汚辱の世界史 (岩波文庫)

著者 : J.L.ボルヘス
制作 : 中村 健二 
  • 岩波書店 (2012年4月18日発売)
3.76
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  • レビュー :16
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003279267

作品紹介

「無法請負人」モンク・イーストマン、「動機なき殺人者」ビル・ハリガン(ビリー・ザ・キッド)、「傲慢な式部官長」吉良上野介など、読者には先刻お馴染みの悪党や無法者についての史実や原話を本歌取りしたボルヘス最初の短篇集。ボルヘスによる悪党列伝。

汚辱の世界史 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 『ブロディーの報告書』の訳者鼓直氏によれば、本書におさめられた短編集は中途半端な出来らしい。
    私的には『ブロディー〜』の短編より、こちらにおさめられた超短編のほうが、摩訶不思議で寓話的面白世界に満ちていて好み。

    邦訳『汚辱の世界史』における目玉は、何といっても吉良上野介——傲慢な式部官長だろう。
    あのボルヘスが、日本人の大好きな(私は特に好きじゃないけど)『忠臣蔵』を取り上げているとなれば興味もひとしお、どうして手に取らずにいられようぞ(笑)
    想像すら難しい遠い異国のいにしえの物語。武士たちの主君への忠義と悪玉への復讐劇——アルゼンチンが生んだ世界的文学者の目にはどう映っていたのか、考えるだけでも面白過ぎるじゃないか(笑)

    ボルヘスの“東洋”は中東中心だとそれまで思っていたので、吉良上野介もそうだが、中国の女海賊鄭一嫂の話も(もとネタは知らないが中国では著名なキャラなんだろう)興味深く読んだ。

    取り上げられているそのほかの人物も、ビリー・ザ・キッド以外未知なので、もとの話を知っていればもっと楽しめただろうと思う。
    そんななかで特に印象に残ったのは『メルヴのハキム』。

    ボルヘス作品からもとネタを追究するのもまた楽し。

  • 悪党の物語も悪いものではない。千夜一夜物語を所々に差し込んでくるが、それも相まって本作品集は教訓譚であるようにも感じられる。

  • 悪党列伝。吉良上野介の章が読みたくて。
    どういう意図なのかわからないので間違い?を指摘するのは無意味かも。でもおもしろいので。
    くつ紐を結ばされて屈辱とか、赤穂城で切腹とか。それも緋毛氈の上で…目出度い感じ?その上、大石間に合ってる⁈このときの腹切り刃物は、宝石を散りばめた短刀⁈キラびやか!
    吉良暗殺の密談は鏡をはめ込んだ四角い箱のある社殿。この辺、ボルヘスっぽい?
    討ち入りで大石側9人死亡。息子、主税も死亡⁈吉良の隠れていた場所は銅鏡の裏。鏡、好きなんだね。
    でもこれ、悪党吉良というより大石内蔵助が主人公でした。

  • 実在した世界の悪党や無法者を題材にした短編集。ギャング、詐欺師、女海賊など知らない人物ばかりで新鮮だった。日本人では吉良上野介が取り上げられている。アンチヒーローの人生はヒーローの人生と同様に、平凡ではありえず物語となる。エトセトラの中の「学問の厳密さについて」は、10行足らずの短い作品なのに印象に残った。

  • シュウォッブの『少年十字軍』と併読、モチーフが被るので時々混同した。ボルヘスが持つパロディの駒のひとつなのだろう。しかしボルヘスは変奏曲、パロディの増殖は万華鏡のように反射し隠されたもうひとつの、歪められた虚の世界を表出させる。晒された癩病患者の顔面は神々しく、汚濁の臭気でさえ香しい。なにが実であり虚であるのか、意識は曖昧になり撹乱する。挙げ句の果てには恍惚となる。

  • 13/10/26 よくわからない。ボルヘスとは何者だ。

  • 世界悪人列伝といった趣きの掌編小説集。7人の人物の物語を扱うが、手法はそれぞれに少しずつ異なっている。これを読む契機になったのは、表紙にもなっている「不作法な式部官 吉良上野介」がどんなふうに描かれているかに興味を魅かれて。赤穂事件の全体像はともかく、細部では史実とも、また「忠臣蔵」ともあれこれと違っている。この事件はオランダ商館長ゴロウトによってヨーロッパに伝えられ、1871年の英語版をはじめ、ドイツ語やフランス語での出版もあった。内容は未見なのだが、おそらくボルヘスはこれらのいずれかによったのだろう。

  • 『砂の本』に収録されているので既読だったでござる。

  • 2013/4/24購入

  • 「汚辱の世界史」ホルヘ・ルイス・ボルヘスの世界の悪人評。面白いわー。日本の吉良上野介も出てきます。たった数ページであの敵討ちの真意が伝わる。様式美を取っ払った完璧なあらすじともいえるね。
    他にも短編も収録されていて、幅広く楽しめます。

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