創造者 (岩波文庫)

著者 : J.L.ボルヘス
制作 : Jorge Luis Borges  鼓 直 
  • 岩波書店 (2009年6月16日発売)
3.84
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003279229

作品紹介

詩人として出発したボルヘス(一八九九‐一九八六)がもっとも愛し、もっとも自己評価の高い代表的詩文集。内的必然にかられて書かれた作品の随所に、作者の等身の影らしきものや肉声めいたものを聞くことができる、ボルヘスの文学大全。一九六〇年刊。

創造者 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ボルヘス作品は難解だと噂に聞いて尻込みしていたのですが、読書家の知人に薦められて読んでみました。いや~素晴らしくて感激です! 彼の迷宮と宇宙観、時空の広がり、空(くう)や夢のような世界に惚れぼれしました。私には訳者の解説のほうが難解でよくわかりませんでした(汗)。

    この本はボルヘス自身も納得の仕上がりとなった詩集のようで、前半が散文、後半が韻文なので雰囲気の違いも楽しめます。詩人の独特の世界観(や言語の壁)もあるため、すべてを理解することはおそらくできませんが、そのような必要もないと思います。詩人が発する詩情やポエジーの磁場に入ることができれば、ともに響きあうことができれば、言葉の彼岸にたたずむ他者になれれば、もうそれでお腹が一杯です(笑)。

    これに気をよくしてボルヘスの散文作品をいくつか読んでみて、面白い短編もたくさんあって興味は尽きませんが、ボルヘスという人は詩人ですね。短編は彼の詩情美の延長のようで、私は彼のエッセンスとなる深遠な詩のほうにより感銘を受けました。それにしてもギリシャ神話にはじまり、ホメロス、ヘラクレイトス、ダンテ、セルバンテス、シェイクスピア、アリオスト、ラブレー、モンテーニュ、ショーペンハウアー、ヴェルレーヌ……うらやましいほど豊かな世界に生き続けている人です。繰り返し読んでみたい詩集にも出会えて嬉しい♪

  • 『バベルの図書館』を読んで以来、僕にとっての図書館はその意味を二重化された。書架の詰まった実体としての図書館は概念化されて「図書館」となり、それ自体として単独の宇宙を形成する新たな意味へと開かれた。『伝奇集』に収められたこの奇妙な数十ページは、「図書館」という概念を通して書物と知の関係を一層混乱させる。そしてその混乱は、読むことと知ることに関するいくつかの鮮やかな問いとして立ち上がる。以来、それらの問いに立ち向かい、背負い込むことを選んだ僕は、未だにバベルの図書館から抜け出せず、その無限廻廊を当て所なく彷徨っている。

    有り体に言えば、バベルの図書館とは、これまでに出版され、そしてこれから出版されるあらゆる書物が収められた六角形の図書館である。そこでは全ての書物が「既に書かれたもの」としていずれかの書架に眠っている。そこは完全な秩序を持ったロゴスの充満としての宇宙を形成しており、それぞれの本は一つでありながら全体でもあるというライプニッツ的モナドとして存在している。

    ボルヘスはアルゼンチンの国会図書館の館長を務めている最中、遺伝的な眼疾が悪化し、幾度もの手術の甲斐なく光を失う。失明した彼にとっての図書館が従来の意味から「図書館」へと逸れてゆく道理は、読書人なら想像に難くないはずだ。マッハ的視界、有限の視界を失うことで、「図書館」は無限として迫り来る整然とした宇宙となった。

    本書『創造者』は、ボルヘスが全集出版の折依頼を受けて自身で編纂した詩集であり、雑文集である。鏡、虎、河、夢、月、六角形、などの清冽な象徴を星屑のように散りばめて、彼は人を、光景を、過去を追憶する。

    ボルヘスは概念と抽象の作家である。彼の文学は精確と簡潔を旨として冗長を嫌い、具体を避け、説明を拒否する。しかし、この『創造者』には、確かに生身の、肉体を持ったボルヘスがいる。高鳴る鼓動があり、掠れる声が響いている。本書が「ボルヘスの文学大全」と評される由縁はこの辺りにあるのだろう。

    『創造者』とは、いわばボルヘスによる『一千一秒物語』なのだ。このボルヘスこそ、我々が手を取り合って温もりを感じることを許された唯一の彼である。ここからボルヘスを始めることが、僕の考える正解である。文藝的情緒を余すところなく綴った名訳にも、最大限の賛辞を贈りたい。

  • ボルヘスの中では、詩集というカテゴライズなんでしょうか。詩というよりはエッセイかと思うような散文が大半でした。「王宮の寓話」とかすごく好き。

  • その著作全体を「宇宙」とか例えたくなる人は、それだけで読む前から一定の魅力を読者に与えていると思う。

  • 難解だった…。

    ボルヘスとわたし

    一九六〇年作の頌歌

  • 詩は興味深い。自己の告白は貴重である。ギリシア神話やローマ神話などに触れたりして効果的と思った。さすがボルヘスだ。ただ解説がやたら難解で難しい言葉が多かった。



  • 限界

  • 難解…

  • 文句なし人生の一冊。世界を夢見る神さまは夢として万物に偏在するということだとしたら一神教のようでアミニズム的な印象でした。

    象棋の駒、指し手、神のスケールが広がっていく様が大好き。

  • 記号的な表紙姿が印象的な、ボルヘスが還暦時に編纂した詩文集。ボルヘスの短編がどれも円環を為す無限回廊を形成しているのに対して、ダンテからの直接的な影響を反映させつつ韻文/散文で紡がれる本作は夢や鏡、死の世界等のテーマを用いて夢幻迷宮への入口を創造する。また時に亡き友人たちや自らの老いについて語られる言葉はとても人間的であり、ボルヘスの各種著作の中で最も彼の素顔が見える作品だと言えるかもしれない。そしてエピローグの言葉通り、その顔は世界について描こうとした、無数のイメージが織り成す迷路によって作られている。

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