ヘッダ・ガーブレル (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1996年6月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784003275054

みんなの感想まとめ

人間の欲望や嫉妬が引き起こす悲劇的な物語が描かれています。主人公のヘッダ・ガーブレルは、学者の夫と結婚したものの、退屈な日常に不満を抱え、他者の成功に嫉妬心を燃やします。彼女の高いプライドと無気力さが...

感想・レビュー・書評

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  • 『ヘッダ・ガーブレル』は、ノルウェー出身のイプセンによる1890年に出版、翌年初演された戯曲。『野鴨』同様に悲劇でしたが、こちらはタイトル女性のイカれっぷりに驚きました。

    ガーブレル将軍の娘ヘッダは、学者のイェルゲン・テスマンと結婚。半年に渡る新婚旅行から帰ってきましたが、何故か気鬱な様子。

    夫は、お世辞にも社交的ではなく、学者肌で研究熱心なのに対し、ヘッダは容姿端麗ですが、特に何か取り柄や興味もありません。相反する二人が半年も旅行すれば、ヘッダとしては退屈で不満たらたらです。

    そんな折、イェルゲンのライバルであるエイレルト・レェーヴボルクが本を出したとの噂。彼は、研究熱心でありながら社交的でモテるタイプ。その彼を追って、ヘッダの学友だったエルヴステート夫人が訪ねてきます。どうやら、エイレルトの本には、その夫人の助力もあったとのこと。それを知ったヘッダは嫉妬心に駆り立てられ……。

    ヘッダのように、何か趣味や興味があるわけでもなく、プライドが高くて他者が何かに成功すると、自分を棚に上げて嫉妬心の塊のごとく他者を貶めようとする人って、程度の差こそあれ意外といるかもしれないですね。普通は行動に移さないですけど。

    こう書くと悪女に違いないですが、結末を知るに至り、悪女というより気狂いと言った方が的を射ていると思う。後先を考えない短絡的な行動と言いますか……リアルでは、こんなキティちゃんとはお近づきになりたくないですね。

    本作は、『人形の家』や『野鴨』同様に、舞台を見てみたいと思わせる内容でした。特に本扉をめくったところに、ヘッダ役の女優の写真が載っていますが、ピストルを構えて庭に向かってぶっ放している様子がわかって良かったです。それにしても、イプセンの他の作品を読もうとしても、本作を含めていろいろ絶版なのが残念ですね。

  • 一見、歯に衣着せずものを云い、他人にどう思われようと自分の好きな道を選ぶ女に見えるヘッダだが、その実、飽くなき戦いを続けてでも生きる強かさはなく、あっさりと「降りて」しまう。他に選択肢がないというほど絶望的な状況とも思えない。では何故か。
    母親になりたくない、いつまでも子どもでいたい、というのが、最も大きな要因のような気がする。
    周囲に、彼女に翻弄されるか、或いはあわよくば彼女を利用しようとする者ばかりで、誰一人骨のある男がいないというのもひとつの悲劇なのだが。狭い世界に囚われの身のヘッダは自己実現ができず、自分の影響力を男に及ぼすという歪んだやり方でしか承認欲求が満たされない。
    とはいえ、「あたしはね、あんたなんかに服従するくらいなら死んだ方がましよ」と後先考えずに決意をするヘッダは、やはり子どものようなえもいわれぬ魅力があるのであった。

  • イプセン3作目。時代なんかは考えずに読んでいるので当然かもしれないが、どれも悲劇でかつテーマが違う。少ない登場人物が織りなす人間模様であり、幸福を求める人間が他を押しのけるがゆえに自壊していく様を鋭く描く。
     長くなるからあらすじは書かないが、実に挑戦的な役柄の主人公がヘッダ・ガーブレル。表紙裏の説明に、「1881年の初演以来、女優たちの意欲をそそる役柄の一つとなった」とあるが、それもうなずける。美貌だけが取り柄の主人公である。自分では喜びの一つも作り出すことができないゆえに、他人の情事やスキャンダルに首を突っ込み、時に同情する様子を見せ、時に攻撃的な口調でまくし立てながら、そのしがらみをややこしくする。
     破滅的な勇気を称揚し、偽りの同情に興奮する暗い喜びを抱えながら、最終的には過ちの責めが自分に降りかかり、嘆きながらこめかみを銃で撃ち抜いて絶命する。

     このような一回性の悲惨を追従し味わうことが芸術としての悲劇なのだろう。古代ギリシャから人々は人間の取り戻せない業を舞台と脚本に押し込めて、娯楽としてきた。それは偽りのものがたり、自分とかかわりのないもののようでありながら、自らの心に潜む闇を垣間見るような快感を呼び起こすのであろう。芸能人やセレブのスキャンダルを囃し立てる、我々の心理も間違いなくそれだろう。

    14/5/31

  • 面白かった。舞台の台本で、台詞ばっかりだったので読みやすい。ノルウェー人作家。

  • ヘッダの焦燥感、苛立ち、嫉妬。
    そして強烈なプライド。ぐいぐいひきこまれる。

  • 再読。
    学生以来ぶりに読むが、とても面白かった。
    当時はそんなに面白いと感じていたのか?

    沢山の女優たちがヘッダの役を演じたがるのも分かる。
    とても魅力的で、難しい役所である。
    演じきれたら、女冥利につきるのかもしれない。

    劇作である事から少し離れるが、私はヘッダの生き様が好きだ。
    常に「ここ」に不満を抱きながら、何が不満なのか具体的に分からず、それを探す姿が周りからは奔放に見える。
    人には多少なりともそういった部分を抱えている気がする。
    少なくとも私はとても良く分かってしまった。

    そして最後までその訳の分からない不満に突き動かされながら、死へ向かう。
    ヘッダが幕外に去り、そこから銃声が聞こえてきた時、観客はどう思うのだろうか。
    目の前で人が死ぬ劇的とは違い、それよりも深く、突き刺さる。
    人生の空しさを思わされるのでは無いかなと思う。

    勝手な自分の暴走な解釈だが。
    もしかしたら、ヘッダの様々な行動が、もっと理屈で証明されているのかもしれないが、私は勝手に、言葉にする事が出来ない苛立ち(生死に対する焦燥感と言葉にしてしまうとそれも違うような)が根底にあると思う。
    レェーヴボルグの自殺を知った時の反応からも伺える。

    それにしても、自分はなんて感覚的にものを読み、感覚的に読後の感想を持つのだろうと思う。
    知識も少ない上に語彙も少ない。悲しい限り。
    もう少し論理的なものも受け入れられるようになりたいと思う。

  • 今上演したら結構受けるんじゃないかと思う内容だった。ヒロインの性格が強烈。

  • 2006夏の重版で買ったよ〜

  • これもモスクワで観た。

  • 女はみんな心のうちにヘッダを飼っている。

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著者プロフィール

Henrik Ibsen

「2006年 『ペール・ギュント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ヘンリック・イプセンの作品

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