千一夜物語 1(完訳) (岩波文庫 赤 780-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003278017

作品紹介・あらすじ

イスラム世界の民話・伝説が奔放不羈な空想の翼に乗って燦然と花開いた物語の饗宴アラビアン・ナイト。千と一夜にわたってシャハラザードが繰り広げる綺談のアラベスクは歓喜と陶酔の夜へとあなたをいざなう。文学的香り高いマルドリュス版の完訳。

感想・レビュー・書評

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  • いつか読もうと思いつつ巻数が多いので躊躇していた千一夜。たまたま本屋で「10年ぶりに復刊」の帯つきで増刷されてるのをみつけてこれもタイミングと着手することに。千一夜の元本はアラビア語の写本、それ自体もいろんなバージョンがあるのにさらにヨーロッパ等で翻訳された段階でさまざまなバージョンが派生したということで(当初は千一夜分はなかったんですね)岩波文庫のこれはフランスのマルドリュス版。

    まず導入として、シャハリーヤール王が妻に裏切られて女性不信になるまでの物語があり、妃を処刑してからは夜ごと生娘を一人お相手にして翌朝には殺してしまうこと3年におよび、ついに大臣の娘、大枠になる語り手シェヘラザード(本書ではシャハラザード)の登場となる。彼女の語る物語の登場人物がまた物語を語り、その登場人物もまた・・・という感じでどんどん入れ子になっていくのが、ややこしい。

    物語自体は単純に面白く続きが気になるので(引きのタイミングも絶妙!)読者も王と同様、もっと続きを!ってなっちゃうのほんと上手くできてるなと感心。パターンとしては似たような話も多いのだけど、いわゆるジェットコースター型とでもいうのか、どんどん巻き込まれて突拍子もないことになるので途中でやめられなくなってしまう。魔神(ジンニ―、女魔人はジンニーア)や鬼神(イフリート)が出てきて魔法で動物に変身させられたり逆に助けられたり、船は難破するし、財産は美女のせいで失うし、かと思えば美女だらけのハーレムに迷い込んだり波乱万丈だけど基本的にハッピーエンドが多いので安心。

    イスラム圏のお話ゆえやたらとアッラーにお祈りすることや、「激しい驚きに激しく驚いた」のような独特の言い回しが最初のうちはちょっと気になるけど慣れれば大丈夫。文化の違いや、美味しそうな食べ物や聞いたことのないスイーツの名前など新鮮。食べたい。そして千一夜といえばエロティックなイメージも強いですが、今のところそれほどでもないかな?という印象。まあわりと簡単に女性が全裸になりがち、とか、回数を数えがち、とかはありますが(笑)

    ※収録
    諸話 シャハリーヤール王と弟シャハマザーン王との物語(騾馬と牛と農夫の寓話)
    第1-3夜 商人と鬼神の物語(第一の老人の話/第二の老人の話/第三の老人の話)
    第3-9夜 漁師と鬼神との物語(イウナン王の大臣と医師ルイアンの物語/シンディバード王の鷹/王子と食人鬼との物語/魔法にかけられた若者と魚の物語)
    第9-18夜 荷かつぎ人足と乙女たちとの物語(第一の托鉢僧の話/第二の托鉢僧の話/第三の托鉢僧の話/第一の乙女ゾバイダの話/第二の乙女アミナの話)
    第18-19夜 斬られた女と三つの林檎と黒人リハンとの物語
    第19-24夜 大臣ヌーレディンとその兄大臣シャムセディンとハサン・バドレディンの物語

  • マンガの『マギ』の原案だということで読んでみました。
    読み進めてみるとなかなか官能的で、正直驚きましたが、リズムに乗れてからはストレスなく読めました(^ ^)
    随所随所に詩が出てくるところとか、性的な表現とか、何となく『源氏物語』を思い出してしまったけれど、似てる……かなぁ?

