七人の使者・神を見た犬 他十三篇 (岩波文庫)

  • 岩波書店 (2013年5月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784003271926

みんなの感想まとめ

幻想的で寓意的な短編が詰まったこの作品集は、日常の裏に潜む無意味さや不安を描き出します。著者は、透明で普遍的な世界を創造し、読者を日常から遠く引き離すことに成功しています。物語は、現実味を帯びた舞台で...

感想・レビュー・書評

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  • 20世紀イタリアの作家ブッツァーティ(1906-1972)による幻想的で寓意的な短編のアンソロジー。『六十物語』から。

    無駄な要素を極限まで切り詰めて単純化することで作り出される、それゆえに透明で普遍的な世界は、星新一やボルヘスの世界に通じるものを感じる。読んでいると、日常から遠く上空へ連れ去られて、無限遠に消失してしまいそうになりながら、なおそこに残る、存在の前提とでもいうべき形式のようなものが、垣間見えてくる気がする。

    「水滴」
    無意味で無内容な、一切を取り除いたあとになお残る elementary な不安。無条件の不安。「いや、ちがうのです、戯れているわけではありません、二重の意味はないのです、どう考えても、夜になると階段を上がってくる、まさしく一滴の水でしかないのです。ぽとん、ぽとんと、神秘的に、一段ずつ。だからみんなは恐れているのです」(p145)。

    「七人の使者」
    いつからか、前方を見渡してみても後方を振り返ってみても、始点からも終点からも無限に距てられていて、いつもいつまでたってもどこかの途中に宙吊りにされている。日常的な「人生の意味」の被膜のすぐ下に潜んでいる「生の無意味」。美しい寓話。

    「七階」
    あまりに巨大で個人にとってはその全体が不可視であるがゆえに、不条理であり出口なしの機構。それに囚われた恐怖。よくある主題かもしれないが、機構の不条理に引きずり込まれて抜け出せなくなっていく展開が巧い。本書のなかでは物語として最も面白い。

    その他「なにかが起こった」「山崩れ」「道路開通式」「急行列車」もよかった。

  • 全体的に舞台は現実にありそうなのにそこで起きている物語は現実味がないという幻想的な雰囲気で進行し、どのように話を着地させるのか予想がつかないものが多かった。登場人物たちは不可解な状況に遭遇するが、特に「こうなっているはずだ」と思っていたことがまったく起きていなかったり、そもそも何が起きているのかわからない状況に進んでいくしかないという構造の作品が複数見受けられ、解説にもあったように作者の人生観がうかがえた。その中では車窓から見える人の動きは明らかに目的地で何かがあったとわかるのに汽車はそこに向かって進むことを止めない、という筋書きの「何かが起こった」が気に入った。10ページにも満たない作品だが、読んだ後言いようもなく不安にさせられる。また巻末の解説が読んでいまいちしっくりこなかった作品の解像度を高めてくれ、非常に良い。

  • ブクログ始める前に読んだタタール人の砂漠がすごかったのでブッツァーティ読みたくなって借りてきた!
    短編集って読みやすくていいよね〜。

    全体的に寓話って感じで、人間のままならさとか心理とか、不条理とかもろもろ感じられるんだけど
    個人的には「大護送隊襲撃」「マント」「聖者たち」が特に好きだった!どれも悲しさのなかに優しさや報われる要素があって、せめてこうであって欲しいなぁの理想だと思う。
    ブッツァーティらしいなぁと個人的に思ったのは表題「七人の使者」「竜退治」「道路開通式」「それでも戸を叩く」かな、こうなるんじゃない?きっとそうに違いない!今は(目的のものが)見えなくてもきっとすぐそこまできてるんだ!や、大丈夫!というバイアスというかそう思いたい・願いたい人間の心をめちゃくちゃ感じました。
    いろんな恐怖もあるけど人間が持つ「期待」の怖さもなかなかにすごいと思うよね。

    ブッツァーティおもしれ〜、最高だな〜
    他の作品も絶対読もうと思う!!

