ドン・キホーテ 後篇3 (岩波文庫 赤 721-6)

  • 岩波書店
4.13
  • (42)
  • (26)
  • (26)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 370
感想 : 27
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003272169

作品紹介・あらすじ

物語も終盤にさしかかり、ドン・キホーテ主従は、当時実在のロケ・ギナール率いる盗賊団と出会い、さらにガレー船とトルコの海賊との交戦を目撃することになる。さて、待望の本物の冒険に遭遇したわがドン・キホーテの活躍は…。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『ドン・キホーテ後編』最終巻。
    セルバンテスは『ドン・キホーテ前編』で終わるつもりだったのだが、贋作が出回ったために反論のためもあり『後編』を書いた。そのため後編では贋作を否定する供述も多い。
    さらに『後編』では「『機知に富んだ郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』(つまり『前編』)が出版されて世の中に出回っている」ということになっている。そのためドン・キホーテが会う人々は、ドン・キホーテは今出版されている本の主人公だと知っていて、本当にドン・キホーテは狂気と教養を持っているのかを確かめたり、騎士道舞台を設置してドン・キホーテをからかったりする。
    この後編は「本の主人公のドン・キホーテは実在して旅をしている」という設定なのだが、さらに「贋作の登場人物の偽ドン・キホーテと偽サンチョ・パンサも実在して旅をしている」として、贋作を否定するという書き方をして…ややこしくなってきたな 笑
    セルバンテス自身も「前編でこんな間違いがあると指摘されたけど、それはこういうことなんだよ」「前編はこのように書いたけど、後編はこんな感じに書くよ」とお断りも入れている。

    ❐サンチョ・パンサ領主の終わり
    前巻で島の領主となったサンチョ・パンサだが、それは10日で終わった。もともと『ドン・キホーテ』の物語の読者である侯爵夫妻が、ドン・キホーテとサンチョ・パンサをからかうためにサンチョ・パンサを「島」と偽って村の領主に任命し、部下たちに「彼の様子を見たり、からかったりして、様子を報告するように。そして一定期間が終了したら領主を辞めるための悪戯を仕掛けるように。」と命じていた。
    しかしその部下たちから追い出される前に、ある出来事を経験したサンチョ・パンサは自分から領主を辞めていった。
    もともとサンチョ・パンサの揉め事裁きはお見事だったし、賄賂とも無縁だった(賄賂の受け取り方を知らなかったのかもしれない)。それは主君のドン・キホーテからの「判決に迷ったら慈悲の道を選べ」と言われたことを実施したため。
    そんなサンチョ・パンサは「おいらは一文無しでこの島(本当は村)に来たんだから、一文無しで出ていくよ」と言って、あれほど望んだ島の領主を返上してドン・キホーテの元に戻っていく。

    ❐後編でのドン・キホーテ
    侯爵夫妻の城から出てまた旅暮らしになったドン・キホーテとサンチョ・パンサだが、ドン・キホーテはどうも精彩に欠けるようになった。
     前編では旅籠を城と言い張っていたが、後編では「あの旅籠に泊まろう」と現実的な見方をしている。
     牛飼いたちに戦いを挑もうとするが、牛たちの下敷きになり慌てて逃げ出す。
     侠気のある強盗たちと知り合ったが、彼の前では精彩を欠いていた。
     恋のキューピットを務めたはずだったが、その後その男女は引き離されたとわかる。
     別の「引き離された男女」が出てくるのだが、ドン・キホーテはこの件には全く関与できなかった。
     キリスト教徒によるガレー船に乗ったら、トルコ人の海賊船の戦いが始まった。いつもなら張り切りそうなドン・キホーテだが全く関与できず。


