ドン・キホーテ〈後篇1〉 (岩波文庫)

制作 : Miguel De Cervantes  牛島 信明 
  • 岩波書店 (2001年2月16日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003272145

ドン・キホーテ〈後篇1〉 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 後篇に入ると、ドン・キホーテの目に映る旅籠はただの旅籠、田舎娘はただの田舎娘。でもやはり、どこかずれています。また、後篇の設定は、「ドン・キホーテ・前篇」が出版されて人気をはくし、滑稽な主従は、どこへ行っても有名人になっています。

    また、後篇を出版した当時、「ドン・キホーテ後篇」の偽作が世に出回っていたようで、セルバンテスはその許し難い剽窃を、後篇のドン・キホーテの口を借りて鮮やかに批判するのですが、それだけでは飽き足らず、物語の中に巧みに取り込んで、もてあそんでいます。読んでいるうちに、何が現実で、どこが虚構なのかわからなくなってきて痛快! セルバンテスの遊びと創造はますますヒートアップします。

    もう1つの楽しみは、当時の人々の日常が生き生きと描かれていることです。スペインの田舎の風景、庶民の暮らしぶり、食べもの、ワイン、人々の身なり(どうやらセルバンテスは人々の装いにとりわけ興味あるご様子)、生活習慣、格言やことわざ、貨幣の価値、宗教、そしてセルバンテスの人となり。波乱に満ちた彼の人生経験が、その素朴で豊かな観察眼を通して見事に結実したのでしょう。

    翻訳も訳注もわかりやすくて滑らかですし、ギュスターヴ・ドレの躍動感あふれる挿画も、一見の価値ありです♪

    読み始めると、電車の中でもどこでも笑いをこらえるのは大変で、気づけば寝食も忘れているという、おそるべき作品です。ということで、くれぐれも寝不足にはご注意ください(^^♪

  • 「無鉄砲な男が真の勇者になるのは、臆病者が真の勇気にたどりつくよりはるかに容易ですからの......少なすぎるカードで負けるよりは多すぎるカードで負けるべきじゃと申しあげたい。」(第十七章より)
    ここにきて本当にカッコいいドン・キホーテ。

  • 前篇と比較すると物足りない。
    前篇の成功によくして、作者が手を抜いている??

  • アベジャネーダの贋作ドン・キホーテを経 て発表された真打ドン・キホーテの続篇。

    著者セルバンデスは、徴兵で左腕を失うも 執念で創作し続けた点、敬愛する水木セン セに通ずるものを感じずにいられない。

    出事村を旅立つドン・キホーテの狂気が盤 石であることに安堵した読者は多い筈だ。

    しかし、これまでは「ドン・キホーテの狂 気と、人びと」であった構図が「人びとの 狂気の中にあるドン・キホーテな狂気」と いう構図へと鮮明に変化していることに気 づく。

    傷夷後、徴税官となるも横領のかどで投獄 されたセルバンデスが失わなかったドン・ キホーテへの想いが立体的になる、そんな 続篇の幕開け。

  • 前篇のレビューは下記。
    http://booklog.jp/users/pilvoj/archives/1/4003272110

    後篇は完全にメタフィクションである。
    作中で前篇が出版されており、しかも執筆中に出版された偽作も登場。前篇の不備(サンチョの驢馬がいなくなる件)まで取り込んでいる。
    このため、ドン・キホーテやサンチョの前篇での滑稽な活躍は作中の登場人物に知られているのである。
    10年という前後篇の時間的差異(作中ではひと月程度だったと記憶しているが、時に20年などというメタい時間軸が出てきたりもする)をそのまま持ち込むメタフィクション性は面白いし、今でも古いものでは無いだろう。

    そして後篇ではドン・キホーテの狂気にも変化が訪れている。
    騎士道に関する狂気はそのままだが、旅籠を城と見間違える様なことが無くなっているのである。
    ではどうやって滑稽な物語が展開されるか。
    サンチョや、周囲の前篇を知る登場人物によって担がれることで生じるのである。
    周囲は自分たちの楽しみのために彼をからかい痛めつけるのだが、彼は常に騎士道的な振る舞いをする。
    果たしてどちらが狂気に囚われているのか。

    「ドン・キホーテ」は頭の狂った馬鹿という様な意味で用いられるが、それは明らかに誤りだ。

  • メタ小説になってきた。

  • 前篇から10年を経て書かれた後篇。とりあえず1巻め。
    もともとドン・キホーテは、愁い顔の騎士ドン・キホーテの数奇な冒険をモーロ人がアラビア語で記録し。それをセルバンテスがスペイン語へ翻訳した、という体で描かれている。原著者であるモーロ人が感想を述べたり、あるいは翻訳者たるセルバンテスがそれにコメントしたりと、ある種のメタフィクション性を備えていた。
    後篇では、この構造がさらに進行し複雑化している。つまり、当の「ドン・キホーテ 前篇」が物語中でも出版されていて、そして登場人物のうち何人かは作品を既に読みドン・キホーテたちの奇行を知っている。
    そのような状況で、愁い顔の騎士改めライオンの騎士ドン・キホーテとその従士サンチョ・パンサは再び旅に出る。その時、いかなることが起こるのか。ドン・キホーテの狂気を事前に知り了解している人々は、騎士たちにどんな反応を示すのか。
    前篇との最大の違いはここにある。

  • 物語は前篇から1ヶ月後の話なのだが、後篇が出版されたのは実に10年後なんだとか。世間では既に前篇の話が出版され、ドンキホーテの(愉快な)活躍ぶりが広まっている上に前篇の矛盾点について語り出したりとメタフィクショナルな度合いは更に上昇。ドン・キホーテは相変わらず騎士道精神に囚われているものの良識的な面がクローズアップされ、サンチョは時に田舎者とは思えない含蓄に富んだ台詞を発したりする。読者はこれまでドン・キホーテの振る舞いに散々笑わせてもらってきたが、本当に笑われているのは読者なのかもしれないと思えてきた。

  • 後篇に入ってがらりと様相が変わる。ドン・キホーテはただの狂人ではなく、強靭な意思で狂人となることを選択した賢人に見え、サンチョの饒舌は止まるところを知らず、周囲はひたすら悪のりする。何よりセルバンテスの小説技法のメタメタ化は精緻を極める。

  • うーん……やっぱり、ドン・キホーテとサンチョがメインの話は読みにくい、のか!?

    久々に時間がかかった。

    せっかく皆で苦労して連れ帰ったドン・キホーテもあっという間の再出発。

    段々と文法間違いと格言の増える従士サンチョ。
    どちらかというとサンチョのキャラクターが濃くなってきているような。

    「鏡の騎士」との対決が見物。さて後二巻!

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