バウドリーノ 上 (岩波文庫 赤718-2)

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  • 岩波書店 (2017年4月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784003271827

みんなの感想まとめ

物語は、12世紀の十字軍遠征を背景に、神聖ローマ皇帝の養子となったバウドリーノの冒険を描いています。彼の語ることが現実となる様子や、司祭ヨハネに関する手紙の捏造など、虚構と現実が交錯する中での主導権争...

感想・レビュー・書評

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  • 十二世紀、十字軍遠征の時代。神聖ローマ皇帝の養子となり、皇帝の助けになるため言葉巧みに世の中を渡っていくバウドリーノの冒険譚。
    彼の言ったことが、ことごとく真実となってしまうのが愉快だ。

    司祭ヨハネからの手紙を捏造したり、司祭ヨハネに宛てた手紙の写しが出回ったり。誰もが偽物と分かった上に成り立つ主導権の取り合いが面白い。
    そもそも司祭ヨハネの存在自体、伝説のようなものなのだから。

    下巻ではきっとかの国へ旅立つのだろうけど、どうもすんなり行かなそうな気がする。

  • 下巻の方に感想を書きます

  • ウンベルト・エーコは『薔薇の名前』くらいは読みたいなあと思いながらはやウン十年。だって何故かあれ文庫化しないのですもの。と思っていたらこちらが本屋に並んでいたので初エーコに挑戦。岩浪文庫なのに赤いカバーに背表紙が黒くて何事かと思ったら二重カバーになっていてビックリ。この赤いのはがすといつもの岩波文庫が出てきます。でも赤いのが可愛いし、おそらくストーリーの中に出てくるものにちなんだ絵画がちりばめてあるので読み解くのも楽しい。

    最初のうちは時代背景の把握にちょっと手間取りました。12世紀のイタリア、貧しい農民の息子バウドリーノは、その天性の語学的才能と虚言というにはあまりにも想像力豊かな虚構創作能力を気に入られ、神聖ローマ帝国のフリードリヒ1世の養子となる。(といっても正式な後継者という意味ではなくお気に入りの側近くらいのポジション)十字軍の遠征、都市国家同志の対立、ローマ教皇との駆け引きなど、上巻はとにかく政治、戦争のエピソードが多いので、世界史があまり得意でない私は若干つまづきかけましたが、そこで手こずってると先へ進めないので、とりあえず何処と誰が戦争してるとか、膨大な地名の地図的把握は諦めて、バウドリーノのすることだけを中心に読み進めていくことに。

    物語は、ビザンツ帝国の高官ニケタス・コニアテスを偶然助けた後年のバウドリーノが、自分の半生を彼に語って聞かせる形になっています。養父フリードリヒとの家族愛、その妃ベアトリスへの初恋、パリの大学への留学、そこで出会った悪友たち、手紙や文献の捏造、三賢人の遺体、故郷での結婚とその悲しい結末・・・やがてバウドリーノと仲間たちは幻の「司祭ヨハネの王国」と、聖杯と思われる「グラダーレ」という聖遺物を求めて策謀を巡らせることになる。

    上巻は、パリで出会った愉快な仲間たちとの青春時代の物語と、山場となるのはやはり故郷アレッサンドリアを救うためにバウドリーノが奔走するくだりかな。宗教や世界史がわからないと難解な気もするけれど、たとえば故郷に帰ったバウドリーノが実の父親たちと繰り広げる「十三年」「三十年」の会話のくだりなどはほぼコント(笑)実は結構クスっと笑える場面も織り交ぜられている。

    どうやら下巻のほうが面白そうなので続きが楽しみです。

  • 舞台は中世ヨーロッパ。嘘つきの主人公が歴史家ニケタスを助け出し、彼自身の生涯の冒険を語り始める。それでもニケタスはついつい、その魅力的なバウドリーノの物語に聞き込んでしまう。私たち読者は主人公の言っていることをどこまで信用していいのか。予想不可能な展開の繰り返しににやけてしまう。



