スペイン民話集 (岩波文庫)

制作 : A.M. エスピノーサ  三原 幸久  三原 幸久 
  • 岩波書店 (1989年12月18日発売)
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  • レビュー :7
  • Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003272916

作品紹介

スペインの民話は、説話ずきのイスラムの伝承と、新教国がとうに捨て去ってしまった中世の奇跡にまつわる伝承とをよく保存している。デカメロン風の神父と農婦の姦通話、芥川の「蜘蛛の糸」の原話「聖女カタリーナ」等、特徴ある民話82篇を精選。エスピノーサ(1880‐1958)はスペイン系アメリカの言語・口承文芸の研究者。

スペイン民話集 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • エスピノーサというスペイン系アメリカ人の言語口承文芸の研究者…初めて知りました。
    覚えておきたいものです。

    =○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○

    (以下覚書き)
    ○スペイン民話では愚か者はファンという名前が多かった。ロシアでのイワンのような使われ方だろうか?
    ○「嘘つきの少女」
    最後に彼女は、子供達は置いたまま、マリア様に連れられて天国に行ってしまったのか…??(読取り不足)
    ○「食べ物にかける塩のように」
    イギリスの「イグサかさ(Cap O’ Rushes)」の方が個人的には好きだったりする…。スペインの民話には類話として「気楽に大便ができるほど好き」なんてあるらしい…びっくり
    ○「悪魔の名前」
    トム・ティット・トット、ルンペルシュティルツヒェン、大工と鬼六…名無しなんて場合もあるのね
    ○「目やにをたらした醜い愚か者」
    グリムの「キャベツろば」。でも、「トンボソのおひめさま(フランス系カナダ人のおはなし)」の、お姫さまにとって少しビターな終わり方の方が好き…かな…
    ○「熊のファニート」
    切り取った悪魔の耳を噛むと、泣く泣くやって来てくれる悪魔。
    地底国からお姫様を助け出す→上に居る仲間の裏切り(時々裏切らない場合も)→苦労の末地上に出て王女と結婚…タイプの民話は多いけど面白い。どこの国の民話に於いても、地底の国に行く話は本当に多い気がする。
    ○「行くと帰れない城」
    これは本当によくある民話のタイプ。水による生命指標、殺した怪物の舌による退治者の確認、貞節の証として置かれる剣、お姫様を救い→森の魔女に囚われ→兄弟が助けるという展開…。
    でも、弟に脅された森の老婆(魔女)が、捕らえた兄を非常にすんなり返し、その後兄に胸を刺された弟(さっきまで老婆を殺そうとしていた)を看病しており、かつ魔法で完治させてくれるという…、そんな老婆が好きでした。

    =○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○=○

    ◎なんだかんだ、自分は児童書の、石井桃子さんの翻訳された物語としての民話が好きだったようです。でも、「行くと帰れない城」なんかは、魔女が割と面白くて良くて、結構好きでした。
    翻訳者の三原幸久さんがあとがきに書かれていますが、スペイン民話の特徴としては
    ①宗教譚の多さ(カトリック的色彩の強かったスペイン)
    ②狡猾者譚の多さ(悪者話というくくりがある位)
    …の二点は、自分も思いました。

    また、何となくの感覚ですが、今のところ…
    ロシアの民話と比べると、ロシアの民話の方が土の味がすると言いますか、大地をすごく感じさせられる気がします…。
    イタリアの民話と比べると、イタリアとスペイン共に中々突拍子もない展開をしますが、イタリアの民話の方が、どことなく明るくて、あと水が出てくる民話が多い気がします。
    ドイツ民話は深い森に覆われている暗さが、北欧の民話は太陽が隠れている空の暗さ静けさが感じられ、ドイツ民話やイギリス民話や北欧民話と比較すると、何となくスペイン民話の方が明るさを感じます…。
    そうなると、スペイン民話はやはり、宗教(カトリック)的教訓と、狡猾者譚の多さが、特徴かと思いました。

