西郷南洲遺訓: 付 手抄言志録及遺文 (岩波文庫 青 101-1)

制作 : 山田 済斎 
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (108ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003310113

作品紹介・あらすじ

明治3年、教えを乞うた酒井忠篤らに説いた『南洲翁遺訓』をはじめ、佐藤一斎『言志四録』から自ら撰び座右の誡めとしていた『手抄言志録』、また折りにふれて天地自然を語り、人倫の道・経国の要諦を示した問答、書簡のほか、遺教・逸話などを収めて、巨人・西郷隆盛(1827‐77)の精髄を伝えるとともに、そのさまざまな面に光をあてる。

感想・レビュー・書評

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  • 来年(2018)の大河ドラマが西郷さんだから久しぶりにざっくり再読。庄内藩士が西郷さんから聞いた「遺訓」をはじめ、佐藤一斉『言志四録』から西郷さんが撰び座右の戒めとしていた「手抄言志録」のほか、手紙や逸話などを収録。薄い本だけど漢文が多いので内容は濃い。

    とりあえず自分の利益を肥やすことばかり考え、税金は自分のおこずかい、国民は叩けば無限に金が出てくる財布くらいにしか思っていない日本の政治家連中はこの本を100回くらい読んで反省しろと言いたい。

    「万民の上に位する者、己を慎み、品行を正しくし驕奢を戒め、節倹を勉め、職事に勤労して人民の標準となり、下民其の勤労を気の毒に思ふ様ならでは、政令は行はれ難し。然るに草創の始に立ちながら、家屋を飾り、衣服を文り、美妾を抱へ、蓄財を謀りなば、維新の功業は遂げられ間敷也」

    「租税を薄くして民を裕にするは、即ち国力を養成する也。故に国家多端にして財用の足らざるを苦むとも、租税の定制を確守し、上を損じて下を虐たげぬもの也」

  • 【生き方】西郷南洲遺訓 / 致知出版社 / 20240129 / <4/1037>/<156/195905>
    ◆きっかけ
    【History】教養としての歴史小説 / 今村 翔吾 / 20240128 / <5/1035>/<282/196107>

    ◆感想
    ・今の世の中にも十分通じる言葉ばかり。解説も分かりやすい。丁度自分のとってはとある大きなことをしようとしていた時だったので、「真の機会をつかむには」のところはとても背中を押された感じだった。
    ・西郷さんの人となりがにじみ出ている気がする。折に触れ読み直したい。
    ・ところで、本人は一生のうちに一冊も出していないが、新政府軍と戦った庄内藩(旧幕府側)の人々が記し、編纂したという点でも興味深い。
    http://nansyu.starfree.jp/ikun.html

    ◆引用
    ・どんな困難、苦労も乗り越えて
    ーできることを精一杯、人として正しい道を行い、その道を楽しむくらいの心。
    ・世評を気にせず、信じる道を歩く
    ー本当の忠告には耳を傾けるべきだが、世間からの聞こえてくるほとんどは無責任な評判の類。こういった声に惑わされてはならない
    ・文字だけの知識は役に立たない
    ー学ぶことの本質はよりよく生きるための志を養い、その手本を得ること。
    ・真の機会をつかむには
    ー本当のチャンスというのは、準備万端、合理的に考えつくして行い、時の勢いをよく見極めて行動して、成功を手にする場合のこと。
    ・思慮は平素に練っておく
    ^備えあれば憂いなし
    ===qte===
    楽天証券社長 楠雄治氏
    お天道様は見ている
    2024/1/20付日本経済新聞 朝刊
    新NISA(少額投資非課税制度)が始まり、顧客獲得競争が激しさを増す。多忙の合間、ふと手を伸ばしたくなるのが西郷隆盛の遺訓集だ。


    「人を相手にせず、天を相手にせよ」――。幕末の英雄、西郷隆盛(号は南洲)の教えをまとめた一冊が『南洲翁遺訓』です。本人が書いたわけでなく、敵方だった旧庄内藩士たちが西郷の度量の大きさに感動し、聞き書きでまとめたもの。西郷の言葉とされる四十数カ条の分量なので、すぐ読めますが奥深い。一番好きなのはやはり「人より天」と説く第二十五条。移動中の車内など、仕事関係のメールに疲れるとスマートフォンに保存する遺訓を読み返し「そうか、そういうことだよな」と、心中でつぶやいたりしています。

    西郷は不思議な人です。島流しや自殺未遂の経験もある。維新の元勲ですが、自分に厳しく一切のぜいたくをせず、最後は滅び行く武士の全てを一人で背負うかのように死ぬ。多弁ではないシンプルな言葉に人の原点や本性、生きる道が浮かび上がります。結局「お天道様は見ている」ということです。

    どんなビジネスにも様々な事情がある。意固地に凝り固まっても仕方がない。現実と折り合うため「心ならずも」の選択が必要な場合もありますが、そんな時もお天道様に恥ずかしくないか、を自分に問いかけます。

    広島生まれの広島育ち。広島大学では西洋史を専攻し、聖書ヘブライ語やくさび型文字まで学んだが、卒業後に進んだのは全く違う世界だった。


    子供の頃、親が読みなさい、とそろえてくれた世界の名作文学が読書の原点。高卒と中卒だった両親は自分たちができなかった豊かな読書体験を与えたかったのでしょう。古代文字を学んだのは映画インディ・ジョーンズの影響です。失われたアーク(聖櫃(せいひつ))の文字解読に興味を持ったんです。

    大学時代は年100冊読破を目標にしていました。常に手元にあったのが半透明のパラフィン紙とピンクの帯が掛かった岩波文庫。『罪と罰』をはじめとするドストエフスキーの5大小説やロマン・ロランの『ジャン・クリストフ』……今思えば、若くて足りない自分の経験を大河小説で補いたかったのかも。ドストエフスキーは埴谷雄高の解説本も頼りに懸命に読みました。読了後の達成感は今も覚えています。

