ドン・キホーテ 後篇1 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003272145

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  • 後篇に入ると、ドン・キホーテの目に映る旅籠はただの旅籠、田舎娘はただの田舎娘。でもやはり、どこかずれています。また、後篇の設定は、「ドン・キホーテ・前篇」が出版されて人気をはくし、滑稽な主従は、どこへ行っても有名人になっています。

    また、後篇を出版した当時、「ドン・キホーテ後篇」の偽作が世に出回っていたようで、セルバンテスはその許し難い剽窃を、後篇のドン・キホーテの口を借りて鮮やかに批判するのですが、それだけでは飽き足らず、物語の中に巧みに取り込んで、もてあそんでいます。読んでいるうちに、何が現実で、どこが虚構なのかわからなくなってきて痛快! セルバンテスの遊びと創造はますますヒートアップします。

    もう1つの楽しみは、当時の人々の日常が生き生きと描かれていることです。スペインの田舎の風景、庶民の暮らしぶり、食べもの、ワイン、人々の身なり(どうやらセルバンテスは人々の装いにとりわけ興味あるご様子)、生活習慣、格言やことわざ、貨幣の価値、宗教、そしてセルバンテスの人となり。波乱に満ちた彼の人生経験が、その素朴で豊かな観察眼を通して見事に結実したのでしょう。

    翻訳も訳注もわかりやすくて滑らかですし、ギュスターヴ・ドレの躍動感あふれる挿画も、一見の価値ありです♪

    読み始めると、電車の中でもどこでも笑いをこらえるのは大変で、気づけば寝食も忘れているという、おそるべき作品です。ということで、くれぐれも寝不足にはご注意ください(^^♪

  • 前編までの本がすでに出版されて、評判になっているという設定で後編の物語は始まる。物語の中に現実が混入する、込み入った入れ子構造になっている。

  • 後編に入っても安定した面白さです。ドン・キホーテの理路整然とした語り口から、騎士道物語に話が進むといっきに狂気に陥る様に、読者の自分も登場人物たちも、驚く同時に興味を引かれます。

    前編の内容が作中で本として出版されているという設定にも驚きました。メタ視点の見事さもここまできたかと。それと今回からサンチョの知能指数が急上昇しているのがまたおかしいですね。

  • 遍歴の騎士を「演じている」ドン・キホーテがこのセリフを言うところに面白みがある、気がする。
    あと2冊か。

    191
    舞台の上と同じことが、この世の実生活においても起こっているのじゃ。現実の世界でも、ある者は皇帝を演じ、またある者は教皇になっている。要するに、舞台に登場させることのできるあらゆる役柄、あらゆる人物が、この世で演じられているのよ。

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18412

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA5005294X

  • 関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/webopac/BB00113492

  • 2021/4/12

  • 「無鉄砲な男が真の勇者になるのは、臆病者が真の勇気にたどりつくよりはるかに容易ですからの......少なすぎるカードで負けるよりは多すぎるカードで負けるべきじゃと申しあげたい。」(第十七章より)
    ここにきて本当にカッコいいドン・キホーテ。

  • 前篇と比較すると物足りない。
    前篇の成功によくして、作者が手を抜いている??

  • アベジャネーダの贋作ドン・キホーテを経 て発表された真打ドン・キホーテの続篇。

    著者セルバンデスは、徴兵で左腕を失うも 執念で創作し続けた点、敬愛する水木セン セに通ずるものを感じずにいられない。

    出事村を旅立つドン・キホーテの狂気が盤 石であることに安堵した読者は多い筈だ。

    しかし、これまでは「ドン・キホーテの狂 気と、人びと」であった構図が「人びとの 狂気の中にあるドン・キホーテな狂気」と いう構図へと鮮明に変化していることに気 づく。

    傷夷後、徴税官となるも横領のかどで投獄 されたセルバンデスが失わなかったドン・ キホーテへの想いが立体的になる、そんな 続篇の幕開け。

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著者プロフィール

Miguel de Cervantes Saavedra(1547 – 1616)

「2012年 『新訳 ドン・キホーテ【後編】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

セルバンテスの作品

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