申楽談儀 (岩波文庫 青 1-2)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003300121

作品紹介・あらすじ

内題: 世子六十以後申楽談義;昭和3年刊本 (野上豊一郎校註) の改訂版

感想・レビュー・書評

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/706119

  • 岩波青1-2
    図書館で借りる。

    世阿弥の息子が、世阿弥が語ったことを忘れていない確認のために、世阿弥に送ったもの。
    おそらく同時代の、一忠、喜阿、犬王等の人物への批評、各主演目への指示事項など、事細かに書いてある。
    確かにこれは、後年に能をしようとする人に対しては、バイブルのようなものになるのだろう。

    ※抜き書き
    また、美しく謡うばかりにて、止めにきっと無きなり。きっと、機にてとどむれば、急ありて良し。然らずば、破にてとどまるべし。拍子を越し、たぶたぶと言うを、人、面白ろしとばかり思いていうほどに、拍子伸びてゆくなり。水鳥のように、下をば稼ぎて、拍子を持って、上を美しく言うを、至らずにして似するなり。

    >「水面では優雅な白鳥も、水の下では努力をしている」という言葉によく似ている。

    ※抜き書き
    能を書くに、序破急を書くとて、筆ばかりに書くは悪ろきなり。風情の序破急を書くべし。

    ※抜き書き
    応永一九年の霜月、稲荷の法性寺大路の、橘倉の亭、過ちにより大事になりて、まかるべき時、稲荷の明神撞き給いて、女ばうたちなり。観音に能させて見せば平癒あるべき、と信託にて、稲荷にて猿楽す。彼女いわく、「十番すべし。三番をば伊勢に見たてまつり、三番をば春日に見たてまつり、三番をば八幡に見たてまつり、一番をばわが身見べき」と神託ありて、十番せしなり。

    >10回猿楽を見せなさいという神託が面白い。

    ※抜き書き
    たとえ天性の名人なりとも、稽古しだいしだいに道に立ち入りて沙汰せずば、末あるまじきなり。その一人は名人なるべし。されば、名人の中に、多くは末なき事多し。ただ、中初、上中、下後と稽古して行かば、始終よろしかるべし。皆下から入るゆえに、道絶ゆるなり。よくよくつつしむべし。

    >世阿弥のいう名人というレベルは非常に高い。
    あと後まで残すために、天下、職業、年齢、性別、職業の貴賎もなくあらゆる人に通じる芸術を残そうとしたのだろう。

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