    面白い。本当に本当に面白いです。
    ウンベルト・エーコ様ですよ。
    舞台は中世のヨーロッパ。
    主人公バウドリーノは1204年ビザンチンで窮地に追い込まれていた歴史家ニケタス・コニアテスを助け出し、彼自身の生涯の冒険を語り始める。
    でも話し始める前から、自分は嘘つきだから…といい続けるバウドリーノ。
    それでもニケタスはついつい、その魅力的なバウドリーノの物語に魅了されてしまう。

    言語と噓に長けたバウドリーノが言うには。
    彼は現在の北イタリアの沼地に住んでいた嘘つき少年。
    ある日ローマ帝王の「バルバロッサ」フリーデリヒ一世に霧の中で会い、養子になる。
    少年時代の初恋、青年時代のパリでの留学を経て、その嘘つきの才能を利かしてフリーデリヒの政治を裏で動かし、ついには東の果てに住んでいるといわれるプレスター・ジョンを探すためフリーデリヒの兵を引き連れて旅に出る。

    続き
    https://wp.me/pgG1ce-3k7

  • 聖遺物をめぐるでっち上げの過程。えてして聖なる物や宗教の成立は、このようなものなのかもしれない。これは、政治権力を強化するための歴史をミクロから追った物。日本の天皇制も似たようなものか。仏教の大乗経典や偽書の成立過程も似ている。ただ気になるのが、この物語ではバウドリーノという個人に歴史を寄せていること。個人なのか集団なのか。先師にこと寄せた個人なのか。

    話しは退屈。地名が分からないことも一因か。

  • カバーに騙された岩波文庫。
    半年くらい前に読んだ思い出し感想。コンスタンチノープルの地図だけでごはん3杯はかるくイける。パリでの青春時代、後々の友人達との出会い。ローマ皇帝とウザいイタリア諸都市との関係とか面白い。面従腹背の諸都市と泥沼のイタリア戦争。その中での当時のパリの位置付けとかも含めてこれが同時代人のマンタリテなのか、とか思える。「薔薇の名前」よりはだいぶ読みやすい。イタリアの田舎出身でフリードリヒ皇帝の養子とか設定がうますぎる。当時の最下層から最上層までの視点を得るためのものか。大変勉強になる。こんな度胸と語学とホラの才能が欲しいと思えるアレッサンドリアの守護聖人。
    いやあ、読書ってほんとにいいものですね。

  • ちゃんと理解してるかどうかはさておき、怒涛の勢いで半分まで読んだ。面白いぞこれ。

  • 中世の怪物大集合なところは楽しいけど、キリスト教の解釈論的な話が多い上に長い。つらい。

    景教とユダヤ教がどういうものか、今まで読んだ説明の中で一番分かりやすく説明してくれたかもしれない。

  • 第二次~三次十字軍とかそのあたりの神聖ローマ皇帝周辺のお話。聖杯伝説的なのとかエゼキエル書とかちょいちょいある。
    面白いけれど、読むのにはある程度歴史や宗教の知識が必要。
    わからない子はおいてくよ~的な。
    当然、自分は完全には理解していない。

  • 2017-5-2

  • 神聖ローマ皇帝フリードリヒの養子として迎えられた、バウドリーノの不思議な生涯が語られていく作品です。
    バウドリーノが、聞き手であるニケタスにそれを語るのは、コンスタンティノープル陥落の混乱の中です。
    バウドリーノの物語ほど大きな動きはありませんが、ニケタスに過去を語るうちにも、彼らの状況も刻々と変化しているところが面白かったです。

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著者プロフィール

1932年イタリア・アレッサンドリアに生れる。小説家・記号論者。
トリノ大学で中世美学を専攻、1956年に本書の基となる『聖トマスにおける美学問題』を刊行。1962年に発表した前衛芸術論『開かれた作品』で一躍欧米の注目を集める。1980年、中世の修道院を舞台にした小説第一作『薔薇の名前』により世界的大ベストセラー作家となる。以降も多数の小説や評論を発表。2016年2月没。

「2022年 『中世の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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