ティラン・ロ・ブラン 1 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003273814

作品紹介・あらすじ

ドン・キホーテが読みふけり、正気を失う原因となった「世界一」の騎士道小説。騎士ティラン・ロ・ブランの地中海を巡る冒険と、絶世の美姫との愛の日々が、絢爛豪華な宮廷生活を背景に活写される。バルガス=リョサによる日本語版への序文を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 『ドン・キホーテ』を読んだので
    https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4003272110#comment
    作中で善人郷士アロンソキ・ハーノが読み耽っていたという『ティラン・ロ・ブラン』も読んでみた。
    日本語版の序文にはバルガス=リョサが寄稿しているではないか!(^O^)

    ご紹介のyamaitsuさんありがとうございます。

    本書は、筆者マルトゥレイが「イングランドの騎士ティラン・ロ・ブランについての書物を手に入れたので英語からポルトガル語に翻訳してポルトガル皇太子に献上します」という体裁の小説。マルトゥレイは、武人の武功や勇気、慎重さや努力、名誉を重んじる心、主君への忠義などといった利点を書き残すことにより、人々が彼らのようになって、それが国を守ることにも繋がる、としてこの本を献上したということだ。

    ❐イングランド島のウォーウィック伯ウィリアムの物語
    物語はティランの前世代の騎士から始まる。
    ウォーウィック伯ウィリアムという騎士がいた。多くの戦争で勝ちを収め、騎士として尊敬を集めていた。しかし55歳になり、今までの戦いの贖罪のために巡礼と隠遁生活に入る。
    何年か経ち、イングランドはモーロ人(この物語ではイスラム教徒をみんなまとめてモーロ人と呼んでいる)に攻め込まれた。
    運命なのか神のお導きなのか、隠遁していたウォーウィック伯ウィリアムは、身元を隠してイングランド王のもとで戦の全面に出て、その大活躍によりモーロ兵を皆殺しにしてキリスト教徒の土地から追い払った。
    ウォーウィック伯ウィリアムは、イングランド王をはじめとする人々の引き止めを振り切り、改めて隠遁生活に戻る。

    ❐騎士道ってどんなもの P129からP147あたり
    隠遁していたウォーウィック伯ウィリアムのところに来たのが、イングランド王の元で騎士に序列してもらうために馳せ参じたブルターニュ名家出身のティラン・ロ・ブラン青年だった。
    隠遁者ウィリアムはティラン青年に「騎士道のすべてが書かれている本」を示して騎士道について説く。
    この部分を読むと、騎士道の基本がわかる。
    ・ローマ最初の王ロムルスの時代。
     世の中から善い心がなくなると、偽りが蔓延るようになり、世の中が混乱する。そこで人々が神を敬い、正義が権威を持つようになるために正しい人を選ぶことになった。多くの人々から選ばれた人々に、この世で最も高貴な獣である馬が授けられた。「騎士Cavaller」という言葉は、「馬Cavall」がを与えられたものということらしい。ふーーん。
    ・騎士たちは、ローマの名誉と高貴さを示すために人々の上に立ちローマを守ることになった。
    ・騎士に最も必要なものは忠誠と正義。騎士には強さ掛けでなくて慈悲や徳もなければいけない。(しかし、この後の展開を読むと強いことが正義のような気もするんだが^^;)
    ・騎士が持つべき武器や、戦い方もこと細かく決められている。
    ・騎士道に背いたものは資格を剥奪される。このときの剥奪の儀式が読んでいるだけで恥ずかしいし痛い -_-;
    ・優れた騎士として、旧約聖書の人物(ヨシュアとか、アリマタヤのヨセフとか)、王たち、ギリシャやトロイの人物、アーサー王の騎士たちが挙げられる。(『アーサー王の死』はこちら。しかしここに出てくる騎士たちは不倫だのなんか卑怯な手だのを使っているんだが^^;
    https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4480020756#comment

