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Amazon.co.jp ・本 (126ページ) / ISBN・EAN: 9784003272015
作品紹介・あらすじ
少年ラーサロが、悪知恵にたけた盲人や欲深坊主、貧乏なくせに気位は高い従士やいんちき免罪符売りなど、次々に主人をわたり歩いてはなめるさんざんな苦労の数々。十六世紀当時のスペインの社会や下層民の生活が風刺鋭く、簡潔な描写で赤裸々に写しだされてゆく。ピカレスク小説をヨーロッパに流行させるさきがけとなった傑作。
みんなの感想まとめ
悪事を働きながら様々な主人のもとを渡り歩く主人公の物語は、16世紀スペインの社会を鋭く描写しています。登場人物たちは、盲人や聖職者を含むずる賢く欲深い人々として描かれ、キリスト教への皮肉が効いたストー...
感想・レビュー・書評
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スペイン文学の授業で扱った作品を通して読んでみた(その授業は落としました)
ピカレスク小説の代表と言われていて、盲人や聖職者らが、ずる賢くて欲深い人々として描かれているのが新鮮。キリスト教をとことん皮肉っていて面白い。そしてラサリーリョが最後には彼らの仲間入りをしていると思わせる加減が絶妙だなあ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生まれながらに貴い御身分の方々も、運命の神がひいきにして下さるからのことであって、御自分の力量に負うところなぞいかに取るに足りないか、一方、運命の神にそっぽを向かれながらも、努力と才覚で漕いだおかげで、幸運の港にはいることの出来た連中が、どれだけのことを成しとげたものか、考えていただきたいからでございます。
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16世紀スペインの小説
悪事を働きながらさまざまな主人のもとを渡り歩く主人公を描く作品ですが、仕える主人もろくでなしばかりで、当時の人々が毎日を必死に生きようとしている様子が感じられて、どの登場人物も憎めないお話でした。
作者が途中で力尽きたかのように第3話までは結構な密度でストーリーが進んでいたのに、第4話以降がめちゃくちゃ雑なのも、昔の作品という感じで面白い。 -
2024I206 081/Ib/赤720-1
配架書架:A4 -
16世紀のスペインで出版され大流行した、作者不詳の作品。ピカレスク小説(悪漢小説)と呼ばれるジャンルの代表作だが、飢えをしのぐために知恵を働かせる主人公ラーサロは、「悪者」というよりも愛嬌のあるいたずら小僧だ。主人から食べ物をだまし取る手口は痛快で、ユーモアに溢れている。広大な領土を誇ったスペインの繁栄の影で、貧困に苦しむ下層階級の人々が存在した現実も描かれている。
(選定年度:2025~) -
ピカレスクとは、スペイン語のピカロ(悪者、ならず者)から派生した言葉で、社会の底辺を生きる主人公が、その都度の機転と狡猾さで生き延びていく物語を指します。
『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』はいわゆる「ピカレスク小説」の元祖
私がこのジャンルに魅了されるのは、その徹底的な反英雄性にあります。
従来の文学で描かれてきた高潔な騎士や気高い貴族ではなく、むしろ社会の裏側で生きる人々の視点から世界を描く。その視点の転換には、既存の価値観を根底から覆す力があるのです。
現代で言えば、アンパンマンに出てくるバイキンマンも、ある意味でピカレスク的な主人公と言えるかもしれません。いつも策略を巡らせ、時には偽装や変装まで使って目的を達成しようとする姿は、まさにピカレスク的な性質を持っています。
しかし、バイキンマンと違い、古典的なピカレスク小説の主人公たちは、その行動の背後に過酷な生存競争という現実が存在します。
『ラサリーリョ』が生まれた16世紀は、スペイン黄金世紀と呼ばれる文化的絶頂期でした。新大陸からの富が国を潤し、芸術や文学が花開いた時代です。しかし、その繁栄の陰で、貧困や社会的格差は深刻化していました。新大陸からの富は一部の特権階級に集中し、一般庶民の生活は必ずしも豊かではありませんでした。加えて、異端審問や宗教的不寛容が社会を覆い、表面的な体面と実態の乖離が広がっていました。
このような時代背景の中で、ピカレスク小説が大きな人気を博したのは必然だったのかもしれません。1554年に出版された『ラサリーリョ』は、高位聖職者に宛てた手紙という形を取りながら、実は教会の腐敗や貴族の堕落を鋭く風刺しています。当時の読者は、自分たちの社会の矛盾をユーモアを交えて描き出すこの物語に、強く共感したのでしょう。
主人公のラサリーリョは、様々な主人に仕える中で人生の機微を学んでいきます。最初の主人である盲目の乞食は彼に容赦のない現実を教え、守銭奴の司祭は極端な倹約で彼を飢えさせ、見栄っ張りの没落貴族は虚栄心だけは一人前という具合に、彼が仕えた主人たちはそれぞれが当時の社会の歪みを体現しています。
同時代の傑作『ドン・キホーテ』と比べると、興味深い対比が見えてきます。『ドン・キホーテ』が騎士道物語を題材に理想と現実の乖離を描いているのに対し、『ラサリーリョ』は最初から現実の世界に足場を置いています。ドン・キホーテが理想を追い求めて現実と衝突するのに対し、ラサリーリョは現実に適応することで生き残ろうとします。両作品は、スペイン黄金世紀という同じ時代を、まったく異なる角度から照射しているのです。