  • ブッツァーティの小説世界はいつも枠組みがはっきりしていて展開もわかりやすい。でも不条理文学と呼びたくなる。抑制の効いた端正な構造の上に、人間の歪みや愚かさや理不尽さが浮かび上がる。
    1958年に刊行された短篇集『六十物語』から14篇を選んで訳したとのこと。好きなものをいくつか挙げると、まず表題作「神を見た犬」。神出鬼没の野良犬を村人が畏れ敬い始めるさまに乾いたユーモアが冴える。逆に背筋が凍るのは「竜退治」。後に退けなくなった人間がどんどん墓穴を掘り続けるのはブッツァーティの多くの作品に見られるモティーフだが、淡々とした語り口が却って登場人物たちの野蛮さ・愚かさを明確にする。「聖者たち」はそののどかさで本書の中では異彩を放っている。“そしてそれもまた神なのである”の繰り返しが、聖者たちの清澄な世界の支柱となる。

  • 自分が常に感じているぼんやりとした不安にものすごくリンクしてきた。
    悪夢というほどでなくとも何か不安を掻き立てられ、気になってしまう夢。そういう夢のようにこの短篇集は心の奥底に響いてくる。
    こういう物語に触れると、不思議とどこか癒される気がするのは私だけでしょうか。

  • 光文社古典新訳文庫と数編かぶっているのでちょっと迷ったんですが、まあ15編中の4編(「大護送隊襲撃」「七階」「神を見た犬」「聖者たち」)だけなので、他のは読みたいなと。

    ブッツァーティの作品は、幻想的とか不条理とかより「不毛・・・」と思わされる作品が多い気がします。表題作の「七人の使者」や「道路開通式」「急行列車」は、終点(目的地)が実は存在しないかもしれないのに進むしかない(引き返せない)人生の寓意的な感じだし、何かが起こっているのに対処しようがない不安を描いた、タイトルそのものずばりの「なにかが起こった」や「水滴」「山崩れ」あたりもしかり。

    「竜退治」は一見ファンタスティックなタイトルですが、なんの罪もない生き物を虐殺する人間のおろかさが主題になっていて、読後感はおよそファンタジーとは程遠い(苦笑)。

    宇宙人にキリスト教のありがたさを説く神父の「円盤が舞い降りた」や、自動車がペストに感染するという「自動車のペスト」は、現代的なショートショートっぽくて、ちょっと違う面白さがありましたが、これも「幻想的」というのとは違う。

    結局いつも「ああ人間って愚か・・・人生って不毛・・・」と思わされてしまう何かがあるんですよね。とはいえ「七人の使者」は、なんだか妙に好きでした。不毛さの中にも、それでも前に進むべき、という主人公のブレない姿勢が美しいからでしょうか。


    ※収録作品
    「七人の使者」「大護送隊襲撃」「七階」「それでも戸を叩く」「マント」「竜退治」「水滴」「神を見た犬」「なにかが起こった」「山崩れ」「円盤が舞い降りた」「道路開通式」「急行列車」「聖者たち」「自動車のペスト」

  • イタリアの、崩れそうな山脈の岩肌に穿たれた枯れた川や山崩れの跡など、風土に溶け込んだ背景描写が作者の住んだ土地を彷彿とさせる。ブッツァーティの優れた短編集。
    よく知られた短編集「六十物語」から、15編を選んで訳されたそうで、これだけを読んでもブッツァーティの作風を存分に知ることができる。「七階」は北村薫編の短編集で読んで、面白い、これはヨマネバと思って買ってきて、いつものように積んでいた。
    今回 「#はじめての海外文学 vol.3応援読書会」に上がっていて、読みます宣言をしてやっと読み終えた。

    不条理な日常の中に、不安、恐怖、恐れが潜んでいる。
    周りの群衆に惑わされて後になって気が付く、眼には見えないもの、奇妙なものを恐れる気持ちは、人であればどこかに抱えている。
    好んでそんな状況に飛び込むこともあれば、向こうからじわじわとやってきて巻き込まれたり、不意に突き落とされたりすることもある。
    平穏な日常を、何気なく過ごしてはいるが、次第に導かれるように恐怖に近づいていくこともある。
    ブッツァーティはそういった人間の根底にある恐怖を、特殊な環境設定であぶりだしている。平凡な日常にいると思い込んでいると、ふと気が付くこういった状況にいるということが実に興味深く、時にはあるだろう、不幸にも出会うかもしれない、という設定が興味深い。
    ありそうな、でもまず出会いそうもない出来事も、独特の風景や環境設定が面白かった。

