ドン・キホーテ 前篇1 (岩波文庫)

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本棚登録 : 989
感想 : 87
  • Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003272114

感想・レビュー・書評

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  • ♪~「おお~ドゥルシネーア姫、この悲嘆にくれる心の支配者よ!~おお姫よ、御身の愛を求めて、かくも苦悶する恋のしもべ……(延々続く)」

    のっけからアブナイです(笑)。劇中の独白のようで、シェイクスピアも真っ青……。痩せこけた愛馬ロシナンテの背にまたがるドン・キホーテのお伴は、おなじみ驢馬に乗っかる農夫サンチョ・パンサ。2人の旅は可笑しな珍道中、その掛け合いは、口から生まれた漫才師よろしくまことに見事なものです♬

    この物語は、騎士道の冒険とはいっても、血生臭い場面はほぼありません。ドン・キホーテとサンチョ・パンサ主従を中心に、沢山の登場人物の饒舌なおしゃべりで占められています。その語りは雄弁で延々と続き、セルバンテスの創造とユーモアは、こんこんと湧き出す泉のよう。

    また、その小説手法は巧みの技。モーロ人のシデ・ハメーテという人物(第1作者)が書いたアラビア語原典を、セルバンテスが第2作者として翻訳・編纂するという、大胆な又聞きスタイルになっています。全巻とおしていろんな仕掛けがほどこされた、壮大なメタフィクションになっています。

    そのため、第2作者のセルバンテス(という設定)は、わりと叙事的な筆致で書いているのですが、ひょこっと、第1作者(シデ・ハメーテ)の悲劇のようなセリフが飛び込んできたり、第2作者のセルバンテスがMCよろしく読者に語りかけたり鼓舞したり……平板になりがちな長編に奥行きと遊びの力がみなぎります。

    前篇のドン・キホーテの目に映るものは、まさに妄想の世界。田舎の旅籠は城砦に映り、羊の群れは、血沸き肉躍る騎士団の行軍、はたまた農夫が頭に乗せている「金たらい」は、燦然と輝くマンブリーノの兜、極めつけは、ドン・キホーテの前に猛然と立ちはだかる邪悪な巨人!……愛馬ロシナンテとともに突撃したドン・キホーテは、巨人に思いきり槍を突き立てますが、惨憺たる有様。あぁ~ぁ憐れドン・キホーテ、まこと災難ロシナンテ……。

    『「やれやれ、なんてこった!」とサンチョ・パンサが言った。「ご自分のなさることにようく気をつけないさまし、あれはただの風車で巨人なんかじゃない、とおいらが旦那様に言わなかっただかね。頭のなかを風車がガラガラ回っているような人間でもねえかぎり、まちがいようのねえことだによ」』

    ということで、レビューは後半へと続きます…笑

  • 2017年15冊目。

    読みすぎた騎士道物語に取り憑かれ、自らを騎士だと思い込み旅立ってしまった男。
    すべての災難を「これは遍歴の騎士だからこそ起こる試練だ」とむしろ幸いと捉え、
    自分の助けを待っている人がいるという勘違いから生まれる尋常じゃないタフさ。
    盲信の利点。その姿は、滑稽でありながら勇ましく、どこか羨ましくもある。
    勘違いも徹底すれば役に立つ。(やりすぎて被害を受けている人たちも大勢出てくるが)
    基本的に気楽に笑いながら読めるコミカルさの中だからこそ、時々現れる至言が際立つ。
    章ごとに短編のようにオチがきちんとある場合が多いから、毎日少しずつ読んでも十分楽しめる。
    古典だからといって気構える必要が全然ない素晴らしい作品だと思う。

  • 面白い!
    昔はこういう人たくさんいたんやと思う。情報もないし、何が正しいか答えがないような時代やし。
    逆に今は絶対こんなことない、けどないのがいいとは思えん気もする。
    想像力に限界がある今では絶対ない、けど面白い。

    これを現代じゃなくて、普通に昔の人が書いてるってのも凄い、冷静

  • 17世紀に書かれた、現代で言う「なりきりヒーロー」的になってしまった下級貴族のオッサンの話です。「主人公の自意識や人間的な成長などの「個」の視点を盛り込むなど、それまでの物語とは大きく異なる技法や視点が導入された~」新スタイルの小説だとか。

    キャラ別の個性がわかりやすく、展開も当時なりのギャグストーリーが展開されている。現代のギャグマンガにも共通点は多いと思った。
    また面白いのは、作者のセルバンテスが物語の語りにたまに登場したり、原作者じゃないように扱われたり、妙な遊び心まで含まれているとこ。現代の小説では見たことがない。

    全巻読破までは時間がかかりそうだけど、今のとこ一番好きなキャラ(が言えるのも、個性的なキャラが多いから。)は、従者のサンチョ・パンサ。だまされてついてきた上にドン・キホーテの奇行でひどい目に合わされ続けているのに、妙に面倒見がよかったり結局冒険を楽しんでるようだし・・何か微笑ましいキャラです。

  • 爆笑問題、太田セレクト

  • 意外とおもしろい

  • 少年の様な妄想を現実世界に押し広げる、現代の厨二病に似ているように感じた。物語として歴史がある作品で非常に続きが気になる

  • なかなかの中二病を拗らせた老人の物語。
    むかし劇でやったことがあり読んでみました。
    有名な風車の話は、序盤でした。
    物語はもっと冒険に満ち溢れていた。

  • 関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/webopac/BB00113492

  • 高潔で気高く勇敢な精神的美徳を兼ね備えた騎士ドン・キホーテ。

    その美徳は通常、それ自体が絶対的価値のように思われるが、そういった内面的な美徳の価値いかんが、いかに外部に影響されるかを如実に物語っている爆笑ストーリー。

    騎士道物語の読みすぎで
    現実と空想の境目がなくなり
    空想そのものが現実となったドン・キホーテにとっては
    通りがかりの羊飼いは敵に見え「ハイヤー!」と立ち向かっていけば、通りがかりの棺を運ぶ神父さん達を不届き者として叩きつけて追い散らす、そうかと思えばコイツは頭が狂ってるよと思われて棍棒でボコボコに殴られ、元々4本しかなかった奥の歯は、しまいには2本しかなくなってしまう。


    どれだけ美徳を兼ね備えた人物でも
    現実をあるがままに見ずに
    自分の見たいようにのみ見続けた男の極地。
    それは、滑稽でしかなくなり、むしろはた迷惑な暴漢にも成り下がりかねない。
    ということがわかる書物。

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著者プロフィール

Miguel de Cervantes Saavedra(1547 – 1616)

「2012年 『新訳 ドン・キホーテ【後編】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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