    ※※※※以下ラストネタバレ※※※※


    ❐旅の終わり
    「銀月の騎士」と名乗る騎士から「自分との決闘に負けたら、故郷に帰って1年間大人しく暮らせ」という挑戦を受ける。そしてあっさり負けてしまった。すっかり自信も希望も失ってしまったドン・キホーテは失意に項垂れながら屋敷に帰っていく。
    帰ったときは仲の良い医師、床屋、そしてカラスコ学士相手に「みんなで牧人になって羊を飼って詩を作って暮らそう。みんなの牧人名も決めてあるよ」と言って、みんなに「まだ騎士妄想から抜け出ていないのか」と呆れさせる。読者としてはすっかり元気のなくなったドン・キホーテはちょっと寂しいのでこの懲りなさっぷり楽しくも思ったんだが、ドン・キホーテは熱病に倒れる。
    ドン・キホーテは遺言で騎士道物語をすべて否定する。そしてセルバンテスはドン・キホーテ物語を完全な終わりとしてこの後どんな贋作が出ようとも、それらをすべて否定する。

    すっかり正気に返ってすっかり死ぬ気になっているドン・キホーテにサンチョ・パンサが嘆き訴える。
    <「いいかね、おいらの大事な旦那様、この世で人間のしでかす一番でかい狂気沙汰は、別にたいした理由もなければ誰に殺されるってわけでもねえおのい、ただ悲しいとか侘しいとか言って死に急ぐことですよ。さあ、お前様、そんなにぐったりしてねえでベッドから起き上がり、前に話し合った通り、羊飼いの格好をして野原に出かけようじゃありませんか。そうすりゃあ、魔法を解かれた、それはそれは美しくて豪勢なドゥルシネーア姫が、どっかの草むらからひょっこり姿を表さねえとも限らねえよ。」P408>
    しかしすっかり正気に戻った元ドン・キホーテである善人郷士のアロンソ・キハーノは、そのまま死ぬのであった。
    ここで、「みんなアロンソ・キハーノの死を嘆いたが、遺言で財産をもらった嬉しさは隠さなかった」と記載するのがセルバンテスなんだろう 笑


    『ドン・キホーテ』前編では「なりきりコスプレで痛い目にもあったけど、やりたいことやったから本人は満足」だった。
    それが後編では、ドン・キホーテ自身が騎士道への思い込みが薄くなったり、他人が見せてくる幻に振り回されたり、ドン・キホーテが他人に与える影響が弱まってしまっている。
    セルバンテスとしては騎士道物語を否定したような終わり方なのだが、騎士になりきったドン・キホーテとサンチョ・パンサはとても好ましい人物だった。

    なお、ミュージカルの『ラ・マンチャの男』では、ここで終わるのは舞台としてよろしくないと思ったのか、ドゥルシネーア姫である宿屋の女中が訪ねてきて、アロンソ・キハーノは最後の最後でまたドン・キホーテに戻り「見果てぬ夢」を思い出しながら息絶え、人々はそんな彼の夢を受け継ぐ…みたいにして終わっています。

    • pinoko003さん

      淳水堂さんに解説していただくときっと読まないまま人生終えてしまうだろうなと思っていた古典作品でも俄然読みたくなってしまいます。ご紹介あり...

      淳水堂さんに解説していただくときっと読まないまま人生終えてしまうだろうなと思っていた古典作品でも俄然読みたくなってしまいます。ご紹介ありがとうございました。
      2023/08/27
    • 淳水堂さん
      pinoko003さん
      きゃあきゃあ(*´ェ`*)嬉しいです。

      今は、ドン・キホーテが夢中になった騎士道物語を読み始めましたので、そ...
      pinoko003さん
      きゃあきゃあ(*´ェ`*)嬉しいです。

