ドン・キホーテ 後篇2 (岩波文庫)

  • 岩波書店
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本棚登録 : 342
感想 : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003272152

作品紹介・あらすじ

鷹狩りの一団の中でひときわあでやかな貴婦人が、挨拶に向ったサンチョ・パンサに言う。「あなたの御主人というのは、いま出版されている物語の主人公で、ドゥルシネーア・デル・トポーソとかいう方を思い姫にしていらっしゃる騎士ではありませんこと」。

感想・レビュー・書評

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  • ドンキホーテの狂気を楽しむために周囲の人が彼の話に乗ってあげるのが定番のパターンですが、なんと今回は前編を読んでファンになったとおる公爵夫妻が、費用をかけて彼の冒険をお膳立てするという展開に。面白くないはずがありません。

    特にサンチョがついに領主になるくだりが最高です。サンチョがいつの間にか諺キャラになって知性がアップしていましたが、その彼が村民の相談を受けるシーンは特に好きです。

  • ここまで前編とは違って、ひどい事件には巻き込まれていない。
    しかし、からかわれ続けている。人格のまっすぐさは相当な者。

  • ドン・キホーテが冒険を他の騎士の冒険だと自ら納得させてすんなり諦めたり、サンチョを置いて逃げ出して、後ろから銃で撃たれたらどうしようと冷や汗をかいたりと、これまでの遍歴の騎士関連の行動ではあまりみられなかった危機感を抱くようになっていて、狂気が薄れているのを感じる。

    ドン・キホーテとサンチョで旅に出てからの経過年数の時間軸が異なったり、「前篇のドゥルシネーア」についてドン・キホーテが言及したり、原作者(という設定の)シデハメーテが読者に文句を言ったりと、これまで以上にメタ構造を利用した一冊になっている。

    大半が、前篇を読んでいる公爵と公爵夫人が、騎士と従士を面白がるためにからかい倒す話で、サンチョがセルフ鞭打ちしなきゃいけなくなるシーンとか滑稽でにやにやしてしまう。だが、騙され続ける騎士と従士の素朴さに、公爵夫人たちの趣味の悪さを不意に感じて、公爵夫人たちの意地の悪さは、滑稽だが真っ直ぐな主人公たちを意地悪く面白がる読者を暗喩しているのではないかと思った。

    下記は、ドン・キホーテとサンチョ・パンサの関係性が表れてていいなぁと思った一節。

    150
    要するに、拙者はそういう彼がたいそう気に入っているので、たとえ大都市をひとつ付けてやると言われても、彼をほかの従士と取りかえるつもりはありませんのじゃ。

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18412

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA5005294X

  • 関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/webopac/BB00113492

  • 2021/4/24

  • 後篇の感想は1巻に。
    http://booklog.jp/users/pilvoj/archives/1/4003272145

    公爵一味の悪行と、単純で機知に富んだサンチョの物語。
    誰のもとにあるものを狂気と呼んでいる?

  • だんだん悲哀の味がでてきた。

  • アイロニーは現実から虚構に向かい、反転してまた現実へ襲いかかる。セルバンテスは架空の著者の名を借りて現実の読者に対する不満をぶちまけるし、物語の中ではドン・キホーテの読者である公爵夫妻を当人と対面させる。また前作出版後に現実で贋作が発表されれば、物語ではその作者のモデルを登場させて痛い目に合わせる事に。しかし公爵夫妻がドン・キホーテに仕掛ける虚構と現実の領域を反転させたドッキリの数々は醜悪さが漂うが、これは現実の読者のメタファーではないか。かくして冗談は現実となり、愚弄していたものが愚弄される番なのだ。

  • 物語のエスカレート具合はますますドン・キホーテとサンチョ・パンサの聖性を浮き立たせ、周囲の醜さ愚かさをあぶり出していく。特にこの後篇2はサンチョが物語の中心となって、光り輝く賢人ぶりを発揮するし、本物の冒険や城暮らしやサンチョの島?の統治があって盛り上がる。

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著者プロフィール

Miguel de Cervantes Saavedra(1547 – 1616)

「2012年 『新訳 ドン・キホーテ【後編】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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