    ❐騎士の大会のこと
    イングランド王は、フランス王女との結婚の祝宴として一年間の武道大会のようなものを主催する。勝敗は「降参するか、死ぬか」でつくんだが、うっかり降伏すると「名誉を汚した」と、前章で書いたような「騎士の権利剥奪式」が行われてしまう(-_-;)
    「騎士とは強さも大事だが名誉や忠誠心や正義が大事だ!」とは言いつつ、名誉を守るためには相手を殺すか降参させなければいけない。結局強いが正義の世界(-_-;)
    そんな命掛けの戦いを1年間行ったために死者もかなりの数に。それでも大会参加希望者は次々に増える。

    ❐ティランくん、イングランドで大活躍!
    この武芸大会ではティラン戦いまくり怪我しまくり、そして勝ちまくり、いや、やり過ぎだろうってくらいに勝ちまくり(笑^□^)
    強さの理由としては、武器の扱いがとってもうまいのと、持久力があって長時間戦っても全く息が切れないということが書かれているんだけど…いまさら言われたって ^^;
    とにかく全てに勝ちまくったティランは、この大会における「最高の騎士」として表彰をされたのでしたとさ。

    ❐女性のガーターを旗印とする騎士団 ^^;
    イングランド王は、女性のガーターを象徴とした「ガーター騎士兄弟団」を設立する。筆頭に選ばれたのはティラン君。
    …それって名誉なの^^;
    以前読んだ本で「武士は見掛けの美しさを気にするが、騎士はアンバランスさを気にしない。騎士は鎧甲に女性からの贈り物を飾ることにより変な見た目になってもそれを格好いいとしている」と書いてあったんだが、当時の騎士の美意識って現在からはちょっと珍妙なのよね。(否定しているわけではありません。それを当然として語られる古典を読むことが楽しく、感じられるものもあります)

    ❐ロードス島での戦(1312年にテンプル騎士団が解散させられ、新たにエルサレムの聖ヨハネ騎士団が結成された。聖ヨハネ騎士団はロードス島を本拠地としたため、ロードス島騎士団とも呼ばれる)
    ロードス島を陸からはカイロからモーロ人が、海からはキリスト教徒であるジェノバ人たちが大軍勢を差し向けた。ティランは、船と武器を設えてロードス島騎士団がの援軍に向かう。
    …まあ結果は、ティランの大活躍により、ジェノバ艦隊を撃沈し、モーロ人軍を打ち破り皆殺しに。

    ❐ティランくん、それは詐欺仲人では
    ロードス島への援軍船に、フランス王子のファリップが同行した。途中でシチリアに下船して歓迎を受ける。ファリップ王子とシチリアの王女はお互いに淡い恋心を持ち、そこでティランはシチリアの王女とファリップを結婚させようとする。しかしこのファリップ王子、フランス王の五男であり「頭が弱くて下品」として王族の中でも軽い扱いだったようだ。そしてシチリア王女との会話も冴えないし王女としても「なんか愚鈍で悋気な人ね」と感じた。読者からしたら「この男は辞めとけ」と思ってしまう(-_-;)
    しかしなんとしても二人を結婚させたいティランは、ファリップ王子がしでかすたびにフォローする。王女は「せっかくファリップ王子の本性を確かめようにも、ティランが毎回邪魔をする!」とご立腹。
    まあ色々ありまして、結局ファリップ王子とシチリア王女は結婚し、とても満足したようだけどさ、読者からしたら騎士の条件に「誠実」ってあったよね?ご主君のためなら口から出任せも騎士の条件なのか?とか、王女が「ファリップ応じのことは好きだけど、人柄を見極めてから結婚したい」と動こうとしているのにティランが全部邪魔してるし、だいたいこのファリップ王子は気は利かないし下品だし気が小さいし空気読めないし会話も下手だしで大丈夫なのか(人相見によると「ずっとお腕あり続けます」という顔相らしいから、平穏に暮らせるんだろうけど)。
    さらに、なぜかこの結婚騒動の裏で「シチリア王は、実は母の皇太后がパン焼き職人と浮気して生まれた子供」だということがひっそりと明かされて…、これはなんのためのエピソードだ(ーー?)