      今は、ドン・キホーテが夢中になった騎士道物語を読み始めましたので、そのうち記載します。
      ドン・キホーテの前、または途中ででも、アーサー王物語などの騎士道物語読むと面白いかもしれません。
      「ドン・キホーテが言ってたのはこれか!」と思いますよ。
      2023/08/28
    • pinoko003さん
      実はアーサー王物語って元からファンでサー・トーマス・マロリーのとか学生時代から読んでました。キリスト教が西洋で普及する前のケルト文化にも興味...
      実はアーサー王物語って元からファンでサー・トーマス・マロリーのとか学生時代から読んでました。キリスト教が西洋で普及する前のケルト文化にも興味がありまして..。
      アーサー王伝説って色々あってそれだけ調べるのも面白いですからね。
      セルバンテスも当時からすると古典の騎士道物語を参考にしていたのですね。ますます興味がわいてきちゃいました。
      2023/08/28
  • 引き続き、公爵邸のドン・キホーテと、島(領地)のサンチョ・パンサの別行動が続きます。ドン・キホーテのほうは、娘をもてあそんだ男が娘と結婚するよう説得してほしいという老女の話を受けて(これはドッキリではなく実話)件の男と決闘することに。ドン・キホーテが勝てば結婚、負ければ無罪放免。しかしその男はとっくにトンズラしていたので、ここで公爵夫妻が介入、自分たちの従者をニセモノの決闘相手に仕立て上げ、ドン・キホーテと対決するよう画策。しかし適当に戦って負けるよう指示されていたこのニセモノが、件の娘さんに一目惚れ、不戦敗を宣言(笑)公爵夫妻と観客たちはガッカリするが、ドン・キホーテは無傷で勝利、娘さんもこのニセモノが気に入り一応丸く収まる。

    公爵夫人はサンチョの故郷の妻子のもとに手紙と贈り物を届けさせる。そのころサンチョ・パンサはなかなか頑張って島の統治を続けていたけれど、公爵たちにサンチョを困らせるよう指示されている侍医が健康のためと称して満足にご飯を食べさせてくれないのでいつもお腹が減っている。ついに耐え切れなくなったサンチョは領主の座を辞任、ドン・キホーテのもとに戻ることに。しかしあと少しで到着というところで穴に落下、助けを求めて叫ぶサンチョは、翌朝偶然通りがかったドン・キホーテに救出され、主従は再会する。

    主従は再び遍歴の旅に出立。途中の旅籠でドン・キホーテの続編(偽物)の話をする紳士たちに出会ってドン・キホーテがその嘘を暴く場面などはセルバンテス自身の気持ちを代弁した形。ここのみならず、後篇は全編通してこの贋作騒動の影響下で書かれており、セルバンテスは贋作者への意趣返し的な発言を登場人物に何度かさせている。そのおかげで余計にメタ構成になってて、それはそれで面白い。

    その旅籠を出立して林で一夜を明かすことになった主従、ここで突然ドン・キホーテは、ドゥルシネーア姫にかけられた魔法を解くためにサンチョのお尻を鞭打ち3300回しなくてはならないことを思い出し、寝ているサンチョのズボンを下ろそうと襲い掛かる(笑)しかしサンチョは反撃、なんとドン・キホーテよりサンチョのほうが強い(笑)ドン・キホーテは確かにサンチョの主だけど、サンチョいわく「自分の主は自分だけ」すごい、カッコイイ!!ドン・キホーテは泣く泣くサンチョの鞭打ちを諦めました。

    そうこうしていると、盗賊が現れて二人を囲んでしまう。しかし盗賊の首領ロケ(※実在の人物らしい)は、賊にしておくのは勿体ないような人格者、ドン・キホーテの伝記を読んでいたので二人を丁重にもてなし、数日行動をともにしたあと、バルセロナの友達を紹介してくれる。

    バルセロナに到着したドン・キホーテ主従を盗賊ロケの友人ドン・アントニオがもてなしてくれる。でもこの人物も公爵夫妻と同じくドン・キホーテの伝記を読んでおり、本物のドン・キホーテをからかって愚弄して楽しもうという魂胆。「質問に答えてくれる魔法の青銅の胸像」の仕掛けを作り、ドン・キホーテをからかって楽しんだりする。

    ある日主従は、ガレー船見物に乗り込ませてもらうが、偶然にもその船が海賊を捕縛。しかし捕らわれた首領である男装の美しいモーロ人女性フェリスが、こうなるに至った数奇な出来事を語る。ものすごく端折ると、引き離された美男子の恋人ドン・グレゴリオを救出してほしいという話になる。ドン・キホーテはもちろん自ら行きたがるが、これ仕込みではなくガチの話なので救出には他の人たちがむかい、ドン・キホーテは残留。

