完訳 千一夜物語 (8) (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1988年7月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (449ページ) / ISBN・EAN: 9784003278086

みんなの感想まとめ

多様な物語が織りなす魅力的な世界が広がる本書は、特にユニークなキャラクターと彼らの冒険が引き立っています。例えば、アル・ラシードの人付き合いの良さや、ハサン・アル・バスリの冒険は、読者を惹きつける要素...

感想・レビュー・書評

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  • 8巻は「「柘榴の花」と「月の微笑」の物語」がなかなか盛り沢山で面白かった。王様が惚れこんだ喋らない美人奴隷は実は海の国から来たお姫様「柘榴の花」で、生まれた息子「月の微笑」もめっちゃイケメンに育つ。そろそろ嫁が欲しいかなというので海の伯父さんが、海の別の国の美人で有名な「宝玉姫」の父王に挨拶にいくけど喧嘩売られて戦争、敗けて逃げた宝玉姫とたまたま出会った月の微笑は一目惚れするけれど、いまや敵国なので宝玉姫は月の微笑を騙して鳥に変えてしまう。鳥にされた月の微笑は鳥刺しに捕まるもその妻が魔法を解いてくれて帰国途中、今度は船が難破して辿りついた島にはキルケーみたいな魔女アルマナクがいてイケメンをやり捨てて動物に変えてしまうという。なんとかそれを免れた月の微笑が帰国して宝玉姫と結ばれるまで。海の国には人魚だけでなく二本足歩行の人間の国もあるというのと、久しぶりに変身譚だったので好みでした。

    「ハサン・アル・バスリの冒険」は今巻でいちばんの長編。超絶美青年のハサンは拝火教徒(※ゾロアスター教)のペルシャ人バーラムという錬金術師に騙されて誘拐され、なんとか逃げた先が魔神の7人の娘が住む宮殿。親切にしてくれる7人の美女を姉と呼び、ハサンは弟として可愛がられるが、開けてはいけないと言われた扉を開けてしまう(このあたり類似話があった気が)扉を開けたらなぜか湖があって、泳いでいた鳥が羽衣を脱いだら美女に変身するという、これまた羽衣伝説アラビア版の展開。美女の正体は魔神の中でもいちばん力のある王の末娘・耀い姫(かがよいひめ)、ハサンは彼女の羽衣を隠して故郷へ連れ帰り妻とし、子供も生まれる。

    しかし紆余曲折あって隠しておいた羽衣を見つけた耀い姫は子供を連れて去ってしまった。ただ「ワク・ワク島」に来れば会えると言い残しておいてくれたので、ハサンは追おうとするが、それは恐ろしい地獄行きまがいの旅で(このへんはオルフェウスっぽい)ハサンは巨人女に小鳥として飼われたりしつつ、被ると姿が消える魔法の帽子を偶然手に入れて妻子を取り戻しめでたしめでたし。複数の民話が無理くりに融合されているような印象で、どうやってこういう物語が成立していくのか興味が沸きます。

    ※収録
    第515-526夜:黄色い若者の物語
    第526-549夜:「柘榴の花」と「月の微笑」の物語
    第549-551夜:「モースルのイスハーク」の冬の一夜
    第551-554夜:エジプトの百姓とその色白き子供たち
    第554-576夜:カリーフと教王(カリーファ)の物語
    第576-615夜:ハサン・アル・バスリの冒険
    第616-622夜:陽気で不作法な連中の座談集(歴史的な放屁/二人の悪戯者/女の策略)

  • 原書名:LE LIVRE DES MILLE NUITS ET UNE NUIT

    黄色い若者の物語
    「柘榴の花」と「月の微笑」の物語
    「モースルのイスハーク」の冬の一夜
    エジプトの百姓とその色白き子供たち
    カリーフと教王の物語
    ハサン・アル・バスリの冒険
    陽気で不作法な連中の座談集

    編者:ジョゼフ=シャルル・マルドリュス(Mardrus, Joseph-Charles, 1868-1949、エジプト・カイロ、東洋学者)
    訳者:豊島与志雄(1890-1955、朝倉市、小説家)、渡辺一夫(1901-1975、東京、フランス文学者)、佐藤正彰(1905-1975、東京、フランス文学者)、岡部正孝(1912-、フランス文学者)

  • 2008/01/31

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著者プロフィール

とよしま・よしお
1890(明治23年)~1955(昭和30年)。
日本の小説家、翻訳家、仏文学者。
久米正雄、菊池寛、芥川龍之介らとともに
第三次「新思潮」の同人として世に出る。
代表作に、
短編小説集『生あらば』(1917年)、
中編小説『野ざらし』(1923年)、
随筆集『書かれざる作品』(1933年)、
長編小説『白い朝』(1938年)、
短編小説集『山吹の花』(1954年)など。
当時ベストセラーになった『レ・ミゼラブル』の翻訳で知られる。
太宰治の葬儀の際には、葬儀委員長を務めた。

「2018年 『丘の上 豊島与志雄 メランコリー幻想集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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