    なお、この場面を読んで連想したのは「長靴を履いた猫」。この猫ちゃんもご主人の貧しい若者ために舌先三寸でお姫様のお婿さんにしちゃったもんね。実に有能な騎士であったわけだ。

    ❐女性のこと
    騎士の使命に「窮地に陥った女性は助けましょう」がある。一度土地が敵に攻め込まれたら女性は大変な目に遭うし、不義と決めつけられたら火刑に処される。そんな女性だからこそ自分のために命を掛ける騎士が必須となる。しかしここで下手に出るのではなくて、強気に出たり気を持たせたり貢がせたり相手に「私を下僕にさせていただけるのですか!?」と言わせるくらいに強気に出ねばならん。
    本書での男女遣り取りは、平和な現代からすると結構笑えてしまうところも^^;

    ❐ティランくんのお友達
    ディアフェブス⇒ティランの従弟でティランと一緒にイングランド王に騎士に任命された仲間。
    リカール・ロ・バントゥロス⇒ロードス島の戦いに参加した騎士。最初はティランと決闘騒ぎになるが、その後意気投合して生涯の友人になった、ということ。

    ❐騎士って…
    名誉を重んじて、規則を破ったら剥奪式。日々命掛けの決闘を楽しみ、争いになったら勝ったほうが正しいと認められる。
    騎士とか騎士道って聞くともっとスマートなイメージだったんだが、とにかくものすごく好戦的で話が通じない人たちのような気がしてきた^^;
    日本の古典でも武士たちが日常的に命掛けの戦いを楽しく行っているんだが、命を簡単に捨てる、現物よりも思想や理論が大切だった時代の感覚を感じましたよ。
    このように「その時代に書かれた書物」って、その時代の「当たり前」をそのまま感じられるのが良いですよね。

    • yamaitsuさん
      淳水堂さん、こんにちは!

      「当時の騎士の美意識って現在からはちょっと珍妙」まさにそれ!(笑)「アーサー王」でもさんざん爆笑しましたが、...
      淳水堂さん、こんにちは!

      「当時の騎士の美意識って現在からはちょっと珍妙」まさにそれ!(笑)「アーサー王」でもさんざん爆笑しましたが、ティランくんもなかなかですよね。
      2023/09/07
    • pinoko003さん
      またまた面白い本見つけてくれちゃいましたね。読みたくなりました~。
      またまた面白い本見つけてくれちゃいましたね。読みたくなりました~。
      2023/09/20
    • 淳水堂さん
      pinoko003さん
      こちらのレビューも目にとまって嬉しいです。
      pinoko003さんはアーサー王伝説はお好きなんですよね。『ティラ...
      pinoko003さん
      こちらのレビューも目にとまって嬉しいです。
      pinoko003さんはアーサー王伝説はお好きなんですよね。『ティラン』には、ほとんど魔術や怪物は出てきません。
      『ティラン』では、騎士道とはどんなものかを解説していたり、4巻後書きでは騎士道物語と騎士道本のジャンル分け解説もあり、基本を知ることが出来ました。
      しかし4巻まで読むと、「騎士道」ってわりととんでもないなあと…^^;

      『ティラン』は長いのですが、わりとスラスラ読めました。読書計画に入れてみてくださいませ。
      2023/09/20
  • ドン・キホーテも愛読したという15世紀の騎士道物語。『ドン・キホーテ』は未読だけれど(長大すぎて)騎士ものが好きなのでとりあえずこちらから読むことに。日本版にはバルガス=リョサの序文つき。

    ティラン・ロ・ブランは主人公の騎士の名前ですが、明智小五郎ばりになかなか登場しません。なぜか、後にちょっとティランと関わるだけの、元騎士のウォーウィック伯が隠者になる逸話からスタート。とんだ焦らしプレイのあと、やっとこの隠者になった御隠居元騎士のところへ、馬に乗ったまま居眠りしながらティランが登場。

    この時点でのティラン君は騎士になるために田舎(?)から出てきた純朴な青年風で、どうしたら騎士になれるのかとか、騎士の由来とは、とか隠者からアドバイスを貰い、意気揚々と去る。1年後、立派な騎士になり仲間を引き連れて隠者のところへ報告にやってきたティラン君は、遠慮して自分の手柄を語りたがらず、その友人が隠者に、彼のイングランドでの数々の武勲を語って聞かせるのが1巻の大半の内容。終盤でちょっとロードス島に出張したり。