現代の目で読んでも、この作品が提起する問題の多くは私たちの社会に存在し続けています。貧困、社会的不平等、体面の重視、制度の形骸化など。作者は匿名のままですが、おそらく当時の社会の実態をよく知る知識人だったのでしょう。その鋭い観察眼と皮肉な筆致は、今読んでも新鮮な驚きを与えてくれます。
ピカレスク小説の魅力は、その反体制的な視点にあります。社会の主流から外れた視点で世界を見ることで、私たちは自分たちの社会の本質をより鮮明に理解することができます。悪知恵を働かせ、時には手段を選ばず、それでも何とか生き延びようとする主人公の姿。それは社会の歪みを映し出す鏡であると同時に、人間の生命力の証でもあるのです。
分量は決して多くない作品ですが、読後感は強烈です。古典を読むのに慣れていない方でも、現代語訳であれば十分に楽しめる内容だと思います。スペイン文学に興味のある方はもちろん、社会や人間の本質について考えてみたい方にもお勧めしたい一冊です。そして何より、この作品は私たちに、社会の底辺から世界を見上げるという、貴重な視点を提供してくれるのです。 -
おもしろい。
軽妙でシニカルな語りを洗練するだけでこうも面白い小説に仕上がる。
サタイア的黒いユーモアがあまりない感じも良い。
構成主義的な作劇術ではない、淡白でシンプルな語り劇に痺れた。
16世紀スペインの下層階級の暮らしぶりがつかみ取れる。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/707236
世界初のピカレスク(悪漢・悪者)小説。 -
貧しい少年ラーサロが仕える主人たちとの生活が描かれている。どうしてここまで不幸が続くのかと思わずにはいられないラサーロの運命と彼の主人たちへの復讐に笑ってしまう。また、当時のスペイン情勢を表しているのも面白い。
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喉まで届く鼻にびっくり。
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(2007.03.05読了)(2007.02.23購入)
先日、「スペイン ゴヤへの旅」中丸明著、を読んでいたら「ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯」と言う本が紹介されていました。本好きの習性で、ネットで検索してみたら薄くて値段も手ごろ、入手可能ということがわかったので、早速注文して入手しました。
1554年に第二版が出版された、作者不詳のピカレスク小説といわれるものです。(初版はまだ見つかっていないので、いつ出版されたのか分かっていない。)
【ピカレスク小説】
一六世紀半ば、スペインで騎士道小説の理想主義への反動として現れ、やがてヨーロッパ中に流行した小説の様式。「ピカロ」(ならずもの・悪漢)の冒険を描き、辛辣に社会を風刺する。作者未詳の「ラサリーリョ=デ=トルメスの生涯」、ケベートの「かたり師ドン=パブロスの生涯」などが代表作。悪漢小説。[大辞林]
あらすじは、「あまり自慢にならない両親の間に生まれたラーサロという少年が、めくらの乞食を手始めに、欲の深いけちんぼの坊主、素寒貧のくせに高い誇りを抱く気取り屋の従士など、次々に主人から主人に渡り歩いて、散々生活の苦労の果て、主席司祭に使える女中と結婚し、さらにトレードの「触れ役」の職を得て、自ら「私はちょうどこの時分、富み栄えて、私の幸運と言う幸運の、絶頂に立っていた」と称するのである。」(119頁)といったところです。
主人公の悲惨さ、意地悪な主人への仕返し、知恵比べ、あきれた主人の行い、等、驚きあきれながら、楽しめます。
出版されてすぐに大変な人気を博した秘密は、「アメリカの発見以来、度重なる戦争で、ほとんど崩壊にひんしたスペイン、しかもそのスペイン社会をもっともよく代表する三つのタイプ、めくらの乞食、貪欲な坊主、素寒貧の下級騎士によって、まざまざと描いてくれるのである。」(122頁)と言うところにありそうです。
歴史の本を読んでも、なかなかどんな生活をしていたのかを知る事は出来ませんが、このような本があると、楽しみながら生活の様子が分かります。この本では、16世紀半ばのトレード周辺の生活ぶりが分かります。
スペインに興味を持っている方にお勧めです。
(2007年3月5日・記) -
スペイン文学独特の形式『ピカレスク』。フランスではそれをユマニスムと呼んだのだろう、近代日本ではそれを勧善懲悪を排した自然主義と呼ぶのかもしれない。口語体で書かれたこの作品は、ルソー以来の告白文学として、口承文芸としての魅力も備え、あるいは逆に、成立年をみればまったく逆転する。いまや周縁とされるスペイン文学の古典が、あたかも中心のように居座るフランス文学に大きな動機付けを与えている。そして、これを通過したものは、世界のすべてが周縁となるだろう。
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すごく淡々としてシンプルで、でも文の乱れのせいで混乱したりすることもありと、いかにも昔の良書って感じの小説。主人公は十分魅力的だし、対話がどこかシェイクスピア的。
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