    「七人の使者」
    王国から出発して国境まで踏査しようと出発した。その時、年齢は30過ぎで7人の使者を連れていく。途中で母国に手紙を託して状況を知らせていたが、遠ざかるにつれて使者の帰りが遅くなった。すでにどことも分からなくなった国境に向かっていて、次々に使者を出したが、帰ってくるのに歳月が流れ、ついにはもう出した使者が追いつくかどうかわからないくらい遠ざかった。砂漠を越え村を通るが国境には目印もない、とっくに超えてしまったのか。目的が曖昧になりながらも先に向かって歩く話。なぜ、どうして。始めたことはもう引き返せない性もある。寓話的だがうら悲しい。

    「七階」
    微熱が出たので評判のいい病院に入った。7階は眺めも良く気に入った。ところが6階に移ってくれという、6階でも眺めはいい、まぁいいか。そうしているうちに5階に移った、細胞が少し破壊されているという。腕のいい医者は下の階にいるので移った。そのうちに湿疹ができた、治療機械が4階にある。などなどもっともな医者の話とともに治れば上に戻れるという希望とともに下へ下へ、重症患者のいる下の階に移っていく。一階はシャッターが下りている部屋も見える。よくなります。請け負います。あなたの病気は軽い軽いと言われながら、下の階に落ちていく。

    「それでも戸を叩く」
    「マント」
    「龍退治」
    「水滴」
    などは非現実の中にまで潜む恐れを書いている。よくこんな題材でと思いながら印象的だった。

    「神を見た犬」
    街の人々は神や祈りとは無縁な暮らしをしてきた。
    デフェンデンテ・サポーリは裕福なパン屋の老人から財産を譲られた。公開の場所で毎朝貧しい人に50キロのパンを恵むという条件付きだった。
    デフェンデンテは籠に穴を開けて裏から数を減らしながらそれでも毎朝パンを配っていた。
    丘の上の崩れかけた教会に貧しい隠者が住み着いた、町の人は地元の教会にもいかず丘の上など気にしないで隠者に近づきもしなかった。一匹の犬が毎日丘から降りてきてパンを一つ咥えて隠者の下に持って行っていた。隠者がいるとき丘の上に不思議な白い光が見えた。その光が白く輝いて大きくなったのが見え、隠者が死んだ。人々はしぶしぶ習慣で隠者を葬った。
    しかし犬は変わらずやってきてパンを持って行った。隠者の犬なので神を見たかもしれない。人々はその姿を見て少しずつ生活が変わり始めた。人目につかない形ではあったが。
    神を敬う心がない人々と、欲の皮の張ったパン屋と、いつもあちこちで見かけていた犬が教会の塀の上で死んだこと。そういった中からじわじわと滲みだしてくるような、人々の心の変化が、珍しく最終章でたねあかしもあって、いい話になっている。

    「山崩れ」
    「道路開通式」
    「急行列車」
    変わったこともない所から、次第に先が見えない状況に向かっていく恐怖。

    「自動車のペスト」
    普通ならありえない状況でも人は右往左往する。喜劇的な中に潜む滑稽な事件


    「聖者たち」
    生きていた時は神に仕える身でも評判は様々だったが、「聖者」と呼ばれて死ぬと天国に何不自由のない隠遁地が与えられた。ガンチッロは何かの間違いでこの「聖者」の中に入ることができた。
    しかし本物の聖者になりたくてそっと奇跡をおこしてみたが、不発に終わり次の手もダメだった。珍しいコミカルな話。

    「円盤は舞い降りた」
    これもありえない状況で、教会の尖塔に舞い降りた異星人と話す、かれらは状況が全く読めないままなんとなく去っていく。異星人の描写もおもしろく可笑しい。