    登場の仕方はかなり世間知らずでヘタレな若造ぽかったティラン君が何故か戦えば負け知らず、性格は誰に教わらずとも清廉潔白で騎士としての振る舞いもすっかり心得ている無敵っぷり、あっという間に百戦錬磨の勇敢な英雄みたいになっちゃうのは若干違和感あり。成長の過程をすっとばして最初から完璧なのであまり応援(共感)する気持ちは起きない。

    あと違和感あるのはやっぱりとってつけたようなキリスト教的な部分かなあ。アーサー王関連の本読んでた頃にも思ったけど、主君への忠誠を絶対とし、貴婦人を敬い、何より名誉を重んじる「騎士道」の精神って、宗教とはとても相性悪いというか絶対矛盾すると思うのだけど。モーロ人(イスラム教徒)との戦争についてはまだしも、無駄に騎士同志で闘っては殺し合いをすることがキリスト教の教義に添っているとはとても思えず。

    まあそれはさておき、決闘ひとつにも複雑な段取りや手順があり、そういう当時の風習や慣習を事細かに書いてあるのが本書の面白いところ。そして王様たちは、いきなり隠者に王位譲ったり、王族なのにお忍びで騎士の戦いに参加して負けてあっけなく死んじゃったりと、わりと自由だったり、騎士たちがフェミニストなせいか、女性が場合によっては結構上から目線なのも面白い。その他、時代や風習の違いかもしれないけど、なぜか笑えた部分を以下にピックアップ。

    ・イングランド王の岩城、すごい豪華なのはわかるけど、お腹のたるんだ女性の像の乳首から水、別の女性の像の陰部から白ワインが出るって、それってオシャレなの?美味しいの?(笑)

    ・騎士たちはやたらと貴婦人の下僕になりたがるのですがドMなのでしょうか。おそらく下僕のように尽くす=恋人になりたいというニュアンスだとわかってはいるんですが、しきりに下僕にしてくれと頼む騎士の姿って(笑)

    ・さる美しい女性のブローチを争ってティラン君と決闘して負けた騎士、彼の死を嘆く女性の言いぐさを意訳すると「私に7年も言い寄ってたけど、残念ながらあなたがどんなに頑張っても私のほうが身分も高くてお金持ち、しょせんあなたには私は高値の花で報われる見込みもないのに、こんなことで命を落としてお気の毒様」的な内容で、自分のために死んだ男をさりげなくディスってくる(笑)

    ・凶暴な犬(マスティフ犬)に襲われたティラン君、騎士たるものが動物相手に剣で闘うのは卑怯ではないか、対等の条件で勝ってみせるぜと素手で取っ組み合い(※犬と)掴み合い、噛みつきあい、ついに犬に勝利!確かに公平かもしれないけど、人間が犬に噛みつくってどうよ?(苦笑)

    ・ガーター騎士団の由来については諸説あるようですが、本書ではイングランド王が取るに足らない侍女の落としたガーター(靴下留め)を嬉しげに何か月も身に着けているので、王妃はムカつき、その他の女性や騎士たちは軽蔑、悪い噂になっていたのを耳に入れた王が「邪心を抱く者に災いあれ」と逆ギレ、やけくそで騎士団作ってそれを紋章にしたということになってます。なんなの、王様変態なの?ガーターフェチなの?

    • yamaitsuさん
      淳水堂さん、こんにちは!(^^)!

      おお、ティラン全4巻に着手されたのですね!(私も「ドン・キホーテ」をそろそろ読まねば!)

      ア...
      淳水堂さん、こんにちは!(^^)!

      おお、ティラン全4巻に着手されたのですね!(私も「ドン・キホーテ」をそろそろ読まねば!)