    岩波の訳はかたかったので、ちくまに移行しようかなー、と思います(^ ^;)

  • 不思議な事に不思議な事が覆い被さり、語りの中で別の語りが浮かび出てくる構造や展開はとても面白い。
    言葉だけ知っていた千一夜物語、シャフリヤール、シェヘラザードにちゃんと触れることができて良かったと思う。
    イスラム文化を尊重した訳になっていることや、成立した時代からすると仕方ないが、言葉遣いや言い回しに慣れてなくてちょっと読みづらかった。
    自分のような文学初心者にはもっと噛み砕いた訳、思い切って児童向けの方が良かったかも知れない。

  • 13巻ハードカバー
    いい気分転換になるが、やはり飽きるがそれもよしとのこと

  • 「中世イスラム文学に現れた日本(?)表記から当時の世界観を楽しむ」
    「人生に必要な「寛容」の精神を、中世イスラム文学で楽しく学ぼう!」
    「謎の世界への時空旅行」

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=K26674

  • 解説:豊島与志雄・渡辺一夫・佐藤正彰・岡部正孝、
    原書名:LE LIVRE DES MILLE NUITS ET UNE NUIT(Mardrus,J.C.)

  • 2016.7.31
    劇団四季アラジンを観劇した影響か、図書館で借りてよむ。
    どぎついシーン満載で、びっくり。でも、話に大いにひきこまれる。
    魔神はジニーってアラジンと同じだ。
    エジプトの王の大臣兄弟の運命がすごかった。魔法の魚の物語、1000年も前に書かれたとは、信じられない。
    波瀾万丈、荒唐無稽。2巻も読もうかな。

  • 馴染みのあるアリババやシンドバッドの話は全13巻の真ん中くらいなので、まだ先は長い…!
    文化の違いで翻訳も相当大変だったんだろうなぁと。
    丁寧だけど、雰囲気を壊さない程度の注釈がありがたい。
    詩の部分は多少文章が難解だけど、ストーリー自体はわかりやすいです。
    話が次々と入れ子の様になって、繋がっていくのが特徴。

    日本の遠野物語にもあるマヨヒガや、シャルル・ペローの青髭を思わせるストーリーもあったりして親近感。
    だけどダメと言われていても、開けてしまうし聞いてしまうのねぇ。
    イスラム教って戒律の厳しさが印象にあるけど、女性は意外と奔放だし男性もアラーよ!とか言った直後に誓いを破るしで、人間くさいと言えば人間くさいのかな。
    たまに、信心があっても嘘を付くのと、なくても嘘を付くのとどちらが罪深いんでしょうかね、とか思ったり。
    信心があるように思っていても、ただの口癖レベルに落ちて実行が伴わなきゃ意味がないような気も。
    と、妙にあれこれ考えさせられるお話です。
    というか、浮気を疑われてバラバラにぶった斬られて箱詰めにされる女性がかわいそうすぎて。
    他はわりと、自業自得臭が漂うのに!
    兄弟の大臣の息子と娘の物語も、すれ違いにすれ違いを重ねてもどかしい。でもそこが楽しいかも。
    柘榴のお菓子、美味しいのかな~。食べてみたい。

  • そういや千夜一夜物語って読んだことなかったな、と思って手に取った。
    イスラムなのかアラブなのか、物語に型があって面白い。男は淫乱な女に騙される。魔法を使うのは女、魔法を見抜くのも女。
    しかし、長い。途中で投げ出してしまった。

  • ケナファや、ケナファ!!!

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著者プロフィール

とよしま・よしお
1890(明治23年)~1955(昭和30年)。
日本の小説家、翻訳家、仏文学者。
久米正雄、菊池寛、芥川龍之介らとともに
第三次「新思潮」の同人として世に出る。
代表作に、
短編小説集『生あらば』(1917年)、
中編小説『野ざらし』(1923年)、
随筆集『書かれざる作品』(1933年)、
長編小説『白い朝』(1938年)、
短編小説集『山吹の花』(1954年)など。
当時ベストセラーになった『レ・ミゼラブル』の翻訳で知られる。
太宰治の葬儀の際には、葬儀委員長を務めた。

「2018年 『丘の上 豊島与志雄 メランコリー幻想集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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