  • 初っ端の「メボウキの株」がパンチありすぎてすごく印象に残った。民話ってちょっと意味不明なところがあるくらいのがおもしろい。
    『蜘蛛の糸』の元になった話が外国の民話だったとは知らなかった。今昔物語とかもそうだけど、芥川ってアレンジするのが上手いんだなぁ。同じ題材でも書き方ひとつでだいぶ面白さが増す感じ。
    動物の出てくる民話やおとぎ話が好きなんだけど、狼がいつも痛い目にあっていてちょっとかわいそう。昔の人はそうとう狼に困らされていて、せめて作り話の中だけでも仕返しがしたかったのかな。
    他人事に首を突っ込むような行き過ぎた好奇心を戒める話や、「見ざる言わざる聞かざる」のような話(猿ではなく鶏だけど)もあって、処世術ってわりとどこでも似たようなものなのかな、と思った。

  • 謎話、笑い話、教訓話、メルヘン、悪人話、動物昔話、だんだん話、のカテゴリに分けてあるんですが、笑い話がほぼ笑えないことに驚愕しました(苦笑)結構残酷なオチが多いんですよね、まあ民話全般にそういう傾向はありますが。

    カテゴリは謎話ですが、1話目がいきなり、キスされた仕返しに紳士のお尻の穴に大きな蕪を突っ込む娘の話で、しかも二人はそれで結婚するというのだから、どこに教訓があるのやら、いったいなんのアレゴリーなのやら、てんでわからないんだけど、なんというか、パンチがあります(笑)

    いちばんインパクトがあったのは「死体のはらわた」という話。メルヘンに分類されていましたが、タイトルそのまま完全にホラー(怖)

    しかしそういうところも含めてとても面白く読めました。他の地方の民話との比較註もあって親切だし、芥川の蜘蛛の糸の元ネタといわれている民話も収録されていたり、他のいろんな童話や小説、戯曲に影響を与えたんだろうなと思われる寓話もたくさんあって興味深かったです。

  • 聖母マリアやらイエス・キリストの登場頻度がかなり高い。そんな気楽にぽんぽん出てきちゃっていいのか。教義的な扱いと一般的な感覚とが一致するわけではないんだなあ。狼がすごく不憫な役回りのことが多い。

  • 荒削りで支離滅裂。
    土の匂いのする民話集。とにかく面白い。

  • 岩波文庫の民話集は割とよく読んでいて、カルヴィーノの『イタリア民話集』、アファナーシェフの『ロシア民話集』は非常によく印象に残っています。どうも新刊で買ったらしい『スペイン民話集』、未読だったのでドイツに持ってまいりました。★編者のエスピノーサはスペイン系アメリカ人で言語、民俗学者。学術的な方法論に乗っ取って民話を収集しているので、グリム弟のような改ざんは全くなし。★訳出された八十二話は、「謎話」、「笑い話」、「教訓話」、「メルヒェン」、「悪者話」、「だんだん話」、「動物寓話」の七つのカテゴリーに分類されている。ピカロ(悪者)小説の伝統のあるスペインらしく「悪者話」が一つのジャンルになっているのが、興味深い。「メルヒェン」、「動物寓話」あたりはヨーロッパに共通しているから驚きも少ない。★驚いたことに、ボッカチオの『デカメロン』によくあるような神父と農夫の姦通の話がやたら多い。最初の数話そんな話ばっかりで、この国は一体どうなっているんだ、と頭抱えました。★一番印象に残っている話のあらすじだけ紹介します。★「死体のはらわた」 墓場の近くに貧乏夫婦が住んでいたが、ある日食べるものがないので、女房は墓を掘り起こして死体から内蔵を取り出し、料理して夫と食べてしまった。その夜、内蔵を失った死体が墓から出てきて、夫婦の家から女房を墓場へ連れて帰り、女房を殺して、はらわたを抜き出して殻になった自分の腹に詰め込んだ。★これはグロかった…

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