      アーサー王もそうでしたけど、騎士道ものって大真面目に書かれてるのにちょいちょい笑えますよね(笑)でも当時の風習や騎士道の独特のルールなんか知れるのは面白い。

      殺し合いばっかり…確かに、少年ジャンプの主人公よりもいっぱい戦っていっぱい殺してるかも(^_^;) 無敵のティランくん、1巻は天下一武道会で大活躍ってとこでしょうか。後半は恋愛ネタもどんどん増えてそれもまた笑えるのでお楽しみに!(笑)
      2023/09/07
    • 淳水堂さん
      yamaitsuさんこんにちは

      『源氏物語』を英訳したものを再度日本語訳した本を読み始めたんですよ。
      https://intojapanw...
      yamaitsuさんこんにちは

      『源氏物語』を英訳したものを再度日本語訳した本を読み始めたんですよ。
      https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/24700/
      するとなんか平安貴族と中世ヨーロッパ騎士の恋愛の相違がみえたような気がしました。

      源氏物語英訳では、欧米読者にわかりやすいように風習や言語をアレンジしているんですよ。

       ゲンジはパレス(宮中)から馬車(牛車)でレディたちのもとに通い、プリンス(貴公子)たちはリュート(琵琶)やシターン(和琴)やフルート(横笛)でフェスティバルを行い、ワインカップ(酒杯)で祝杯を上げ、ゴッドレスマンス(神無月)に紅葉フェスティバル(紅葉賀)を楽しみ…

      なんかティランや皇女たちの宮廷物語のようではありませんか!

      そして『源氏物語』で空蝉が、寝室に忍び込んできた光源氏から「小袿を脱いで逃げた」のところ。これってティランくんが欲しがった「想い姫の脱ぎたての肌着」じゃないですか!!笑
      空蝉は「汗臭くないかしら恥ずかしい」と思い、光源氏はこっそり手にとって思いに耽ります。しかし中世騎士は自分の鎧の上にその肌着を着て「秘密の恋人からもらったんだ☆」と見せつけます。ここが西洋と日本の違いか???

      そして中世物語出でてくる即興詩、ソネットを読んで「よくこんなの即興でできるなあ」と感心していたのですが、平安人も和歌をやり取りがまさにそれですよね。

      戦ってばっかりの中世欧州騎士と、歌を詠み恋して泣いての平安貴族の根本に同じものがあったとはなんか凄いなと思いました。
      2023/12/30
    • yamaitsuさん
      淳水堂さん、こんばんは(^^♪
      今年もよろしくお願いいたします~!

      『源氏物語』の逆輸入本(?)があるんですね!感想拝見しましたがす...
      淳水堂さん、こんばんは(^^♪
      今年もよろしくお願いいたします~!

      『源氏物語』の逆輸入本(?)があるんですね!感想拝見しましたがすごく面白そう!私も大河ドラマあわせで読もうと思って図書館で何種類か予約してますがとりあえず順番待ちです(^_^;)

      平安貴族と中世ヨーロッパ騎士の共通点と相違、その比較すごく面白い!!なんかやっぱお国が違えどいろいろ共通項もあれば、国民性の違いもそれぞれ個性的で興味深いですよねー

      私も機会があれば比べてみたいです。
      2024/01/01
  • この長い物語は、ウォーウィック伯ウィリアムという歴代の騎士が晩年聖墳墓巡礼して死んだことにして、神に仕える隠者として帰国する場面から始まる。

    そして、ずっと疑問だった。なぜ、こんなシーンが必要だったのだろうかと。実際、隠者として帰国した彼は、国を救う活躍をしたのち、もう一度、隠者の生活に戻ってゆく。
    きっと、騎士であり続けることは、この時代、戦い続けることを意味したのかもしれない。一流であればあるほど、数多くの決闘や戦によって殺した命との引き換えの結果だった。だから、贖罪?―命を全うするには、騎士を辞めて神に仕えるしかなかったのかもしれないと。

    「名誉を守るとは難儀なものですねぇ。一難去ってまた一難とはこのことです」と、暴れる犬と戦って傷を負ったティランは、声をかけられた。騎士道の精神は、そしてその生き方は、騎士同士だけでなく犬との戦いにも理屈があることを指摘している。若いうちは健全で拠って立つべき騎士は、世間からは少し異様な世界かもしれない、と。

    隠匿者・ウォーウィック伯に語る形で、ティラン・ロ・ブランの勇姿が映し出される。そして現在に続くガーター騎士団に選ばれるなかで騎士道を語る。騎士としてのバイブルとして、ドン・キホーテが愛読する理由がここにあるのかもしれない。

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