  • 短編集。
    短編はあまり好みではないはずだけれどもこの作家の物語には惹き込まれてしまう。

    まるで自分の 意思や希望はことごとく否定され、システムに流されるままにされる様である。

    危機が迫る中、その危機を頑なに感じたくないが故に危機に飲み込まれる。

    物語としてはSFのような、幻想小説のようであり、しかしルネサンス期の宗教画の背景にあるような山、砂漠が情景として浮かび上がる。

    寓意に溢れたこれらの物語から得られるものは多い。

  • 「タタール人の砂漠」が気に入ったので、ブッツァーティの短編集のこの本を読みました。
    全部で15作の作品が収録されていますが、どの作品も語り口はメルヘンのようですが、漠然とした不安や破滅、人生の理不尽さなどが感じられるブッツァーティらしい作品でした。

  • 知らない作家でしたので、新鮮な気持ちで読めた。解説によると作者は幻想的で寓意に満ちた作品を得意とするらしい。個人的には「七人の使者」などは、ある意味、真っ直ぐに自分の使命に対して突き進む強さを感じさせる物語であるし、「7階」は、本当に怖いホラーとして読めた。

    目的地があるのだが、たどり着かない。何かを探してるのだが見つからないというモチーフの作品が多く、それが不条理さを感じさせるのだろうが、いい意味で岩波らしからぬ作品集のように感じた。

  • 幻を信じるか。どんなことでも、風と花、世の中が変わると心も変わる。心の中の神さまの存在を有りか無しかと考えるのは趣味ではない。

  • 何とも不思議な、心乱される作品群。

  • 素晴らしい彫刻を見た時と同じ感想だった。何て美しいんだ!精巧なんだ!これを作った人はどうやって作ったんだろう! 何だか近年は格付け、ランク付け、意味のないカースト付けをしては人を攻撃したり不安に 陥れるような世の中になっていて、やだなあ と日々思ってた。しかし、この本の読後は、実は人間は太古の 昔から何も変わってないのではないか、と思いをはせた。いつの時代も人は出来事に出会い、おののき、絶望しながらもそれを消化し、最後に哀しみを味わう。皆不器用ながらもギャートルズの時代から絶滅しないで生きてる。

  • じわる作家。人間の不条理や不安感をおとぎ話のようなプロットで描くイタリア人作家。中でも「7階」という短編には彼の魅力が凝縮しています。訳者の解説も素晴らしい岩波文庫らしい良書です。

  • ブッツァーティはカフカ的だとよく言われるけれども、やはり明確な違いがある。カフカが自らの筆の動きそのものの力を借りて書き進めるのに比べて、ブッツァーティは明らかに明確なプロットを立てて、語るべき寓話を作り出している。ときにその寓話の意味するところを説明しさえする。カフカよりはずっと明快で、かつ情念が顕わになっている。もちろんこれは、どちらが優れているだとか、そういう問題ではない。ただ、カフカとブッツァーティは違うのだ。

  • 淡々と綴られたちょっと不思議なお話。しかし、なんだか妙にざらつく感じ。後からジワジワ効いてくる寓意の数々。巻末に懇切丁寧な解説が書かれているが、それを読まずに自分であれこれ想像を巡らす方がきっと楽しい。やはり表題の二作がダントツかな。

  • 薦めてもらった本。
    イタリア(幻想)文学は初めてかも。

    不条理だよ、という言葉通り、最後の途方に暮れた感がよく残る。
    好きなのは「七階」。
    全体を見ると、異色の作品だったのだが、症状の軽い者から七階に、重くなってくると下の階に移されていく病院。
    最初は七階に入院した男が、病床が足りないから、とか、医者が休暇を取るから、といった理由でどんどん下の階に回されてゆく。
    最初は自分を納得させよう、一時的なことだと思う男が、段々と半狂乱になり、また、逃れられないエンディングを感じて絶望に浸されてゆく心理描写が上手い。
    男は果たして重病であったのか。それとも、病院の怠慢であったのか。

