完訳 千一夜物語〈8〉 (岩波文庫)

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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003278086

感想・レビュー・書評

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  • 8巻は「「柘榴の花」と「月の微笑」の物語」がなかなか盛り沢山で面白かった。王様が惚れこんだ喋らない美人奴隷は実は海の国から来たお姫様「柘榴の花」で、生まれた息子「月の微笑」もめっちゃイケメンに育つ。そろそろ嫁が欲しいかなというので海の伯父さんが、海の別の国の美人で有名な「宝玉姫」の父王に挨拶にいくけど喧嘩売られて戦争、敗けて逃げた宝玉姫とたまたま出会った月の微笑は一目惚れするけれど、いまや敵国なので宝玉姫は月の微笑を騙して鳥に変えてしまう。鳥にされた月の微笑は鳥刺しに捕まるもその妻が魔法を解いてくれて帰国途中、今度は船が難破して辿りついた島にはキルケーみたいな魔女アルマナクがいてイケメンをやり捨てて動物に変えてしまうという。なんとかそれを免れた月の微笑が帰国して宝玉姫と結ばれるまで。海の国には人魚だけでなく二本足歩行の人間の国もあるというのと、久しぶりに変身譚だったので好みでした。

    「ハサン・アル・バスリの冒険」は今巻でいちばんの長編。超絶美青年のハサンは拝火教徒(※ゾロアスター教)のペルシャ人バーラムという錬金術師に騙されて誘拐され、なんとか逃げた先が魔神の7人の娘が住む宮殿。親切にしてくれる7人の美女を姉と呼び、ハサンは弟として可愛がられるが、開けてはいけないと言われた扉を開けてしまう(このあたり類似話があった気が)扉を開けたらなぜか湖があって、泳いでいた鳥が羽衣を脱いだら美女に変身するという、これまた羽衣伝説アラビア版の展開。美女の正体は魔神の中でもいちばん力のある王の末娘・耀い姫(かがよいひめ)、ハサンは彼女の羽衣を隠して故郷へ連れ帰り妻とし、子供も生まれる。

    しかし紆余曲折あって隠しておいた羽衣を見つけた耀い姫は子供を連れて去ってしまった。ただ「ワク・ワク島」に来れば会えると言い残しておいてくれたので、ハサンは追おうとするが、それは恐ろしい地獄行きまがいの旅で(このへんはオルフェウスっぽい)ハサンは巨人女に小鳥として飼われたりしつつ、被ると姿が消える魔法の帽子を偶然手に入れて妻子を取り戻しめでたしめでたし。複数の民話が無理くりに融合されているような印象で、どうやってこういう物語が成立していくのか興味が沸きます。

    ※収録
    第515-526夜:黄色い若者の物語
    第526-549夜:「柘榴の花」と「月の微笑」の物語
    第549-551夜:「モースルのイスハーク」の冬の一夜
    第551-554夜:エジプトの百姓とその色白き子供たち
    第554-576夜:カリーフと教王(カリーファ)の物語
    第576-615夜:ハサン・アル・バスリの冒険
    第616-622夜:陽気で不作法な連中の座談集(歴史的な放屁/二人の悪戯者/女の策略)

  • 原書名:LE LIVRE DES MILLE NUITS ET UNE NUIT

    黄色い若者の物語
    「柘榴の花」と「月の微笑」の物語
    「モースルのイスハーク」の冬の一夜
    エジプトの百姓とその色白き子供たち
    カリーフと教王の物語
    ハサン・アル・バスリの冒険
    陽気で不作法な連中の座談集

    編者:ジョゼフ=シャルル・マルドリュス(Mardrus, Joseph-Charles, 1868-1949、エジプト・カイロ、東洋学者)
    訳者:豊島与志雄(1890-1955、朝倉市、小説家)、渡辺一夫(1901-1975、東京、フランス文学者)、佐藤正彰(1905-1975、東京、フランス文学者)、岡部正孝(1912-、フランス文学者)

  • "第515夜から622夜まで。
    水棲人第2弾とアル・ラシードがらみ、ハサン・アル・バスリの物語、無作法な連中の座談集。
    アル・ラシードの人付き合いのよさは毎回感心する。
    似たような展開ながらもハサン・アル・バスリの冒険談が面白い。"

  • 泣き落としで成し遂げる美女獲得の道。
    最後まで描かれた羽衣伝説って感じでした。
    柘榴の花と月の微笑の物語も好きだなぁ。
    珍しく好感度高いよ王様!

  • 8 (515-622)
    黄色い若者の物語
    「柘榴の花」と「月の微笑」の物語
    「モースルのイスハーク」の冬の一夜
    エジプトの百姓とその色白き子供たち
    カリーフと教王の物語
    ハサン・アル・バスリの冒険
    陽気で不作法な連中の座談集
    歴史的な放屁
    二人の悪戯者
    女の策略

  • 2008/01/31

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著者プロフィール

1890(明治23)年、福岡県朝倉郡福田村(現・朝倉市)に生まれる。1915年、東京帝国大学卒業後、明治大学、法政大学などで教授を務めた。また、1921年ごろから子供のための短編を書いて赤い鳥社などから出版社、100以上のおとぎ話を残した。有名な学者、フランス文学の翻訳者としても知られ、訳書に「レ・ミゼラブル」「ジャン・クリストフ」などがある。1955(昭和30)年、永眠。

「2018年 『豊島与志雄短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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