薬草まじない (岩波文庫)

制作 : 土屋 哲 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 49
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003280126

感想・レビュー・書評

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  • 『やし酒飲み』が大好きだったので楽しみにしてたチュツオーラの岩波文庫新刊。すでに免疫があるせいか、やし酒~ほどの新鮮な面白さは感じられませんでしたが、終盤の展開が予想外で面白かったです。

    主人公は、結婚して5年経っても妊娠しない妻のために<さい果ての町>にいる<女薬草まじない師>のもとへ、妊娠するための薬を貰うための旅に出ます。同伴するのは第一の<心>と第二の<心>と、自身の<記憶力>、そして<第二の守護神>という目には見えない内在する声のようなもの(ほぼ脳内ポイズンベリー状態)。旅の道中はある意味ワンパターンで、なんというか、RPG的。旅に出る→敵と遭遇→戦って倒す→戦利品ゲット→食べ物を調達→満腹して眠る→旅立つ→敵と遭遇→戦って倒す→→戦利品ゲット・・・の繰り返し。

    ゆえにちょっと決定的な盛り上がりに欠ける平坦な印象も受けるのだけれど、登場する敵は<ジャングルのアブノーマルな蹲踞の姿勢の男><頭の取りはずしのきく凶暴な野生の男><乳房の長い母>など相変わらず独特。そして主人公の前世は<生まれながらにして死んでいる赤ん坊族>というもので、これも独特の死生観が感じられて興味深い。

    しかし<女薬草まじない師>は、その名前からイメージする胡散臭い魔女っぽい雰囲気とはかけ離れていて、<全知全能の聖母さま>と呼ばれ、彼女に願い事をかなえてもらうために人々は毎日集まって礼拝させられたりして、なんかちょっとヨーロッパ的というかキリスト教的なのが微妙に違和感。

    そんなこんなで色々ありつつ妻が妊娠するためのスープを調合してもらった主人公は帰路につくのだけれど、「あなたはこのスープを絶対食べてはいけませんよ」と聖母さまに忠告された時点でハイ前振り、ダチョウ倶楽部かというくらい忠実に、空腹に耐えかねた主人公はスープを食べてしまう。ここからの展開が個人的には断然面白かった。つまり奥さんだけでなく、主人公まで妊娠してしまいます(笑)

    最後はとりあえず大団円のハッピーエンド。基本的には素朴かつ奇想天外で、楽しく読めました。

  • 不妊の治療法を求め狩人が冒険をして帰還する話。
    道中は個性的な面々に出会うもののなかなか起伏が乏しく(28歳の日本人にとっては)エンターテインメント性は薄く感じた。
    物語の細部に博学的、あるいは人類学的興味を持って眺めることが読中の主な楽しみだったのは正直なところ。
    巻末の解説にて言及されていた部分のほか自分が興味を引かれた部分は時間に関するところ。
    戦闘などに要した時間を120分といったように分表示でされることがしばしばあり、巻末の解説がいっていたように必ずしもヨルバ文化のみに基づいているわけではないようだ。
    一方でひとつの戦いから次のものまで平気で一年くらいたっていたりする。
    全体としては正直そこまで楽しめなかったが、アフリカ文学は引き続き読んでいこう。

  • 『やし酒飲み』で知られるアフリカの作家、チュツオーラの長編小説。
    子供が出来ない妻のため、妊娠する薬を貰うべく旅立った主人公が道中で迎える様々な危機……という、寓話的な成り立ち。途中で立ちはだかる敵(?)の造形もユニークで、『やし酒飲み』に比べるとエンタテイメント性が高い仕上がりになっている。但し道中記とも言える冒険小説パートは、純粋なエンタテイメントとしてはやや盛り上がりに欠けるきらいがあり、主人公が旅から帰還してからの終盤が破天荒で更に面白い。
    何処の寓話でもそうだが、禁じられたことを行った者にはそれなりの報いがあるものだw
    小説だけを読んでいると『めでたしめでたし』で終わるストーリーだが、解説を読むとそれがまた違う一面を見せて来るところも面白い。

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