- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003279625
感想・レビュー・書評
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ノーベル賞ものかー。んー。
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ノーベル文学賞作家の下巻。
なじみのない南米の町、南米の人、そして名前。
しかし、読み進めていくうちに、登場人物たちが生き生きと動いているさまが想像できるようになった。
徐々に人物たちの関係が明らかになっていき、点と点が線になり、線が面になっていく。
難しい数学の問題が解けていくような、答えが見えてくるときのワクワク感。けっしてミステリーではないのに、そう感じる。
そこに人物たちの人間像がしっかり描かれているから、なおおもしろさがましていく。
私の人生はじめての、ラテン作家による小説。
非常に読み応えがあり、読み終えた後、静かに心の中を揺り動かす何かが残った。 -
ずっと読みたいと思っていた作家であったのだが、この8月に岩波文庫から復刊。
その2月後にノーベル文学賞受賞。
この流れだけで鳥肌が立ったのだが、これを機に世界終末戦争などが復刊されることを願う。
さてこの「緑の家」だが、この作品も南米文学独特の【読み難さ】を持っている。
時系列がバラバラで、視点もコロコロ変化するのは南米文学の仕様なのだろうか。
これはこれで画一的といえば画一的のような気もするが、そこまで南米文学に触れてきているわけでもないので何とも断言はできないのだけど。
ただその読み難さも小説の技法として上手く使って纏めているような印象を受けたし、物語を紡ぐうえで必然性も感じた。
これが時系列通りに纏まった小説だったら評価としてはやはり凡庸なモノになったと思う。
ガルシア=マルケスの長編群よりはこの作品の方が長編南米文学の入門書としてオススメしたい。
それにしてもこのような作品を書いた作家がよくノーベル文学賞を受賞できたのだと思った。
日系人・インディオに対する人種差別的表現やキリスト教に関しても決して良い描写をしていない。
政治的スタンスゆえにノーベル賞をもらえないだろう、という意見さえあったのは知っていたが、この作品を読むと確かにそう思える。
また作品において日系人をあれだけ差別的に描いておきながら、解説で日系人であるフジモリ氏に大統領選で敗れたバルガス=リョサの有名すぎる経歴に一切ふれていないのは明らかな偏向であり、作品の読後感を損ねるものとなっている。
この辺は岩波なので致し方ないとは思うのだが・・・作品の特性上、著者の人種観にもう少し踏み込んだ解説が欲しかったというのが素直な感想と言ったところか。
個人的に「謎?伏線?」と思われたところが投げっ放しに終わった部分もあったりしたので、それらを含めて星は1つ落として評価したい。 -
現代ラテン文学は、読むのは疲れるので、なかなか読み始められないのだけど、読み出すとおもしろいんだなあ。