三酔人経綸問答 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 桑原 武夫  島田 虔次 
  • 岩波書店
3.72
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本棚登録 : 495
レビュー : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003311011

作品紹介・あらすじ

一度酔えば、即ち政治を論じ哲学を論じて止まるところを知らぬ南海先生のもとに、ある日洋学紳士、豪傑君という二人の客が訪れた。次第に酔を発した三人は、談論風発、大いに天下の趨勢を論じる。日本における民主主義の可能性を追求した本書は、民権運動の現実に鍛え抜かれた強靱な思想の所産であり、兆民第一の傑作である。現代語訳と詳細な注を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 洋学紳士、豪傑君、南海先生。中江兆民ひとりの手によって描かれたこれら3人の議論が順に展開していくことによって、立憲主義もリアリズムも、現実路線も活き活きと語られる。

    これほど異なった視点から時局を見ることができることを、大局を捉える力というのではないかと思う。

    先に登場する洋学紳士、豪傑君の二人の論は極論のように思えるが、一つの考え方を突き詰めて考えることで、その論が持っているゲームチェンジャー的な可能性が見えてくることもある点が、面白い。

    本書の書き方が一問一答のような形ではなく、両者にある程度たっぷりと論じさせているからこそ、そこまで話が展開できたのだろう。

    南海先生が最後に指摘するように、現実は直線的ではなく紆余曲折しながら進んでいくが、ただ中庸を行くだけではなく、このようは広い視点から状況を捉えたうえで進んでいくべきだということを教えてくれる本だと感じた。

  • これほど多面的な解釈をできたということは、計り知れない能力を備えた人物であったことを意味している。未来を見据えた内容である。

  • この本の洒脱さを真に受けるべきかどうかは迷う。いまの人々にとって、内容的になんとなく常識として持っている部分があるから、当時にとってのこの本といまにとってのこの本はまた評価が違ってくる気がする。

    解説にもあるように、三者とも兆民の意識にあったと思うが、最も中庸的な考えを披露している南海先生を、手放しでこれが正しいと言わず、まずはその意見も相対化して見ておくことが大切なのだろう。

  • 中江兆民、歴史の教科書で学びますが、実際にその著書を読んだことはありませんでした。この本は、現代語訳と、ルビを付した原文が併載されています。この時代から、立憲制、民主制、恒久平和、死刑制度廃止が議論されていることに感銘を受けます。

  • 古典を読む楽しみはその時代に生きていた感覚を味わえることだと思う。明治時代、これが書かれた時代にはなるほど世界はこう見えていたのかと思わされる。

  • 2016/3/12
    南海先生の主張は明治日本の政治体制にまさに反映されている。
    ただ、専守防衛については隔たりがあった。
    ただ戦後日本は専守防衛を軸に政治を行ってきたので、何十年経た結果、実現をしたと考える。

    現実的に考えると南海先生の論が一番適しているが、洋楽紳士の論が叶うような国が理想的だ。

  • (15.07.XX読了)
    タイトルの「めんどくさそう」感と中身の解りやすさのギャップが勿体ないくらい。いや名づけを否定するものではないが。出版が岩波文庫であり学術文庫のひとつではあるが、非常に読みやすい現代語訳で書かれているので、現代の問題にも通ずる読み物としてぜひ多くの人に読んでもらいたい一冊。
    兆民は奇人として有名だが、この著作を読むにやはり彼の奇人エピソードは計算の上だったのではないかと勘繰ってしまう。

  • 中江兆民「三酔人経綸問答」青110-1 岩波文庫

    本著はもともと漢文で書かれており、前半は現代語訳文、後半は原文といった構成になっています。

    民主制を訴える洋学紳士、侵略主義を唱える豪傑君。血気盛んな二人の成年は、政治と哲学の師である南海先生のもとを訪れる。盃を交わし、両者の熱い弁論は平行線を辿る。酒も回ってきた頃合いに、南海先生が口を開く…。

    互いに足らぬところ、行き過ぎた部分を指摘し、両者の思想は違えど、実はその根源は同じであると諭す。しかし、あくまで道理を示すまでにとどめ、特定の政治目標へ導くことはしない。
    その南海先生のスタンスこそ、まさに本著の目的でもある。

    南海先生は政治の本質についてこうも述べている。
    「政治の本質とはなにか。国民の意向にしたがい、国民の知的水準にちょうど見合いつつ、平穏な楽しみを維持させ、福祉の利益を得させることです。」

    まさに両者に欠けている部分でもあり、これは今にも通ずるのではないでしょうか。

    非常に面白い一冊でした。

  • 進歩的な紳士君と,武闘派の豪傑君と,現実派の南海先生の問答。
    問答といっても,紳士君と豪傑君の語りが大半で,先生の意見は最後にちょっとあるくらい。

    正直,資料的な価値以上のものを感じなかった。
    回復の民権と恩寵の民権の区別は成程と思ったが。

  • 面白かった。
    と、言えるほど読み砕けてはいない…。

    酔っぱらうと国家を天の視点から語りだす「南海先生」の家に、民主守備の理想を説く「紳士君」と、領地拡大により大国に伍することを語る「豪傑君」が訪れ、日本の行く末を酔っ払い3人、大いに語る。
    前進か、後進か。両極端を語る2人に対し、中道を説く南海先生。明治のこの頃には、巷でこんな議論が繰り広げられてたんだろうか。みんな、国家百年の大計を考えて。
    読み解けてはいないが、また読みたいとは思った。僕にも国家百年を論じたいと思える日は、、来ないと思うが。

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