    そうこうしてるとドン・キホーテのもとに「銀月の騎士」と名乗る騎士が現れて戦いを挑んできた。さんざんドン・キホーテをからかってきたドン・アントニオにもそんな悪戯を仕掛けた心当たりがなく、でも面白そうだから二人を戦わせることに。銀月の騎士の要求は、もしドン・キホーテが負けたら故郷に戻り1年間謹慎すること。賢明な読者はここでピンと来ますよね、案の定、銀月の騎士の正体は、以前も同じ戦略を用いたサンソン・カラスコ。前回は敗北しましたが、なんと今回は見事カラスコが勝利、ドン・キホーテは敗北します。

    負けた以上、騎士に二言はない。失意のドン・キホーテは、サンチョを連れて故郷への道を戻ることに。しかしその帰路でまたしても公爵夫妻が二人に悪戯を仕掛けるため拉致、ドン・キホーテに恋しているふりをしていた侍女アルティシドーラが恋煩いの末死んだことにし、彼女を甦らせるためにはサンチョが使用人全員から、しっぺされ、つねられ、ピンで刺されなくてはならないとする。サンチョは渋々受け入れ酷い目にあい、アルティシドーラは生き返る。

    そうしてようやく故郷に帰り着いた主従。1年間羊飼いにでもなって楽しく暮らそうと話していたが、騎士として遍歴する生きがいを奪われたドン・キホーテは意気消沈するあまり熱病にかかり、死期を目前にして正気に返る。元気になってまた旅に出ようというサンチョの励ましもむなしく、ドン・キホーテはもとのアロンソ・キハーノに戻り、遺言を残して亡くなってしまったのだった。

    正直、後篇ほとんどドン・キホーテは活躍しなくて寂しかった。自身の妄想や思い込みよりも、他者の嘘に踊らされることのほうが多く、サンチョの活躍・見せ場のほうが印象に残った。ドッキリの類いが嫌いで、あれはイジリと称したイジメの典型だと思っているのだけれど、ゆえに公爵夫妻やドン・アントニオらがドン・キホーテに仕掛ける悪戯が個人的にはとても不愉快で笑えなかったのが辛い。基本ドタバタコメディだと思うし、真面目に受け止めなくていいのだろうけどさ。

    そんな中、終盤で「人を愚弄する者たちも、愚弄される者たちと同じく狂気にとらわれていると思う、現に、公爵夫妻は一対のばか者をからかい、もてあそぶのにあれほどまでの熱意を示しているのであってみれば、彼ら自身、ばか者と思われるところからほんの指幅二つと離れてはいないのだ(P352)」という記述には、なるほど、と溜飲が下がった。確かに、狂人をからかうことを娯楽とし、それに熱意と時間とお金をついやす公爵夫人の言動もまた狂気の沙汰。どちらが愚かかと言われれば、むしろドン・キホーテ主従より彼らのほうがレベルが低い。

    ラスト、読者としては、ドン・キホーテを思い込みでもいいから騎士として誇りを持って死なせてあげたかったと思ってしまうけれど、ここで現実をつきつけるのもセルバンテスの皮肉なのだろうなあ。

    • 淳水堂さん
      yamaitsuさん 読み終わりましたね!
      全6巻ですが案外スラスラ読めましたよね。
      yamaitsuさんも言う通り、後編はドン・キホー...
      yamaitsuさん 読み終わりましたね!
      全6巻ですが案外スラスラ読めましたよね。
      yamaitsuさんも言う通り、後編はドン・キホーテの妄想力は薄れているし、あまり役に立たないし、公爵夫妻やカラスコ博士や街の人に妄想をからかわれちゃうし、ドン・キホーテの力が弱まってしまった気がします。
      前編では「ドン・キホーテ以外の話ばかりじゃないか!」と思っていたのに、後編でドン・キホーテのことばかりだと「他の人の話も知りたい」と思ってしまうこの勝手さw

      話としては、セルバンテスによる前編のミスの言い訳とか、贋作への意趣返しとか色々詰まっていて面白かったんですけどね。
      2023/11/10
    • yamaitsuさん
      淳水堂さん、やっと読み終わりました~!(^^)!
      400年前に書かれて今も読み継がれている物語は、シンプルに面白いんですよね。6冊あっとい...
      淳水堂さん、やっと読み終わりました~!(^^)!
      400年前に書かれて今も読み継がれている物語は、シンプルに面白いんですよね。6冊あっという間でした。