    冒頭「七人の使者」は、国境を目指して旅に出た王子だが、どれほど旅を続けても国境など見えてこないという話。
    有能な伝令係に逐一、王国への報告の手紙を書くのだが、旅程が進むほど、その往復の年月も重なっていくという事実に気付く。
    そして、王子はこの手紙が届く頃には自分はもう生きていないだろう、という予想を立てたのだった。

    似たようなテーマとして、新海誠の『ほしのこえ』を思い出した。
    こちらは地球と宇宙空間での電子メールでのやり取りで、同じ年に生まれた彼と彼女が、距離と共に時間さえ離れていく。
    この話を読んだ時も、時間の扱い方にちょっと感動を覚えたなぁ。

    「なにかが起こった」も、上手い。
    列車の中で、なにかが起こったことを乗客が察知して、不穏な空気に包まれる中、目的地に向かってゆく。
    なにが起こったかは分からないけれど、読者に幾つかの仮定をさせるような絶望的状況の描き方がいい。

  • どれも怖ろしく不穏で皮肉と不条理と絶望に満ちた物語。
    「何かが起こった」を読みたくて手に取ったのだけれど、プッツァーティってこんな作風の作家だったのか!と驚いた。
    光文社文庫で気になっていた「神を見た犬」も予想していた内容とまるで違っていたし。なんかこうもっとヒューマニズム溢れたイイ話なのかと思ってた。
    唯一「マント」は親子の情愛に満ちた話だといえるけれど、やはり恐怖が影を落としている。

  •  15編の短編を収めたイタリアの作家の短編集。
     同作家は以前、光文社古典新訳文庫で読んでおり、今回の岩波文庫ともかなりの数がダブって収録されているようだが、殆ど記憶になかった(汗)。
     記憶になかった、とはいっても決してつまらなかったわけではなく、僕の貧困な記憶力の結果だろうと思う……だってかなり面白く読めたから。
     寓話的な作品にしても、あるものを比喩した作品にしても、とてもわかりやすい。
     けっして単純な訳ではなく、わかりやすさ故に琴線に触れてきたり、恐ろしくなってみたりするのだと思う。
     母親が登場する切ない話も心をくすぐるのだが、やはり少しばかり恐怖の味付けがしてある話が面白い。
    「七階」にしても、「なにかが起こった」にしても、わかりやすいのに、じわじわと恐怖が迫ってくる。
     特に「なにかが起こった」などは容易く映像を思い描くことが出来るし、事実、あの「キューブ」という映画を監督したヴィンチェンゾ・ナタリの短編「エレヴェーテッド」を思い起こす。
     他の作品にしても、人の心理にグイグイとくいこんでくる内容が多く、読んでいて時間をわすれさせてくれる。
     ぜひとも他の作品も読んでみたい作家だ(その割には以前に読んだ内容を全く記憶していないんだよなぁ……)。

  • すばらしく不穏な短編小説群。

    『七人の死者』は、算数の文章題のようなテーマが文学の衣をまとったような、不思議なテイストで妙。

    『七階』は、これは安部公房のよう。

    『急行列車』、時間の感覚が歪んだが如き列車の旅。乗客が列車外の世界から無残に引き剥がされてゆく姿が残酷でありつつも耽美。

    15篇、どれも再読に耐える良篇。

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著者プロフィール

1906年、北イタリアの小都市ベッルーノに生まれる。ミラノ大学卒業後、大手新聞社「コッリエーレ・デッラ・セーラ」に勤め、記者・編集者として活躍するかたわら小説や戯曲を書き、生の不条理な状況や現実世界の背後に潜む神秘や謎を幻想的・寓意的な手法で表現した。現代イタリア文学を代表する作家の一人であると同時に、画才にも恵まれ、絵画作品も数多く残している。長篇『タタール人の砂漠』、『ある愛』、短篇集『七人の使者』、『六十物語』などの小説作品のほか、絵とテクストから成る作品として、『シチリアを征服したクマ王国の物語』、『絵物語』、『劇画詩』、『モレル谷の奇蹟』がある。1972年、ミラノで亡くなる。

「2022年 『ババウ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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