- Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003278062
感想・レビュー・書評
-
寄り道しつつやっと6巻に着手。
「青銅の町の綺談」が面白かった。スライマーン(ソロモン)が魔神を封じた壺のことを聞き、それが欲しいという王様のために探検隊が出かけます。途中、青銅の騎士の銅像に正しい方角を教わったり、半分地中に埋められた怪物になぜそうなったかの聞いたりする。この怪物はソロモンと闘った海原の王の部下で、ソロモンに負けて地中に埋められ、部下たちは件の壺に封じられたという。彼の語る、ソロモン軍VS海原の王軍の戦いの様子がなかなか少年漫画みたいだ。
そして一行は青銅の城壁に辿りつくが、この城壁、行けども行けども入口がどこにもない。結局よじ登って侵入するも、彼らが行くと、街でも市場でも人々は静止して動かない。宮殿の中にはさまざまな宝物の部屋があり、いちばん奥の部屋には美しいお姫様が横たわっていて、剣を持った二人の騎士が守っているがやはり静止している。宝物は持って行ってもいいけどお姫様には指1本触れないでね、という碑文があるにも関わらず、一人の男がお姫様を抱き上げて連れ去ろうとすると、静止していたはずの騎士たちの剣で貫かれてしまう。
大慌てで青銅の町から逃げ出した一行は、海辺の漁師たちに魔神の壺(いっぱいある)と、下半身が魚の海原の娘たち(人魚!!)をもらって帰国。人魚は泉で飼われるがそのうち死んでしまった。おしまい・・・というわけで、青銅の町とやらがなぜそんなことになっているのかは一切言及されない(困惑)おそらくソドムとゴモラのような、なんらかの神の怒りに触れて滅びた町なのだろうけど。説明がないことでかえって神秘的だったかも。
「地下の姫、ヤムリカ女王の物語」は、ある木こりの青年が洞窟に置き去りにされ、そこで地下の国に迷い込みヤムリカ姫に出逢う。彼女が語る「ブルキヤの物語」の中に、さらにブルキヤが出逢った「悲しみの美青年」の物語が入れ子になっている。ブルキヤ王はヤムリカ姫の植物園から、塗ると海を歩いて渡れるようになる草の汁をもらい七つの海を越えソロモンの指輪を探しにいく。結局失敗するがなんとか生還。巡るいくつかの島のひとつに、人間の首を髪の毛で吊り下げたような果実のなる木があってとっても不気味だった。
悲しみの美青年ジャーンシャーは狩りの途中で遭難、上半身と下半身がバラバラになる人喰い人種(上半身が逃げ遅れた人間を食べている間に、下半身は逃げた仲間を追ってくる!怖!)の島から逃げたりいろいろありつつ、鳩の化身の美女たちに出逢いなんとかして彼女を手に入れようと画策、美女の水浴び中に木の枝に掛けてあった羽衣を盗み帰れなくする。このくだり、日本の羽衣伝説とそっくりで驚いた!民話の普及範囲や経路は民俗学の範疇だけど、この共通項はとても興味深い。衣を着ると羽が生え鳩になって飛んでいくというのはいかにも「羽衣」で、天女よりリアル(笑)
※収録
第331-338夜:色異なる六人の乙女の物語
第339-346夜:青銅の町の綺談
第346-353夜:イブン・アル・マンスールと二人の乙女の物語
第353-355夜:肉屋ワルダーンと大臣の娘の話
第355-373夜:地下の姫、ヤムリカ女王の物語(ブルキヤの物語/悲しみの美青年の物語)
第373-393夜:智慧の花園と粋の庭(アル・ラシードとおなら/若者とその先生/不思議な袋/愛の審判者アル・ラシード/いずれを選ぶか?青年か、はたまた、壮年か?/胡瓜の値段/白髪/悶着解決/アブー・ヌワースとセット・ゾバイダの浴み/アブ-・ヌワースの即詠/驢馬/セット・ゾバイダの現行犯/雄か、雌か?/分け前/学校の先生/下着の縫取り文/盃の彫り込み文/籠の中の教主/臓物の掃除夫/乙女「涼し眼」/乙女か、青年か?
第393-399夜:奇怪な教主
第399-414夜:「蕾の薔薇」と「世の歓び」の物語詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今まですんなり進んできたように思えたのだけど、ここへ来てシャハラザードに度々の危機が。
意外と王様が気に入らない話も出てくるのね~。
立て続けに短い話がだだだーっと出てきます。
教王ハールーン・アル・ラシードはもうお馴染みさんですね。