      ただ、読む前に自分が想像してたドン・キホーテは、水車に斬りかかるエピソードに代表されるような、妄想で破天荒なことはするけど誰も傷つけず、最後まで楽しく冒険をするイメージだったので、いろんな意味で想像していたのとは違う物語ではありました(^_^;)もちろんこれはこれで面白かったのですが、意外と皮肉だったり人生の哀感があったり、なんというか、大人むけでしたね。

      サンソン・カラスコは、最初は余計なことしてウザいやつだなと思ってたんですけど、公爵夫妻のようにドン・キホーテを騙して愚弄する人たちよりはよっぽどまともなような気も一瞬したのですが…でもドン・キホーテを正気に戻すのは、やっぱり余計なお世話ですし、誰も幸せになりませんでしたね…。

      淳水堂さんの感想に書かれてた「ラ・マンチャの男」のラスト、いいですね!ドン・キホーテには自分を騎士だと信じたまま死なせてあげたかった…。
      2023/11/11
  • ラストになると、もう読者は間違いなくドン・キホーテとサンチョのことが好きになっているはずです。彼は確かに狂気を抱いていますが、誠実で、利他的で、知的で、ユーモラスで、魅力に溢れています。そのキャラの魅力と、メタ視点の構造が合間って、とんでもない傑作です。タイトルを知っているだけで人生終わらなくて本当に良かったです。

  • 全六巻に及ぶ冒険譚も遂に完結。ドン・キホーテはもはや旅籠を城と見間違えず、豚の群れを合戦場と勘違いすることもない。サンチョだって知己に富んだ発言が所々で顔を出す。もはや狂気に囚われているのは彼らを愚弄する側であり、それを期待する読者の方なのだ。故郷に帰ることで遂に魔法から解放され、自らの名前を取り戻すラストは感動的ですらある。著者の目論見通り騎士道物語は時代遅れのものとなり、中世は葬られ近代が始まる。小説は決して虚構なだけでなく、現実を更新するものなのだ。笑って泣けて批評精神に満ち溢れた、永遠の大傑作。

  • 狂気にあれば正気に戻れ、と言われ、正気に戻れば戻ったでそれはそれで狂気だ、と言われ。

    最後は思わず泣いてしまった。
    ドン・キホーテだけではこうはならなくって、サンチョがいたからこそ面白さが増しているんだと思った。

    おかげで「諺」の多さを知ることもできた。

    この本は結局「当時の騎士道文学へのアンチテーゼ」ってことなのか、なんかそれ以上のことも(テクニック的な)含まれているような。
    本の中で自分の本が出版されていたり、セルバンテスが更に前の原作者を作って登場させていたり。

    とにかく面白かった。
    何度も読める本

  • サンチョは夢であった島の領主を投げ出し、ドン・キホーテも一騎打ちに敗れて羊飼いになる決心をするが、正気に戻って死んでしまう。
    偽作 ドン・キホーテ続編でドン・キホーテを精神病院に送り込んだ人物まで出てくるし、最後にはドン・キホーテ自身が物語の登場人物だということを自覚している。ニョルニールのように村に戻ってくるドン・キホーテはあるいは神話をなぞっているのかもしれない。SFとファンタジーの元祖なんだな。

  • 関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB00113492

  • 訳者による解説は必読。この物語の卓越性が余すところなく触れられている。
    物語という形式の万能さを本作品は示している。

    最後の終わり方も見事。物語が物語で終止符を打つなんて華麗すぎる。

  • 狂気が薄れていく主人公と、
    狂気を帯びていく登場人物たち。

    読む前は長すぎると思ってたけど、
    読み終えると全部必要な物語だったと思える。
    折に触れて読み返したい。


    p305
    人を愚弄する者たちも愚弄される者たちと同じく狂気にとらわれていると思う

    p407
    「ああ、旦那様!」と、サンチョが泣きながら叫んだ。「どうか死なねぇでくださいよ。それより、おいらのいうことを聞いて長生きしておくんなさい。

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18412

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA5005294X

全27件中 1 - 10件を表示

M.deセルバンテスの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×