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Amazon.co.jp ・本 (362ページ) / ISBN・EAN: 9784003282014
作品紹介・あらすじ
「名前のないモノ」ばかり作る大工、「世界でもっとも偉大な詩」を書いている詩人、父親が違う七人の子どもを生んだおっ母さん──少年の眼を通して語られる、「ミゲル・ストリート」で生まれた十七の人生の物語は、みな風変わりで、そしてちょっと切ない。ノーベル賞作家ナイポールの実質上の処女作にして、必読の一作。
感想・レビュー・書評
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カリブ海のトリニダード・トバゴ出身の作家ナイポールの処女作。(2001年にノーベル文学賞受賞)
語り手の少年「僕」が、ミゲル・ストリートというスラム街に住む個性的な住人について1章ずつ語っていく。(全17章)
色々と空回りして生きている大人たちと純粋な子供の「僕」の交流がコミカルでもあり、ちょっと切なくもある。
大人たちは夢を追いかけているようでいて、実のところは「自分の人生まあこんなもんだろう」というニヒルな雰囲気も感じた。
最後に成長した「僕」が故郷を振り返る場面があり、西洋側から見た植民地という、見下してまではないけど、愛着はありつつも子供の頃に感じた魅力が失われて見えるのが何だか寂しかったなー。
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ストリートってどんなものなのだろう。
詩人のB・ワーズワースの話が好き。 -
トリニダード・トバゴの首都ポートオブスベインにある通りの住民の話。いわゆる「はみ出し者」が住民の口に挙がり、結果「そこの住民」となる。退屈な子供らは今起こっている何かを捜して大人を観察する。時々できる子が出現する。かつて侵略されていたイギリスの教育を受けるチャンスが巡ってくる。苦笑い。それはいいことかもしんねえが、イギリス化すんのはどうかね?子供の時代はその時だけだし、大人にも言えるけど、何かそういう単純で大事なことって、いとも簡単に忘れてしまいがち。やっぱじいちゃんばあちゃんは生きる歴史なんだよね。
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ポートオブスペインのミゲルストリートという街に住む人々のはなし。
イギリスの植民地化と戦後により心を壊された人達が何としても戻ろうとしているがそれも出来ずに日々に愚痴を言うことで生きている
この世界から抜け出すには街から去るか、同じ場所にとどまり愚痴を言って日々を過ごすしかない
口は悪くてもどこか憎めない登場人物が多くでてきて、多くの人から主人公を学んでいく
主人公の僕は大人になり、どこか抜け出せない感じに慣れてきていることから抜け出すために街を去ることになる -
トリニダードの小さい一角での日常が不思議な雰囲気で描かれた作品。行ったことも調べたこともなかったが、戦争下にあるようでどこか人ごとで、いろいろな人々が各々のキャラクターでとても面白く描かれていた。海外文学作品もおもしろいなーと思った。
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ミゲルストリートで生活する人々は割とどうしようもない大人が多くて、でもなんだか憎めない所もある。それは主人公の子供らしい目線と大人への憧れと、大人になって人々の「どうしようもなさ」を理解し憧れが褪せても残る、故郷への愛着あってこそのバランスだと思う。
あらすじからなんとなく「不思議(ファンタジー寄り)な登場人物」を想像していたが、割とリアルな「不思議な人物(社会的には少しズレている)」人物描写で私小説的な雰囲気がある。 -
島国にあるポートオブスペインという町の少年から見た世界。近所のおじさんやおにいさんやおねえさんの観察日記的な物語。
みんな開放的で明るいけど、どこか狂っていて物悲しい。
誰かを殴ってるか、泣いてるか、夢を見てるか。
舞台が日本だと沈鬱な物語になるだろう話ばかりですが、カラッとしていてどこかノスタルジックな小説でした。
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原書名:MIGUEL STREET
著者:V・S・ナイポール(Naipaul, Vidiadhar Surajprasad, 1932-2018、トリニダード・トバゴ、小説家)
訳者:小沢自然(1971-、英文学)、小野正嗣(1970-、佐伯市、小説家) -
絶対にそんなことないのに物語全体にコミカルな雰囲気があって、起こっていることは凄惨なのに現実感なく軽く読めた。面白かった。
V.S.ナイポールの作品
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