ドン・キホーテ〈後篇3〉 (岩波文庫)

制作 : Miguel De Cervantes  牛島 信明 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 214
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003272169

作品紹介・あらすじ

物語も終盤にさしかかり、ドン・キホーテ主従は、当時実在のロケ・ギナール率いる盗賊団と出会い、さらにガレー船とトルコの海賊との交戦を目撃することになる。さて、待望の本物の冒険に遭遇したわがドン・キホーテの活躍は…。

感想・レビュー・書評

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  • 中々複雑な構造をもった小説だった

  • 遂に本編をもって、一連のドン・キホーテ作品が完結してしまう。

    この事実はシリーズを通じて読んだ方にのみ訪れる寂寞の足音を痛感させるものだった。

    ドン・キホーテは自らの狂気から目覚め、正気のうちに死ぬのだ。そしてこのことは、私たちが愛したのは、彼の狂気そのものではなく礼節と正義の心であったことを知らしめる。この主人公の旅は誰の心にも潜む狂気を暴いていく正義の旅だったことを知らしめるのである。

  • 後篇の感想は1巻に。
    http://booklog.jp/users/pilvoj/archives/1/4003272145

    最終巻。最後の最期で、彼は正気に戻り、逝く。
    解説も読もう。

  • ドン・キホーテのさびしい死まで。

  • ドン・キホーテが理性を取り戻すにつれて、逆にセルバンテスの世界は狂気に満ちていく。

    周囲の人びとは、ドン・キホーテ一行に悪戯する。それは、段々過激化してきて、もはや「いじり」ではない。それだけでなく、痛々しいアクシデントも多発する。それもやはり、ドン・キホーテ一向を苦しめるだけが目的に思える。ドン・キホーテを取り巻く世界自体が狂ってきているのだ。

    さらなる狂気は、ニセ作家との絡みだ。実際に、『ドン・キホーテ』が出版された後、『続編』が刊行されたらしい。それはセルバンテスの手によるものではない。贋作である。その贋作を、あろうことかドン・キホーテ自身が批判するのだ!しかも、ニセ作家本人も登場する……。もう現実と虚構との区別が付けがたくなってしまう。まさに狂気の世界だ。

    ドン・キホーテは風車と戦った男だ、というのはよく知られている。このエピソードは、第1巻(前篇一)に収録されている。牧歌的なおバカさだ。この手の話が延々と続くだけだったら、『ドン・キホーテ』はただのベストセラーで終わっていただろう。しかし、第6巻(後篇三)のラスト数章で、『ドン・キホーテ』は「狂気」の最高潮を迎える。それによって、『ドン・キホーテ』は世界文学の金字塔を打ち建てたのだ、と思った。

  • 全六巻に及ぶ冒険譚も遂に完結。ドン・キホーテはもはや旅籠を城と見間違えず、豚の群れを合戦場と勘違いすることもない。サンチョだって知己に富んだ発言が所々で顔を出す。もはや狂気に囚われているのは彼らを愚弄する側であり、それを期待する読者の方なのだ。故郷に帰ることで遂に魔法から解放され、自らの名前を取り戻すラストは感動的ですらある。著者の目論見通り騎士道物語は時代遅れのものとなり、中世は葬られ近代が始まる。小説は決して虚構なだけでなく、現実を更新するものなのだ。笑って泣けて批評精神に満ち溢れた、永遠の大傑作。

  • ドン・キホーテもこれで完読。公爵家を離れてからドン・キホーテの存在感はどんどん希薄になっていく様が何とももの悲しい。

  • ドン・キホーテは騎士道物語のこととなると正気を失い、狂気の騎士となって皆を愉快がらせる。しかし、一方でドン・キホーテが領主としての模範的なあり方をサンチョに教え、他にも度々道徳、善意について理路整然とした、立派な考えを持っている。

    遍歴の騎士を笑うとき、私は道徳も善意も忘れて意地悪な愉快さに身を委ねている、ドン・キホーテが正気に返り、理性が甦ると、今度は騎士の狂気を笑っていた、こっちが笑われているのだ。笑いがピンポン球みたいに私とドン・キホーテ、サンチョ、シデ・ハメーテ、セルバンデスの間を放縦に跳ね回ってるみたいだ。

    恋、戦争、冒険と盛りだくさんのエピソードの渦、公爵夫妻の本気すぎる悪戯の数々が竜巻のように絡み合い、ドン・キホーテやサンチョが自身が登場する書物に言及するとき、作品世界が現実をも飲み込み、私を喜びの渦へと巻き込んでいくのであります……。

  •  ドン・キホーテが騎士との決闘に負けて故郷に帰り、正気に戻って死ぬまでの話である。公爵のいたずらは入るものの、死はあっけなく終わってしまう。

  • 狂気にあれば正気に戻れ、と言われ、正気に戻れば戻ったでそれはそれで狂気だ、と言われ。

    最後は思わず泣いてしまった。
    ドン・キホーテだけではこうはならなくって、サンチョがいたからこそ面白さが増しているんだと思った。

    おかげで「諺」の多さを知ることもできた。

    この本は結局「当時の騎士道文学へのアンチテーゼ」ってことなのか、なんかそれ以上のことも(テクニック的な)含まれているような。
    本の中で自分の本が出版されていたり、セルバンテスが更に前の原作者を作って登場させていたり。

    とにかく面白かった。
    何度も読める本

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プロフィール

Miguel de Cervantes Saavedra(1547 – 1616).

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