    でもメシが食えなきゃ仕方ない。卒業後は専攻と無縁の世界に進みました。今話題の人工知能(AI)ですが、第2次ブームだったのが当時、1980年代後半です。システムエンジニア(SE)が100万人不足すると引く手あまた。初心者でも丸がかえで教えるという日本ディジタルイクイップメントに就職しAIを担当しました。

    9年間のSE生活の後、転機をくれた本が古典的名作『戦略的情報システム(Strategic Information Systems)』。頭文字SISは情報技術を単なる効率化のツールでなく競争優位に立つ武器とする考え方です。自分もSEの枠を超えビジネスがしたい。そんな気持ちが募り、シカゴ大学に留学し経営学修士号(MBA)を取りました。学んだことの2歩も3歩も先の実業が描かれ驚いたのが『ネットで儲(もう)けろ』。「収穫逓増の法則」や「ナーチャリング」など、動きの速いIT業界でも幹は全く古びていません。

    日経平均株価は約34年ぶりの水準に上昇。新NISAブームには過熱感も漂うが、お薦めの投資本は?

    一つ挙げるなら『敗者のゲーム』です。投資の本質は強い者が勝つのではなく、ミスをした者が負ける敗者のゲームです。負けて市場から撤退しないためには、まず己を知ること。自分のリスク許容度や目標を知り計画を立てたら、自己規律を働かせ投資を続けることが大事。相場は上げ下げしても長い目では市場平均に回帰する。低コストのインデックス投信への長期分散積み立て投資が著者の結論です。

    中には色々言ってくる業者もいるでしょうが、業者の論理は真に受けない方がいい。個人とプロはよって立つものも違えば情報格差もある。業者はうまく活用すればいいんです。うちはその中でお役に立てればいい。それが商売の王道だと信じています。

    (聞き手は編集委員 山本由里)

    【私の読書遍歴】

    《座右の書》

    『西郷南洲遺訓』(桑畑正樹現代語訳、致知出版社)。関連して佐藤一斎による『言志四録』も。西郷が愛読したとされる。

    《その他愛読書など》
    (1)『罪と罰』(全3巻、ドストエフスキー著、江川卓訳、岩波文庫)
    (2)『ジャン・クリストフ』(全4巻、ロマン・ローラン著、豊島与志雄訳、岩波文庫)
    (3)『戦略的情報システム』(チャールズ・ワイズマン著、土屋守章・辻新六訳、ダイヤモンド社)
    (4)『ネットで儲けろ』(ジョン・ヘーゲル三世ほか著、マッキンゼー・ジャパンバーチャル・コミュニティー・チーム訳、日経BP)
    (5)『イノベーションのジレンマ』(クレイトン・クリステンセン著、伊豆原弓訳、翔泳社)
    (6)『敗者のゲーム』(チャールズ・エリス著、鹿毛雄二ほか訳、日本経済新聞出版)
    (7)『深夜特急』(全6巻、沢木耕太郎著、新潮文庫)。若い頃に愛読したバックパッカーのバイブル。
    (8)『不毛地帯』(全5巻、山崎豊子著、新潮文庫)
    くすのき・ゆうじ 1962年生まれ。広島大学卒、米シカゴ大学大学院修了。99年、DLJディレクトSFG証券(現楽天証券)入社。2006年から現職。

    ===unqte===

  • 活字は古いし擬古文・漢文だし、で、今まで遠慮していた本だが、じっくりゆっくり舐めるように見ると、意味もなんとかわかる。それに味わい深い。多分に編者の脚色が入っているとしても、西郷が眼前にあらわれて深みのある声で現に話しているような錯覚をしそう。編集の妙。

  • 薄い本なのですぐ読み終わると思ってはいけない。
    大部分は漢文なので苦労して読むことになる。
    しかし、そうする価値のある文章である。
    音読するのが個人的には良いように思う。

  • 1939年の第1刷から変更がないのか、とにかく読みづらい。漢文の箇所は殆ど読めませんでした。

    遺訓の24「道は天地自然の物にして、人はこれを行うものなれば、天を敬するを目的とす。天は人も我も同一に愛し給うゆえ、我を愛する心を以て人を愛する也」
    25「人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして、己れを盡して人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし。」
    あたりが西郷さんらしいのかなと思いました。

  • 薄く文体は難しいが、西郷の人倫に対する考え方がよく分かる。

  • 遺訓だけ読了。付録の手抄言志録及遺文は未読。遺訓はwebに分かりやすい書き下しあり。

  • 何度も読み返す本。薄い本だが、中身が非常に濃い。漢詩が全て掲載されていれば、最高なのだが。

  • 遺訓だけでもかなり難解だった。読むというより、写本を作るがごとく、PCに入力、IMEパッドで旧字体の漢字を検索・・・
    やはり、敬天愛人のところがよい。

    手抄言志録は漢文のため、挫折。

  • 薄いからすぐ読み終わるかな、と思ったら現代語じゃなかった…。消化不良は否定できない。

    「遺訓」「手抄言志録」「遺教」「遺篇」「遺牘」「逸話」の6編からなる。

    「遺訓」の六(23頁)を読み下してみる。

    ことの上にて,機会というべきもの二つあり。僥倖の機会あり,また設け起こす機会あり。大丈夫僥倖を頼むべからず,大事に臨んでは,ぜひ機会は引き起こさずんばあるべからず。英雄のなしたることを見るべし,設け起こしたる機会は,後より見るときは僥倖のように見ゆ,気をつくべきところなり。

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