアンジェリカの対比はそのまま貴族階級と新興階級の対比になっており、見ていてとても切なかった。
    美貌だが何処か冷たく生真面目な印象を与える、古風な令嬢コンチェッタ。
    明るく華やかで、人目を惹きつける魅力を持った、村長の娘アンジェリカ。
    これからの時代を背負う重要人物がどちらを選ぶかははっきりしている。
    結局、コンチェッタはああいう生き方しかできなかったのだろう。もっと器用に生きられたらよかったのに、と哀しく思える一方で、誇りを貫く姿はやはり美しい。
    とにかく読んでる間中、優雅な雰囲気にゆったり酔えて心地よかった。著者自身が貴族階級でしかもかなり高い身分の人だったらしく、発表時はその点もあって話題になったのだとか。

    翻訳物は訳文が合わないと、どんなに素晴らしい作品も心に残らない。この本を気に入ったのは訳が好みだったというのも大きいな。

  • 祖母に薦められて読んだ一冊。
    祖母はかなりお気に入りのようですが、これは難しかった^^;
    途中で諦めそうになりながらも、何か惹かれるものがあり止めるに止められず・・・何とか読了しました。
    再読したらより理解が深まりそうな気もしますが、まだもう1回読む気にはなれません。

  • イタリアが統一された時代に、その勢いを失っていった貴族の話。一つ一つの描写がとても美しくて、その文章自体が貴族的。作品全体のに漂うけだるい退廃感が、その時代の貴族社会の有り様を想像させる。読み応えのあるどっしりとした小説。

  • イタリア統一戦争時代の、シチリアの名家の没落を描く作品。短編で読みたい気がする。長編ならではの、人間関係の複雑さや、社会世相の彩色などを眺めようとすると、空振りする。
    一方で、シチリアの苛烈な日射し、風景描写には、心に留め置きたくなる一文が少なからず登場する。物語よりも、そちらの方が書くモチベーションだったのではとも思える。

  •  

  • 河出文庫のほうは大昔に読んだが、イタリア語からの直接の翻訳というこちらは出てすぐに買ったきり積読になっていたのを、ようやく読了。巻末に丁寧な地図や歴史背景(イタリア統一運動とシチリアの歴史)の解説もあってとても親切。作者は晩年になって初めて執筆をはじめたというが、この複雑な構成はすごい。

  • [ 内容 ]
    一八六〇年春、ガリバルディ上陸に動揺するシチリア。
    祖国統一戦争のさなか改革派の甥と新興階級の娘の結婚に滅びを予感する貴族。
    ストレーガ賞に輝く長篇、ヴィスコンティ映画の原作を、初めてイタリア語原典から翻訳。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 以前買って、読み始めたものの途中で挫折した。もう一度読んでみる。

  •  1861年のイタリア統一を経た、イタリア貴族の没落を描いた物語。物語としてはドン・ファブリーツィオが死去したⅦ章で幕を閉じてくれた方が綺麗だとは思うが、最終Ⅷ章の、ドン・ファブリーツィオの年老いた娘達のエピソードも、かつてシチリアに君臨した名門サリーナ公爵家一族の衰退を語る上では必要なのだろう。

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